公的年金にプラスして給付を受けられるiDeCo。加入を検討しているものの、掛金の上限がわからない、掛金の目安を知りたいなど、さまざまな疑問が生じてしまい、申し込みに踏み切れない人も多いはずです。
本記事では、iDeCoの掛金の上限を徹底的に解説します。掛金の平均や目安を決める方法なども紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
明治大学法学部卒業後、ITエンジニアとして自治体や金融機関のシステム開発に従事。その後、国内生保にて法人の福利厚生等のコンサルティング営業に転身。2009年より独立系FPとして開業し、一般的な個人向けFP相談の他、法人オーナー対象のコンサルを行っている。現在はコンサル経験を活かした金融ライターとしても活動中。
大学卒業後に銀行員として勤務、法人顧客の経営支援・融資商品の提案や、個人向け資産運用相談を担当。 2020年にマイベストに入社、自身の銀行員時代の経験を活かし、カードローン・クレジットカード・生命保険・損害保険・株式投資などの金融サービスやキャッシュレス決済を専門に解説コンテンツの制作を統括する。 また、Yahoo!ファイナンスで借入や投資への疑問や基礎知識に関する連載も担当している。
iDeCoには掛金の上限額があります。職業などの加入区分によって異なるため、iDeCoをはじめるときは、まず自分の加入区分を確認したうえで掛け金の上限を把握しましょう。詳細は以下のとおりです。
「国民年金の任意加入被保険者」とは、60歳以上65歳未満で、国民年金の保険を納付した期間が480か月に達していない人、20歳以上65歳未満の海外居住者で国民年金の保険を納付した期間が480か月に達していない人のうち、国民年金に任意で加入している人のことです。
なお、2024年12月1日に制度が改正され、確定給付型年金に加入している会社員や公務員は、iDeCo掛金の上限が12,000円から20,000円に引き上げられました。ただし、企業型確定拠出年金・確定給付型年金・iDeCoの掛け金額が合算して月額55,000円を超えることはできません。たとえば企業型確定拠出年金の掛金を35,000円以上に設定している会社員は、iDeCoの掛金を55,000円以上にすることができないため、20,000円を下回ります。
自分に当てはまるものがどれなのか判断するのが難しい場合は、iDeCo公式サイトの「カンタン加入診断」で確認してください。簡単な質問に答えるだけですぐに結果がでますよ。
2022年10⽉時点、iDeCo掛⾦の⽉額は全体平均で16,201円です。
加⼊区分別の平均は、第1号被保険者が28,900円、第2号被保険者が14,534円。第2号被保険者を公務員に限定すると、11,019円です。第3号被保険者は15,474円、国⺠年⾦の任意加⼊被保険者は51,586円が平均だと「国民年金基金連合会」でデータが出ています。
第1号被保険者の自営業者などは比較的多く拠出していますが、もともと手厚い年金制度がある第2号被保険者のサラリーマンや公務員は掛金が低い傾向にあります。
第3号被保険者の専業主婦などは、半分以上が20,000円以上の掛金を設定しているのも特徴的です。国民年金の任意加入被保険者は、大半の人が上限に近い額を拠出しています。
次に、iDeCo掛金の目安を決める方法を解説します。
拠出した掛金は原則60歳になるまで引き出せないため、ライフサイクルも考慮して掛金を決めることが重要です。
今の生活に支障がない範囲で掛金を設定した場合でも、まとまったお金を要するタイミングは誰にでも訪れるため、近い将来拠出するのが難しくなる可能性は十分あります。
とくに家族がいる人は子どもの進学や住宅の購入、両親の病気や介護などに関わる大きな支出が生じる可能性も高いので、いざというときのお金は手元に残しておくのがおすすめです。まずは今後必要になるであろう支出を整理し、そのうえで無理のない範囲で掛金を決めてください。
iDeCo掛金の金額は、1年に1回だけ変更することが可能です。収入や家族構成などに変化が生じた場合は、その都度金額を見直すようにしましょう。
iDeCo加入は家計を見直すチャンスです。ムダな保険はないか、使っていない月額課金サービスはないか見直してみましょう。ここで見直した数千円が将来大きな差を生みますよ。
掛金を決める際には、60歳以降に受け取りたい目標積立額や、今からiDeCoを始めた場合の運用期間などをもとに逆算するのがおすすめです。シミュレーションは簡単に行えるので、パターンごとに当てはめて実施してみてください。
以下では、ろうきんのシミュレーションを用いています。自分でやってみたい人は、ろうきんのサイトからチェックしてみてください。
たとえば、30歳から60歳までの30年間を利回り3%で運用した場合は、以下のようなシミュレーションができます。
50歳から60歳までの10年間を利回り3%で運用した場合は、以下のようにシミュレーションが可能です。
実際にはより高い利回りで運用できる可能性もありますが、シミュレーションを行う際には控えめな3%を目安に計算しておくと安心です。
最後に、iDeCoで資産運用するうえで重要なポイントをチェックしましょう。
iDeCoの掛け金は、定期的に見直しをしてください。仕事の昇進や転職、結婚などにより申し込み時点からライフサイクルが変化すると、収入に増減があったり、ローンの状況が変わったりするためです。
お金に余裕がある場合は掛金を上限額まで増額させ、税制優遇を最大限に受けられるようにしましょう。iDeCoで運用しているお金は原則60歳まで引き出せないので、その時々の収支を考慮しながら無理なく拠出できる額を設定することも大切です。
口座を開設している金融機関に加入者掛金額変更届を提出すれば、先述の通り、掛金を1年に1回だけ変更することができます。変更届はiDeCo公式サイトから入手できますが、加入区分ごとに様式が異なるので注意が必要です。
なお、2024年12月に制度改正でiDeCoの掛金を拠出できなくなった場合は、条件を満たせば脱退一時金が受給できるようになりました。受給条件は下記のとおりです。
<脱退一時金の受給条件>
(引用:厚生労働省)
iDeCoの運用は基本的に老後資金準備のための長期運用です。長期運用では積極的にリスクを取っても運用期間中にリターンの振れ幅が収まり、安定する傾向があります。そのため、途中の値下がりなどは気にせずに運用するとよいとされていますよ。
しかし、iDeCoの運用には60歳というゴールがあり、受け取り時にマイナスになるのは避けるべきです。そのため、50歳以降は過度にリスクを取り過ぎずに安定運用を目指すほうがよいでしょう。つまり、運用商品の組み合わせは時期によって変更する必要があるといえます。
iDeCoでは毎月の掛金で買い付ける商品の組み合わせを変更できるだけでなく、買い付けた商品の入れ替え(スイッチング)も可能です。
たとえば、値上がりしている資産を定期預金などに入れ替えることもできます。
iDeCoは年間240,000〜816,000円までしか拠出できませんが、新しいNISAの成長投資枠は年間240万円、つみたて投資枠は年間120万円まで拠出が可能です。
新しいNISAはiDeCoと同様に運用益が非課税になるので、お金に余裕がある人は併用して資産運用することも検討してみましょう。
原則60歳まで引き出しができないiDeCoとは異なり、新しいNISAには引き出し制限もありません。冠婚葬祭や病気、介護など急にお金が必要になったときにもすぐに現金化できるので、老後資金の確保以外が目的の場合でも気軽に資産運用を始めることができます。
新しいNISAについて詳しく知りたい人は、以下の記事をチェックしてみてください。
以下の記事では、iDecoのおすすめの金融機関・商品や選び方を紹介しています。iDecoについて理解が深まったものの、実際にどの金融機関でどの商品を運用したらよいのかわからないという人は、ぜひチェックしてみてくださいね。
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