年齢を重ねて職場環境を変えたいと感じる人も多い、50代の薬剤師。実務経験は十分にあるものの、今からでも転職できるのか気になっている人もいるのではないでしょうか。
そこで今回は、50代薬剤師の転職事情を詳しく解説します。主な転職理由や転職を成功させるコツも解説するので、転職を検討している人は参考にしてくださいね。
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人件費や働ける期間を考慮すると、50代薬剤師の転職は一般的に難しいとされています。有意義な転職活動をするためにも、リアルな転職事情を理解しておきましょう。
50代の薬剤師は一般的に経験が豊富であり、人件費が高いとされています。
厚生労働省の「令和4年賃金構造基本統計調査」によると、薬剤師の年齢別の年収は20代の350〜450万円程度に対して50代は600〜700万円程度です。雇用先からすると50代の薬剤師を雇うと人件費がかなり高くなるため、多少スキルは劣っていたとしても成長に期待できる若い世代を採用したいと考えるでしょう。
50代の薬剤師は仕事を覚えづらいと思われる可能性がある点も転職が難しい理由の1つです。職場によって取り扱う薬や機械が異なるため、転職すると新たな知識を身につける必要があります。
職場ごとの具体的な違いは、分包機やレセコンなどの機械の操作や、処方する薬の用法用量などです。調剤の手順が異なる場合もあり、適応に時間を要する場合も。
採用後には年下のスタッフから指導を受ける可能性が高いでしょう。仕事を早く覚えるためにも、自ら積極的に話かけたり、素直に指示に従ったりと、コミュニケーションの取りづらさを感じさせないような工夫が重要です。
50代薬剤師は働ける期間が短く、長期間働ける可能性が高い20代や30代と比較すると転職が難しいとされています。
多くの企業が定年退職の年齢を60〜65歳に定めており、50代で転職すると10年前後しか働けません。企業からすると、採用活動はお金がかかることもあり、なるべく長く働ける人材を採用したいと考えています。
薬剤師は人手不足といわれており、長時間労働が求められる職場もあるでしょう。50代の人は体力的についていけなくなり、病気で倒れて働く期間がさらに短くなるリスクがあることも採用側の懸念点になり得ます。
定年を迎えても働きたい・経験を積みたいなど、50代薬剤師の転職理由はさまざまです。自分にあてはまるものがないか、考えながら確認してみてください。
50代薬剤師の転職理由の1つは、定年を迎えても仕事をしたいからです。老後の資金に不安があり、なるべく長く仕事をしたいと考えている人は増加傾向にあります。しかし、定年を超えても同じ職場で継続して働ける「再雇用制度」を設けている企業は全体の約2割程度しかありません(参照:厚生労働省)。
現在働いている職場に再雇用制度がない場合や、再雇用制度があっても労働条件が厳しい場合は、50代のうちに早期退職をして転職すると、新たな職場に慣れる期間が長くなり、定着しやすいでしょう。
定年を迎えてから職場を探し始めると、求人が少ないため、選択肢が減ってしまう可能性もあります。定年後の収入や働き方を考えて今の職場で働き続けることが難しいと感じる人は、転職を検討しましょう。
調剤薬局での経験を積みたいため、転職を検討する人もいます。調剤薬局は定年後も再雇用されて働き続けられる可能性が高いからです。
調剤薬局は人手不足の職場が多く、ドラッグストアや病院と比較しても定年後の求人も豊富な傾向にあります。なかには未経験で応募できる求人もあり、50代のうちに調剤薬局の経験を積むことで、再雇用されやすくなるでしょう。
注意点は、若い人材を優先的に採用する傾向にある大手の調剤薬局チェーンへの転職は難しい可能性が高いことです。転職を検討している人は特定の地域にのみ店舗を展開している中小規模の調剤薬局の求人を探してみてください。
夜勤がない職場で働きたいという理由で、転職を検討する人もいます。50代は若い頃と比較すると体力が落ちるため、夜勤を激務と感じる人もいるからです。
一般的に夜勤は人員が少なく、業務責任が重くなる場合があります。生活リズムが狂いやすく、睡眠時間の調整や体調管理が難しくなることも。
転職サイトでは夜勤なしの条件で求人を探せるケースが多いので、希望する条件を指定すると自分に合う企業が見つかりやすくなるでしょう。
自身の経験や知識が活かせる職場に応募したり、パートやアルバイトとして転職をしたりするのが50代で薬剤師転職を成功させるコツです。転職活動を有利に進めるためにも、以下で説明するポイントを理解しておきましょう。
50代薬剤師が転職を成功させるためには、自分の経験や知識が活かせる職場に応募しましょう。経験や知識は若い人と比較した際の差別化ポイントです。
調剤経験や管理薬剤師として働いた実績などは転職活動に活かしやすいでしょう。研修認定薬剤師や実務実習指導薬剤師など、目に見える資格があると能力やスキルをよりアピールしやすくなります。
転職先に自身の経験や知識が評価されれば、現在の職場より待遇や役職が上がる場合も。これまでの仕事経験を洗い出し、自分の能力が活かせる職場を探してみてください。
50代で転職する人は、正社員だけでなく、パートやアルバイトとして働くことも選択肢に入れてみてください。企業からするとパートやアルバイトは、手当や福利厚生の対象が限定的で、正社員と比較すると雇用を切りやすいなどのメリットがあります。
パートやアルバイトの場合、薬剤師の時給は2,000円前後に設定されているケースが多いようです。薬剤師が不足している地方では、時給はさらに高くなるとされており、フルタイムで働けば生活するのに困らない給料を手にできるでしょう。
パートやアルバイトは、シフトの希望が出せるためプライベートの時間を確保しやすい、転職・転勤を命じられる可能性が低いといったメリットがある点も、判断材料の1つにしてみてください。
前職より年収が低くなることを想定しておくと、転職を成功させやすくなるでしょう。希望条件を下げることで、応募できる求人の選択肢が増えるからです。
50代になると、これまでのキャリアが評価されて比較的高い年収をもらっている人もいます。薬剤師としての純粋な能力だけでなく、社内での業務経験が豊富なことや管理職としてほかの薬剤師に指導ができることなども評価される傾向があるからです。
しかし、転職をすると1から業務を覚えなければならないケースも少なくありません。これまでのキャリア・年収にこだわりすぎず、希望条件を下げることも検討してみてください。
50代薬剤師は転職活動が長引くことを覚悟しておくのも大切です。
50代は老後に向けて資産形成を行う大切な時期です。子どもがいる人は学費の支払いが残っている可能性があり、なるべく収入が高い企業で働きたいと考えるでしょう。
職場に求める条件が高くなる一方で、年収が高く、働ける期間が短い人を採用する企業は多くありません。そのため希望条件を満たす求人は少ない可能性が高く、転職活動が長期化してしまう恐れがあります。
離職している人は、転職活動が長引くと、無収入なため生活が苦しくなる可能性も考えられるでしょう。現在の職場で働きながら転職活動を行う、十分な貯蓄をしてから転職活動に臨むなど対策が必要です。
50代薬剤師の転職活動では、謙虚な姿勢をアピールすることも重要です。相手に謙虚な印象を与えることができれば、職場に馴染みやすく、円滑なコミュニケーションが取れると判断される可能性があります。
謙虚さをアピールするためには、面接の際に話し方や話す内容を工夫しましょう。実績を話す際には自分だけでなく、周囲の人の協力もあって成功したことを強調したり、面接官の話に対して大きなリアクションをとりながら耳を傾けたりすることが重要です。
謙虚さに加えて、転職先でも学び続ける意欲があることや、業務に対して真摯に取り組む姿勢などをアピールすると相手に好印象を抱かれる可能性が高まります。
50代薬剤師の転職活動は、転職エージェントの活用も検討しましょう。転職エージェントは求人を紹介してくれるだけでなく、履歴書・職務経歴書の添削や面接対策をしてもらえる場合があります。
転職エージェントを選ぶ際には、複数のサイトに登録することが重要です。複数の転職エージェントに応募すれば、相性のよいキャリアアドバイザーに出会える可能性が高まり、転職活動をスムーズに進めやすくなります。
ほかにも求人数の多さや、調剤薬局や病院など希望する職場への転職実績が豊富な転職エージェントを選ぶことなども重要です。
mybestでは薬剤師におすすめの転職エージェントをランキング形式で紹介しています。これから転職活動を行おうと考えている人は、内容を確認してみてください。
50代薬剤師が転職できる求人には、調剤薬局やドラッグストアなどが考えられます。採用される確率が高い職種へ優先的に応募すると、転職に成功しやすくなるかもしれません。
50代薬剤師の転職は、調剤薬局やドラッグストアの求人に応募することを検討してみてください。調剤薬局やドラッグストアは人手不足であり、年齢も幅広く求人応募しています。
全国には調剤薬局が6万軒以上、ドラッグストアは2万5,000軒以上あるとされています。しかし、店舗数の増加と反対に薬剤師の数は十分とはいえません。国も情報通信技術を活用したICTツールの導入を促したり、一部のピッキング業務を非薬剤師が行えるようにしたりと対策に追われています。
調剤薬局やドラッグストアの経験がない薬剤師は、服薬指導や薬歴記入などの教育制度が充実した職場であれば、業務を覚えやすいでしょう。薬の商品名や服薬指導の方法を本やサイトで自己学習をすることも検討してみてください。
管理薬剤師の経験があれば、転職成功率は高まるでしょう。薬剤師の能力に加えて、管理能力やマネジメントスキルが評価されやすいからです。
管理薬剤師には、正しい方法での医薬品の備蓄や処分などの専門知識が求められます。
スタッフに指示を出す機会や、医薬品卸売会社の社員や薬剤師会の担当者など外部の人と接する機会も多く、コミュニケーション能力が高いと判断されやすいでしょう。
管理能力やマネジメント能力は一般の薬剤師が身につけにくいスキルであり、転職活動においても積極的にアピールできます。管理職の求人のなかには現在の職場より年収が高いものが見つかる場合もあるため、応募を検討してみてください。
50代で病院薬剤職や企業の薬剤師に転職するのは難しいでしょう。基本的には新卒が採用されるケースがほとんどだからです。
病院や企業の薬剤師は求人数が少ないだけでなく、人気も高い傾向にあります。病院勤務の場合は患者に直接提案をし、病状が回復する様子を確認できるのでやりがいを感じやすいでしょう。
企業勤務の場合は、産休や育休を申請しやすかったり、住宅手当などが用意されていたりと福利厚生が充実している点が魅力です。研究開発や品質管理などの分野で採用されれば、高収入にも期待できます。
病院や企業の中途採用の求人が出ると応募が殺到するケースが多く、基本的には長く働ける若い人の採用が優先される傾向にあるようです。50代薬剤師が採用される可能性は低いため、調剤薬局やドラッグストアを中心に求人を確認してみてください。
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