医療機関やドラッグストアの責任者として、法律で設置が義務づけられている管理薬剤師。薬剤師として働きながら管理薬剤師を目指している人の多くは、特別な要件や資格は必要なのか、業務内容はどのようなものなのか疑問に思っているのではないでしょうか。
本記事では、管理薬剤師になるための要件を詳しく解説します。管理薬剤師になるメリットやデメリット、年収についてもあわせて紹介しているので、ぜひ最後までチェックしてください。
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管理薬剤師になるためには、実務経験と公共性のある団体の認定が重要です。厚生労働省が公表している「薬局開設者及び医薬品の販売業者の法令遵守に関するガイドライン」では、管理薬剤師の要件はとして「原則として、薬局における5年以上の実務経験があり、中立的かつ公共性のある団体(公益社団法人薬剤師認定制度認証機構など)の認証を受けた認定制度の認定薬剤師であること」という旨が記載されていますが、あくまでも推奨であり法的な強制力を持ったものではありません。
また、ガイドラインには「薬局等を実地に管理しなければならない」との定めもあり、1つの施設で一定時間以上勤務することが求められています。具体的な勤務時間を定めている法律はありませんが、一般的には1日8時間以上の勤務が目安です。
要件を満たしていない場合でも管理薬剤師になることはできますが、責任ある業務を行うために必要な能力、および経験を有していなければ、管理薬剤師になるのは難しいといえます。管理薬剤師を目指す人は、まずは十分な知識と経験を身につけることを意識しましょう。
管理薬剤師になるための資格取得は必須ではありません。厚生労働省法令遵守ガイドラインでは、薬剤師認定制度認証機構に基づく認定薬剤師の資格取得が推奨されています。そのため、特に即戦力の高さが期待される中途採用では、認定薬剤師の資格を保有しているほうが採用で有利になりやすいといえるでしょう。
管理薬剤師の資格を持っていない場合は、5年以上の実務経験など、管理薬剤師として働くために必要な知識や経験があることを認めてもらう必要があります。医薬品に関する正しい知識や管理能力を身につけるのはもちろんのこと、管理薬剤師はほかの薬剤師を監視・指導する立場になるため、ほかの薬剤師と積極的にコミュニケーションを取り、信頼関係を築く努力も怠らないようにしましょう。
管理薬剤師は、医薬品や医療制度に関する幅広い知識が必要です。常に更新される医療業界や新薬の知識を十分に備えたうえで、ほかの薬剤師や患者から質問を受けた際、正しい知識を適切に伝える必要があります。
また、ドラッグストアやスーパーなど一般販売業に勤める管理薬剤師の場合、商品の在庫管理も重要な仕事です。商品の在庫管理が十分でないと、患者が必要とする医薬品をすぐに提供することができず、ほかの店舗へ足を運んでもらうなど負担をかけてしまうケースも。さらに、ドラッグストアでは医薬品以外に、日用品や健康食品などの在庫管理も適切に行わなければなりません。
また、管理薬剤師には、薬を仕入れる金額や売上を適切に管理する数値管理能力も求められます。薬局や店舗の売上に直結する重要な要素であるため、薬剤師の業務だけではなく経営に関する幅広い知識が必要です。
さらに、スタッフや取引先と円滑に話を進めるコミュニケーション能力も必要です。同じ職場に在籍しているほかの薬剤師をサポートしたり、必要に応じて指導を行ったりしなければならないため、互いに意見交換をしながら信頼関係を築いていく柔軟さが求められるといえるでしょう。
管理薬剤師を目指す方法として、現在働いている会社や医療機関で内部昇進を目指す方法と、新しい職場に転職する方法の2つが挙げられます。以下で詳しく解説するので、ぜひ参考にしてください。
管理薬剤師になるための方法として、勤務先の企業や医療機関で内部昇進を目指すことが挙げられます。管理薬剤師への内部昇進を目指す場合は、現在働いている職場で5年間実務経験をこなし、幅広い知識を身につけることが重要です。
また、定期的に行われる契約更新時の面談などを利用し、管理薬剤師になりたい旨を職場の上司へ相談してもよいでしょう。意欲の高さを評価してもらえるだけでなく、認定薬剤師の資格取得をサポートしてもらえるケースもあります。
ただし、勤続年数の長い従業員が多い職場など、管理薬剤師のポジションに空きがない場合は昇進まで時間がかかる可能性もあるため注意しましょう。一定期間働いても昇進が難しいと感じた場合、別の職場への転職を視野に入れてみてください。
現在働いている職場で内部昇進を目指すことが難しい場合、転職を検討するのも有効な手段です。転職サイトに掲載されている求人のなかには、管理薬剤師のポジションを募集している案内もあります。転職先の状況によっては、現在働いている会社や医療機関で内部昇進を目指すより早く管理薬剤師になれる可能性もあるでしょう。
転職して管理薬剤師を目指す場合も、基本的には5年以上の実務経験が求められます。また、同じ管理薬剤師でも職場によって業務内容や勤務形態が異なるため、募集要項をあらかじめ確認したうえで求人に応募しましょう。
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薬局で働く薬剤師は薬剤や医薬品の管理、従業員の指導などがメインであるのに対し、ドラッグストアでは日用品や健康食品に関する知識も求められます。また、病院をはじめとする医療施設では、スタッフとの連携をとりながら院内活動へ参加するのも大切な仕事です。
工場や製薬会社で働く管理薬剤師であれば、主に製品の品質管理を任せられます。それぞれの仕事内容を詳しく紹介するので、管理薬剤師を目指している人はぜひ参考にしてください。
薬局勤務の管理薬剤師は、薬剤・医薬品の在庫や品質の管理、従業員への指導が主な業務です。管理薬剤師は、取り扱っている薬品の不備や品質の確認を行い、適切に保管しなければいけません。麻薬や覚醒剤の原料、向精神薬指定薬物など、届出が必要な物質の管理も業務内容に含まれます。
また、従業員への指導も重要な仕事です。管理薬剤師は、ほかの薬剤師とともに調剤業務や服薬指導をすることもあります。現場の薬剤師とともに業務をする際には、現場のリーダーとして、ほかの薬剤師やスタッフの接客態度や情報提供の状況などを常に監視しなくてはいけません。
ほかにも、業務における問題点や改善案がある場合は、薬局開設者に意見をすることも管理薬剤師の仕事です。薬局開設者に意見する場合は、書面で述べ、さらに3年間書面を保存する必要があります。薬局の管理薬剤師は、薬剤師としての能力以外にも、マネジメント能力やコミュニケーション能力が求められると覚えておきましょう。
ドラッグストアで働く管理薬剤師は、医薬品だけではなく日用品などの管理も行います。薬局と比較すると、サプリメントや健康食品など取り扱う商品の数が多くなるため、より幅広い知識が求められる職場です。
また、来店客へ日用品やサプリメントの売り場を案内したり、お客様へ商品の説明をしたりと、ほかのスタッフと同じ仕事を任されることも。ドラッグストアで働く管理薬剤師は、薬剤師としての業務に加え、必要に応じて通常の店舗業務も臨機応変にこなす対応力が求められると覚えておきましょう。
病院で勤務する管理薬剤師は、医師や医療従事者と連携を取る場面が多くあります。入院患者のカルテを照会し医薬品を処方する、点滴に使う薬を調剤するなど、薬局にはない業務も行うのが特徴です。
また、ほかの医療従事者との連携をスムーズに行うため、院内のカンファレンスと呼ばれる会議へ参加することも。病院における管理薬剤師の設置は必須ではありませんが、薬局長や薬剤部長としてほかの薬剤師を指導したり、薬品管理の責任を負ったりする重要な役割を担っています。
工場や製薬会社の管理薬剤師は、品質管理と安全管理を行いながら、GMP(医薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理の基準)の遵守に努めるのが主な役割です。工場や製薬会社では、医薬品以外にも化粧品や医療機器、試薬などを製造する現場に管理薬剤師の設置が義務づけられています。
管理薬剤師は、GMPに基づき、薬品の品質管理や製造工程内の検査などを行うほか、各種許可申請などの事務手続きもこなさなければいけません。自社製品の品質管理や安全管理において大きな責任を求められる反面、そのぶん医療業界全体に貢献しているというやりがいを感じやすい働き方だといえるでしょう。
管理薬剤師になるメリットとして、年収アップが期待できることや、スキルを磨いてキャリアアップを狙えることなどが挙げられます。以下で順番に紹介しているので、管理薬剤師を目指している人はぜひチェックしてください。
管理薬剤師に昇進することで、年収アップが期待できるメリットがあります。一般の薬剤師よりも幅広い経験と知識が求められる立場であり、役職手当を支給される職場が多いためです。
中央社会保険医療協議会の「第23回医療経済実態(医療機関等調査)報告」によると、管理薬剤師の平均年収は7,302,494円であるのに対し、一般薬剤師の平均年収は4,825,910円。管理薬剤師と比べて約250万円の差が生じていることがわかりました。
ただし、職場や地域によって給与水準が異なる点に注意しましょう。特に年収アップを目的として管理薬剤師を目指す場合、現在の職場や転職先の情報をあらかじめリサーチしておくことをおすすめします。
管理薬剤師になることで、医薬品に関する幅広い知識やスキルが身につき、キャリアアップが狙えます。医薬品の知識以外にも、在庫や商品管理・経営・法律などの知識を身につけることで、転職活動や社内昇進の際に有利になるケースも。
転職活動においては、医薬品の知識以外にも、マネジメント経験などをアピールすることが可能です。マネジメント経験がある薬剤師は多くの職場が求める人材なので、転職時の選択肢を広げやすいといえるでしょう。
さらに、ドラッグストアや製薬会社に勤める管理薬剤師の場合、本社勤務へのステップアップも期待できます。豊富な実務経験をもとに、採用担当や教育担当など薬剤師以外の仕事へも挑戦しやすいため、モチベーションを高めやすいといえるでしょう。
管理薬剤師になることで、業務量が増えてしまう、副業が原則禁止になるなどのデメリットも考えられます。それぞれのポイントを詳しく解説するので、メリットとあわせて参考にしてください。
管理薬剤師は、責任の増加にともなって業務量が増える傾向にあります。スタッフの指導や教育・管理業務に加え、繁忙期には薬剤師として通常業務に取り組む必要もあるためです。さらに、人手が少ない職場の場合、欠員をカバーするためなどの理由で休日でも出勤しなければいけないケースも。
業務量が多い管理薬剤師は、優先順位を決めながら効率的に業務を行う能力が求められます。また、繁忙期でもほかの薬剤師をしっかりサポートするために、常日頃から体調管理に気を配ることも重要だといえるでしょう。
管理薬剤師のデメリットとして、副業が原則禁止されることも挙げられます。「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」の定めにより、管理薬剤師は1つの職場のみに従事しなければいけないためです。
ただし、その職場が所在する都道府県知事の許可を受けることで、例外として副業が認められるケースも。副業が認められる例としては、僻地など管理薬剤師の確保が難しいとされる地域において、地域医療を支えるために働く場合などが挙げられます。
管理薬剤師として働きながら副業をしたい人は、必ず現在の職場や転職先の就業規則を確認しておきましょう。
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