薬剤師になるのに年齢制限はある？年齢別転職難易度や成功のポイントを解説

薬剤師の資格習得に年齢制限はなく、最短だと24歳から薬剤師として働けます。薬剤師になるには、基本的に薬学部か薬科大学で6年間の教育課程を修了したのち、大学卒業後に受けられる国家試験に合格することが必要です。

薬剤師になる最短ルートは、高校卒業後浪人せず薬系大学に合格し国家試験に一発で合格する場合ですが、浪人したり別の仕事から薬剤師への転職を考えたりする場合でも、きちんと必要な過程を経さえすれば年齢に関係なく薬剤師の資格を取れます。

別の仕事に就いたものの薬剤師になる夢を諦められない人、なかなか薬系大学に合格できない人などでも、年齢を気にして薬剤師の資格取得を諦める必要はないといえるでしょう。

ちなみに、薬剤師国家試験の受験資格は6年制の薬系大学を卒業するほか、外国の薬学校を卒業しているなど、日本の6年制薬系大学での経験と同等の経歴があると国から認められた人も取得できます。必ずしも日本の6年制薬系大学を卒業している必要があるわけではない点を押さえておきましょう。

前段で薬剤師の資格取得に年齢制限はないと記載しましたが、公務員薬剤師を目指す場合は年齢制限があるので注意してください。公務員薬剤師には大きく分けて国家公務員と地方公務員の2種類があり、いずれも試験を受ける段階で年齢制限があります。

国家公務員としての公務員薬剤師には厚生労働省の総合職と麻薬取締官があり、どちらも試験を受けられる年齢の条件は30歳未満です。一部例外はあるものの、国家公務員になるための試験を受けられるのは基本的に29歳までと国から定められています。

地方公務員の場合は自治体によって年齢制限が異なるため、30歳を超えても目指せる可能性があるでしょう。例えば、令和5年度の大阪市職員の受験資格は昭和63年4月2日以降に生まれた人が対象なので、令和5年度の段階で35歳以下の人は試験を受けられます。

一方、東京都職員の場合は、受験資格に平成6年4月2日～平成12年4月1日生まれの人と定められているので、令和5年度の段階で23～29歳の人でなければ試験を受けられません。地方公務員としての薬剤師を目指す場合は、自分の年齢が受験資格の対象かどうか確認するようにしましょう。

公務員薬剤師になるためには、国家試験に合格したあと各自治体の試験にも合格する必要があるので、国家試験に合格するまでに時間がかかってしまうと、務員薬剤師になれるチャンスが減ってしまう点に注意が必要です。

年を重ねてから薬剤師を目指す人は、最短でも6年間勉強する必要がある点には注意しましょう。薬剤師国家資格の受験資格を得るためには、原則6年制の薬系大学を卒業しなければいけません。

仮に30歳で薬系大学に入学した場合、薬剤師資格を取れるのは最短でも36歳です。もし留年してしまったり、国家試験に一発で合格できなかったりすれば、働くころには40歳近い年齢になっている可能性もあります。

大学に入学する年齢が高ければ高いほど、仕事を得るチャンスを失いやすいことや、薬剤師としてのキャリアを積める期間が減ってしまうことをきちんと考慮し、本当に薬剤師を目指すべきか考えてから決断する必要があるでしょう。

何歳から薬剤師を目指すにせよ、薬剤師になるために必要な期間を念頭に入れ、資格取得後のキャリアプランをしっかりイメージしてから挑むようにしてください。

年齢を重ねてから薬剤師を目指す場合、キャリアを積むまで高収入を得られないことも把握しておきましょう。薬剤師の仕事は専門性が高いため、前職の経験やスキルを応用できない可能性が高く、新卒と同程度の待遇になる可能性も考えられます。

たとえ国家資格を所持していたとしても、きちんと実践経験を積んで実力を認められなければ、ほかの仕事と同様収入は上がりません。もし現職でそれなりの収入を得ている場合は、薬剤師に転職することで収入が減る可能性を考慮しておく必要があるでしょう。

ただし、転職後の仕事への向き合い方によっては、将来的に収入を増やせる可能性も十分にあります。転職できたからといって勉学を怠らず、薬学知識を吸収し続ける姿勢を持っていれば、早い段階で周りに認められる存在になれるでしょう。

年齢を重ねてから薬剤師を目指すなら、年齢があがるにつれ就職先の選択肢が狭くなることを覚えておいてください。民間企業の場合、公務員薬剤師のように明確な年齢制限はないものの、キャリア形成を考えると年齢は若いほうが有利なケースが多いでしょう。

30代は、結婚や出産などによってライフステージが変化したり、キャリアチェンジを考える人が多かったりすることから転職活動が活発なので、どんな職場にも比較的チャレンジしやすい年代だといえます。

40代になると未経験者は採用されにくくなるので、人手不足が慢性化している企業や施設を狙うなどの工夫が必要です。50代以上は、派遣やパートを募集している小規模な施設などをメインに採用先を探さなければいけない可能性が高いでしょう。

転職の際に年齢やキャリアを重視される点は、どんな仕事でも同様です。できるだけ幅広い選択肢を持ちたいのであれば、なるべく早い段階で薬剤師への転職を決断するほうが良いでしょう。

薬剤師の国家試験は年に1回しかないため、歳を重ねてから薬剤師にチャレンジする人にとっては落ちるとダメージが大きい点に注意が必要です。不合格が続けば続くほど、薬剤師としてだけではなく社会人としてのキャリアを積める期間が短くなります。

30代・40代など一般的に働き盛りな年代で国家試験に落ちてしまうと、本来キャリアを積めるチャンスを1年以上逃してしまうため、将来的な収入に影響する可能性を否定できません。

不安や焦りが生じるとモチベーションを維持できず、30代くらいから国家試験の合格率が下がるともいわれています。年齢を重ねてから薬剤師を目指すには、優れた忍耐力と一発で合格する強い意志が必要だと考えられるでしょう。

20代の場合は、薬剤師に転職しやすいといえます。多くの企業や施設が第二新卒として受け入れてくれるため、経験や実績を問われにくいからです。

20代未経験の薬剤師は知識や経験に乏しいものの、企業や施設はこれからキャリアを積んで活躍してもらえることに期待して採用します。応募理由や思い描くキャリアプランをきちんとアピールできさえすれば、どんな職場にでも挑戦できるでしょう。

ただし選択肢の幅が広い分、応募する企業をある程度厳選して転職活動をしなければ、活動が長引く可能性があります。希望する条件や薬剤師になってやりたいことを整理したうえで、できるだけ自分に合う職場への就職を目指しましょう。

研究成果や経験が問われやすい製薬会社の製品開発職など、アピールできるキャリアがないと転職難易度が高い職種を除けば、比較的どんな仕事にでもチャンスがあると考えられます。

たとえば、コミュニケーションに自信があるなら接客スキルが必要なドラッグストアでの勤務やMRを目指してみるなど、薬学知識以外でアピールできる自分の得意分野を整理したうえで応募先を選定してみると良いでしょう。

もし前職でマネジメント経験がある場合は、薬剤師としての仕事が未経験でも転職に有利に働く可能性があります。少しでも即戦力として判断してもらえるよう、自分の経験やスキルはきちんと整理したうえで転職活動を行いましょう。

40代になると、病院や企業への転職は厳しく採用先が絞られるでしょう。キャリアを積める期間が限られるため、すでに一定の経験を経ていない限り企業や施設は伸びしろを見込める20～30代を優先して採用する傾向があります。

40代向けの求人は、基本的にキャリアを積んだ人でなければ応募できないものが増える傾向があるので、未経験者の選択肢は自ずと限られることが現実です。未経験者の場合は、予定が立てづらいシフト制の職場や人手不足の病院などで応募先を探す必要が生じるでしょう。

反対に、40代は薬剤師としての経験が豊富な人であれば、収入増を見込んだ転職が可能な年代です。できるだけ希望に合う職場に就職したい、収入を上げたいなどの要望がある人は、薬剤師になる前からキャリアプランをきちんと描いておきましょう。

50代の場合は、企業や病院への転職はほぼ難しいと考えるのが一般的です。40代と同じく経験がないと採用してもらえないうえに、50代になるとその傾向がさらに強まります。

50代で薬剤師になるなら、慢性的に人手不足かつ元々年齢が重視されにくい調剤薬局やドラッグストア以外、転職できる可能性は低いでしょう。

厚生労働省が公表している薬局薬剤師に関する基礎資料をみると、50代薬剤師のうち約60％が薬局勤務であることや、薬局の数が年々増加傾向にあることがわかります。もし50代で薬剤師になりたいなら、薬局を中心に転職活動を行えば転職できる可能性はゼロではないでしょう。

年齢不問かつパートやアルバイト採用をしている職場には、中小規模の調剤薬局やドラッグストア、地域密着型のクリニックなどがあります。自分の希望と完全に合った職場を見つけるのは困難かもしれませんが、高望みしすぎなければ転職先をいくつか見つけられるでしょう。

どうしても企業で働きたい場合は、定年後の人材を嘱託職員として採用している企業を見つけることも手です。嘱託職員は契約社員と同様に雇用期間が定められているものの、安定した収入を得られるためひとつの手段としておさえておきましょう。

年齢を重ねてから薬剤師への転職を成功させるには、薬剤師になりたい理由を明確にしておく必要があります。理由が明確でなければ、転職後の後悔に繋がる可能性があるからです。

たとえば、単に高収入のイメージがあるなどを理由に薬剤師になると、業務で忙しくなったときやなかなか収入が上がらないときなどに、仕事を続ける意欲を失う可能性があります。意欲を失えば、再び転職を考えたり不満なまま仕事を続けたりしなければならないため後悔することになるでしょう。

薬剤師として転職を成功させたいなら、特定の疾患の治療に貢献したい、薬を必要とする人の安全をサポートしたいなど、薬剤師になってやりたいことを自分の軸としてきちんと持っておくことが大切です。

軸があれば、選考過程できちんと自分をアピールできるので、採用率を上げることにも繋がるでしょう。

年齢を重ねてから薬剤師への転職を成功させるには、面接で前職での経験をアピールすることも大切です。年齢が上がるにつれて即戦力を求められることが一般的なので、経験やスキルを持ち合わせているほど転職しやすくなります。

ある程度の年齢から薬剤師を目指す場合は、どんな職場でも必要なマネジメント経験やコミュニケーションスキルをアピールできるよう整理してみましょう。薬剤師の経験には乏しくても、どんな仕事にも役立つ経験やスキルを持ち合わせていれば、採用側に安心感を与えることができ選考に有利です。

前職でも薬剤師として働いていた場合は、薬局などでの管理薬剤師や病院での薬剤部長・薬局長など管理職経験の有無によって転職の幅や成功率が大きく変わるため、採用担当者へきちんと伝えましょう。

年齢を重ねていればいるほど転職に不利な状況なので、ほかの応募者との差別化要素になる自分の強みをきちんと棚卸して選考に挑むことが重要だといえます。

薬剤師への転職を目指すときは、ライフプランやキャリアプランにマッチした職場を探しましょう。薬剤師資格を取得できた年齢によっては、働ける環境や目指せるビジョンが異なることがあります。

一般的に、20代・30代では結婚や出産などのライフイベントを迎える人が多いため、給与や福利厚生の待遇が特に気になる時期だといえるでしょう。薬剤師として将来的に目指したい目標がある人は、目標を叶えられる環境の職場を探す必要があります。

薬剤師は専門性の高い職業なので、きちんとライフプランやキャリアプランにマッチした求人を探すためには、専用の転職サイトや転職エージェントを活用することがおすすめです。

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