お得な税制優遇を受けられる私的年金制度のiDeCo。加入に向けて動き出したものの、手数料の種類が多くてよくわからない、手数料が安い金融機関を知りたいなど、さまざまな疑問や不安を感じている人も多いはずです。
本記事では、iDeCoに必要な手数料の種類や、口座管理料が安い金融機関などを紹介します。iDeCoを始めるうえで手数料の知識は欠かすことができないので、ぜひ参考にしてみてください。
FP(ファイナンシャルプランナー)、IFA(独立系投資アドバイザー)として福岡を中心にお金の専門家として活動。金融や運用のことをより分かりやすく、イメージしやすいように例話を用いて伝えることがモットー。金融商品は使い方、選び方そして受取り・出口が重要になるため、一生涯の担当者として利用者と付き合いをするように心がけている。
大学卒業後に銀行員として勤務、法人顧客の経営支援・融資商品の提案や、個人向け資産運用相談を担当。 2020年にマイベストに入社、自身の銀行員時代の経験を活かし、カードローン・クレジットカード・生命保険・損害保険・株式投資などの金融サービスやキャッシュレス決済を専門に解説コンテンツの制作を統括する。 また、Yahoo!ファイナンスで借入や投資への疑問や基礎知識に関する連載も担当している。
まずは、iDeCoの手数料にはどんな種類があるのか、詳しく解説します。
iDeCoへ新たに加入する場合には、2,829円(税込み)の加入・移管時手数料が発生します。加入・移管時手数料は、企業型確定拠出年金からiDeCoへ乗り換える会社員も支払いが必要です。
手数料は初回の掛金から差し引かれるのが基本ですが、企業型確定拠出年金から乗り換える場合は、これまで企業型確定拠出年金で積み立てた資産から差し引かれます。
iDeCoでは、毎月掛金を納付するたびに105円(税込)の加入者手数料を負担する必要があります。加入者手数料は、iDeCoの実施機関である国民年金基金連合会に対して、月々の掛金のなかから必ず支払わなければならない手数料です。
iDeCoの加入者は、月々66円(税込)の事務委託手数料を支払う必要があります。事務委託手数料は、国民年金基金連合会から資産管理の事務を委託された金融機関に対して支払うものです。ほかの条件に関わらず月々の掛金から自動的に差し引かれます。
iDeCoの口座をつくる金融機関によっては、口座管理手数料の支払いが必要な場合があります。口座管理手数料は、資産管理や資産運用のサポートなど、iDeCoの利用に必要なサービスを金融機関から提供してもらうための対価です。
口座管理手数料の額は金融機関ごとに設定されるため一律ではありませんが、月々0~450円程度を一般的な目安にしておくとよいでしょう。
なかには口座管理手数料を資産残高などに応じて割り引いたり、加入時から無条件で無料にしたりしている金融機関もあります。口座管理手数料が高いと手数料負けを起こしてしまう可能性もあるので、できる限り無料の金融機関を選ぶのがおすすめです。
iDeCoに加入する場合、加入者手数料に加えて、月額の口座管理手数料がかかります。
この月額の手数料は、運営管理機関(金融機関)によって異なり、積立額や期間にかかわらず発生する費用です。掛金を拠出する場合は、月額で171円から500円前後と差があります。毎月かかる手数料なので、安い方がより有利に資産形成ができますよ。
例えばiDeCoの掛金を30年間拠出する場合を比較してみます。
<月額171円の場合>
<月額500円の場合>
30年間運用を続けた場合の手数料の差は、118,440円となります。将来同じ運用のパフォーマンスであったとしたら、この差は大きいでしょう。
iDeCoの掛け金の一部または全額を還付してもらう際には、その都度1,048円(税込)の還付手数料が必要です。
掛金の還付は、iDeCoの加入条件である国民年金の未納が判明した場合や、限度額を超える拠出があった場合などに行われるもの。適切にiDeCoを利用していれば還付を受ける機会はほとんどないため、あまり気にしなくても大丈夫です。
給付金を受け取る際にも、1回につき440円(税込)の手数料が必要です。iDeCoで積み立てた資産は、原則60歳に達した時点で一括受取か分割受取か、もしくは両方を組み合わせて受け取るかを決められます。
最適な受け取り方はそのときの状況によって異なりますが、分割受取の場合は受け取るたびに給付手数料を支払う必要があることを頭の片隅に入れておきましょう。
iDeCoの手数料は金融機関ごとに差がありますが、一般的には月額171~580円(税込)程度、年間に換算すると2,050~7,330円(税込)程度です。手数料だけを見るとさほど高くは見えませんが、手数料負けには注意する必要があります。
手数料負けとは、iDeCoを運用して得られる利益よりも手数料が高くなることで、受け取る金額がマイナスになってしまうことです。手数料の高い金融機関を利用している場合は、手数料負けが起きやすいため注意しましょう。
たとえば、月々の掛金を最低ラインの5,000円に設定し、手数料500円で運用する場合、手数料が掛け金の10%を占めてしまいます。手数料負けを防ぐためには10%以上の運用益が必要ですが、資産運用で10%を上回る運用益を出し続けるのは非現実的です。
iDeCoの掛金は最低5,000円からと定められていますが、手数料を考慮すると、ある程度の額を拠出しなければ資産を増やしていくのは難しいといえます。iDeCoを始める際には、運用益と手数料のバランスにもしっかりと目配りすることが大切です。
また、iDeCoの運用時には手数料が安い金融機関を選び、手数料負けをなるべく回避することも重要なポイント。次で紹介する「iDeCoの運営管理手数料が安い・無料のおすすめ金融機関」を、あわせてチェックしてみてください。
月額かかる口座管理手数料が500円として、月額の掛金5,000円拠出するケースでは手数料が10%になります。そのため、定期預金等など元本確保型で運用すると手数料の方が高く、実質的に資産が減っていきますよ。この状態を「手数料負け」するといいます。
口座管理手数料が安い運営管理機関(金融機関)の選択が重要になるだけでなく、投資信託で運用することも必須になるでしょう。
運用コストが低いインデックスファンドでの運用や、アクティブファンドで手取りでの成果を意識する運用したり、運用商品がパッケージになっているバランス型ファンドなどを選択したりして、長期分散の運用を継続していきましょう。
最後に、iDeCoの金融機関を選ぶ際に手数料以外で気をつけておくべき注意点を確認しましょう。
iDeCoの金融機関を選ぶ際は、手数料だけではなく、投資信託や定期預金、保険などの商品が豊富に取り揃えられているかどうかを確認するようにしましょう。
商品の種類が多ければ、そのぶん選択肢を広げられます。最初は気に入った商品が見つかったとしても、のちのち運用方針を変えて商品を乗り換える可能性は十分あるので、しっかりと比較検討するようにしましょう。
高い安全性と、信頼性が確認できる金融機関を選ぶことも重要です。iDeCoは、運用成績次第で損失が生じてしまうリスクをともないます。安定した収益を生み出してきた豊富な運用実績を有するかどうかには、とくに注意しておきましょう。
iDeCoの金融機関を選ぶ際は、コールセンターやチャットサポートなど、相談体制や加入後のアフターフォローが充実しているかどうかをチェックするようにしましょう。
iDeCoの仕組みは少し複雑な部分もあるので、加入前はもちろん加入してからもさまざまな不明点が生じる可能性があります。iDeCoにはじめてチャレンジする人にとって、サポート体制が充実しているかどうかは、安心して資産を運用するための大切なポイントです。
以下の記事では、iDecoのおすすめの金融機関・商品や選び方を紹介しています。iDecoについて理解が深まったものの、どの金融機関でどの商品を運用したらよいのか迷っている人は、ぜひ参考にしてみてくださいね。
本サイトは情報提供が目的であり、個別の金融商品に関する契約締結の代理や媒介、斡旋、推奨、勧誘を行うものではありません。本サイト掲載の情報に基づいて被ったいかなる損害についても、当社及び情報提供者は一切の責任を負いません。
自分で金融商品を運用して資産形成を行うiDeCo。リスクを避けて資産を確保するために、こまめに売却して利益確定をしたほうがいいのかなど、運用方法に不安を感じている人も多いのではないでしょうか。そこで今回は、iDeCoで利益確定をするタイミングや手段について詳しく解説します。iDeCoを運用する...
ideco
自分で老後の資産を積み立てられる私的年金制度、iDeCo。現在公務員として働いており、iDeCoへの加入を検討している人もいるのではないでしょうか。将来の年金額を確保しやすい公務員でも老後は不安ですし、資産形成に役立つなら利用したいですよね。そこで今回は、公務員がiDeCoに加入するメリットに...
ideco
転職・独立・退職時に手続きが必要なiDeCo(個人型確定拠出年金)。転職したら加入中のiDeCoがどうなるのか、必要な手続きがあるのか知りたいと思っている人も多いのではないでしょうか。そこで今回は、転職したら今までのiDeCoがどうなるのかについてわかりやすく解説します。職場変更したときの対処...
ideco
年金制度改正法の改正で、老後の資産形成がよりしやすくなったiDeCo(イデコ)。入る際に年齢制限はあるのか、50・60代で加入しても遅くないのか、気になっている人も少なくないようです。そこで今回は、iDeCoに加入できる年齢の条件についてわかりやすく解説します。何歳からいつまでに加入すればメリ...
ideco
大きな節税効果があるiDeCo(個人型確定拠出年金)。しかし、iDeCoの最適な受け取り方が分からず、どうすればしっかり節税できるのか気になっている人が少なくないでしょう。そこで今回は、iDeCoを受け取るときの税金についてわかりやすく解説します。税金を大きく減らせる退職所得控除の計算方法や、...
ideco
将来に向けた資産形成ができる、iDeCoと個人年金保険。老後資金を確保するためにどちらかをはじめたいと考えているものの、どちらがよいかわからず申し込みに踏み切れない人もいるのではないでしょうか。そこで今回は、iDeCoと個人年金保険の違いやそれぞれのメリット・デメリットについて解説します。どち...
ideco
老後に向けた資産形成の重要性が高まるなか、注目が集まるiDeCo。会社員に比べて年金額が少ない個人事業主や自営業者で、加入を検討している人も多いのではないでしょうか。しかしiDeCoのメリットやデメリットがよくわからず、加入まで踏み切れないという人も多いのではないでしょうか。そこで今回は、iD...
ideco
税制優遇でお得に資産運用ができる個人型確定拠出年金「iDeCo」。iDeCoへの加入を検討しているものの、そもそもどうやって始めるのかわからない、加入資格がわからない、どの金融機関・商品を選べばいいのか知りたいなど、さまざまな悩みを抱えている人も少なくないでしょう。本記事では、iDeCoに加入...
ideco
毎月お金を積み立て、老後のための資産形成ができる私的年金制度iDeCo(イデコ)。フリーランス向けのイメージがありますが、会社員も加入できます。しかし、加入を検討しているものの、会社員が加入するための条件や方法がわからず悩んでいる人もいるのではないでしょうか。そこで今回は、会社員がiDeCoに...
ideco
老後生活への備えとして利用する人が増えている個人型確定拠出年金、愛称iDeCo。資産形成に興味を持ち、自分も始めてみたいと考えているものの、具体的にどのような制度なのかよくわからずためらっている人もいるのではないでしょうか。そこで今回は、iDeCoの仕組みや加入するメリット・デメリットについて...
ideco
長期的に積み立てて老後の生活資金にできる、確定拠出年金のiDeCo(イデコ)。入らないほうがいいなどのウワサを聞いていて、実際のところはどうなのか、入ったほうがいいのか気になっている人も少なくないはずです。そこで今回は、iDeCoのデメリットやメリットについてわかりやすく解説します。iDeCo...
ideco
公的年金にプラスして老後の資産形成ができる私的年金制度、iDeCo。加入した後で、何らかの事情により積立金がが払えなくなったらどうすればいいのか、不安に思う人もいるのではないでしょうか。そこで今回は、iDeCoが途中で払えなくなった場合の対処法について詳しく解説します。iDeCoの払い込みを停...
ideco
公的年金にプラスして給付を受けられるiDeCo。加入を検討しているものの、掛金の上限がわからない、掛金の目安を知りたいなど、さまざまな疑問が生じてしまい、申し込みに踏み切れない人も多いはずです。本記事では、iDeCoの掛金の上限を徹底的に解説します。掛金の平均や目安を決める方法なども紹介するの...
ideco
毎月一定額を積み立てて老後に備える私的年金制度、iDeCo。掛け金は月々5,000円から設定できますが、最低金額で積み立てても意味がないと考えて、始めていない人もいるのではないでしょうか。そこで今回は、月5,000円だけでもiDeCoに拠出する意味はあるのかについて解説します。5,000円しか...
ideco