iDeCoの運用にはポートフォリオの設定が重要だと聞いたことがあるものの、難しそうだと感じて加入をためらっている人もいるのではないでしょうか。自分に合ったポートフォリオを組まずにiDeCoの運用をはじめると、思ったように資産形成できない可能性があります。
そこで今回は、年代別にiDeCoのおすすめポートフォリオの組み方を紹介します。iDeCo初心者におすすめな商品内容やポートフォリオの変更方法についても解説するため、iDeCo加入を検討している人は参考にしてみてください。
K&Bプランニング代表。保険会社の勤務経験を活かし2012年よりファイナンシャルプランナーとして活動を開始。Webや書籍などで記事執筆、セミナー講師、家計相談などを行う。得意分野は初心者向けの資産運用、保険の見直し、貯蓄。著書に「本物の節約・残念な節約」(河出書房新社)
大学卒業後に銀行員として勤務、法人顧客の経営支援・融資商品の提案や、個人向け資産運用相談を担当。 2020年にマイベストに入社、自身の銀行員時代の経験を活かし、カードローン・クレジットカード・生命保険・損害保険・株式投資などの金融サービスやキャッシュレス決済を専門に解説コンテンツの制作を統括する。 また、Yahoo!ファイナンスで借入や投資への疑問や基礎知識に関する連載も担当している。
ポートフォリオとは、投資をする際の金融商品の組み合わせのことです。ポートフォリオを組むとは、どのような投資信託を購入するか、どの銘柄の株を何株ほど購入するか、などを検討するという意味になります。
投資には価格変動リスクや為替変動リスクなど様々なリスクがありますが、これらのリスクを軽減するために行われるのが分散投資です。分散投資では、1つの金融商品だけでなく複数の金融商品を組み合わせることで、リスク分散を図ります。
元本割れを防ぎ可能な限り利益を出すためには、iDeCoにおいても、適切なポートフォリオを組んで分散投資をすることが重要。地域・商品・銘柄・時間など、最適な組み合わせを検討する必要があります。
最適なポートフォリオは家族構成や年齢・収入、許容できるリスクの度合いなどによって異なるため、自分の状況に合わせて考える必要があります。以下に、年代別のおすすめポートフォリオを紹介するので、ひとつの参考にしてください。
20代はほかの年代と比べて、長期の運用期間を確保できるところが強みです。時間の強みを活かすためにも、少額からでもいいので少しずつ資産形成をはじめましょう。
長期期間の投資のメリットは、複利効果が大きくなることと価格変動リスクが小さくなることです。20代は運用期間が長いため、運用で得られた利益を再投資していくことで複利効果を得やすく、資産形成がしやすい傾向にあります。
また投資期間が長くなると価格変動リスクが小さくなるため、安定した収入を期待できます。そのためiDeCoの商品のなかでは比較的ハイリスク・ハイリターンである、国内・先進国・新興国の株式を50%以上にしたポートフォリオがおすすめです。
30代にも積極的な投資を心がけたポートフォリオがおすすめです。20代と同様に長期の運用期間を確保でき、まだまだリスクを取れるため、株式型の商品の比率を高めてもよいでしょう。
ただし30代となると出産やマイホームの購入をする人も多いため、ライフスタイルの変化に合わせてポートフォリオも調整する必要が生まれてきます。リスクを抑えたい場合は、比較的ローリスクな債券の割合を増やしてみるのもひとつの手です。
iDeCoの運用期間が20年ほどになる40代には、運用のゴールを意識しつつも積極的な投資を心がけたポートフォリオがよいでしょう。リスクを取って、株式型の比率を高くしたものでも可能です。
リスクを取らず安定を求める場合は、株式多めのポートフォリオはおすすめしません。特に子供が大学に入学するなどのライフイベントがある場合、多額の教育費がかかるためローリスク・ローリターンの投資がおすすめです。できるだけ資産を減らさないためにも、債券の割合を増やして株式の割合を減らすとよいでしょう。
退職年齢が近づき運用期間が限られてくる50代は、できる限り資産を減らさないようなポートフォリオを組むことがポイントです。運用期間が短い状態でハイリスクの商品を多めにすると、大きく資産が減る可能性があり危険です。債券型商品の比率を高めたポートフォリオもおすすめです。
50代がある程度のリターンを狙いたいなら、株式型の投資信託の比率を高めるのもよいでしょう。一方、バランス型の投資信託の組み入れると、1つの商品で複数の資産にバランスよく投資できるため、価格変動リスクを抑えられる効果が期待できます。
ポートフォリオ自体を変動の小さい債券へ変更することも重要ですが、資産を減らさないために、リスクの低い定期預金(現金)に資産の一部を移しておくことも考えましょう。
iDeCoで資産を減らさず安定した利益を狙いたい場合、インデックス型ファンドがおすすめです。インデックス型とは、日経平均株価やS&P500指数といった指数に連動するタイプの投資信託を指します。
インデックスファンドは値動きのわかりやすさから、安定した利益を狙う人のほかに、投資知識が少ない投資初心者にもおすすめです。
インデックスファンドはコストの低さが魅力。信託報酬が1%以下のファンドを選ぶことが理想的です。
iDeCoのリスクを抑えつつ運用の手間を省きたい場合、バランス型ファンドがおすすめです。バランス型とは国内外の株式・債券・REITなど、1つの商品で複数の資産にバランスよく投資できるタイプの投資信託です。
バランス型であれば自然に分散投資ができるだけでなく、運用会社が自動的にリバランスを行ってくれるというメリットがあります。リバランスとは資産配分比率を最適なポートフォリオに調整する作業で、リスクコントロールに役立ちます。少ない手間でリスクを減らした運用が可能となるため、インデックス型と同様にバランス型も投資初心者におすすめです。
ただしバランス型の場合、組み入れる資産の割合によって、リスクが大きく異なる点に注意しなければなりません。例えば成長を重視しているバランス型の場合、株式の割合が増えてリスクが高くなる場合があります。バランス型だからといって、一概にリスクが低いというわけではないことを知っておきましょう。
配分変更とは、今後購入する商品や割合を変更する方法です。例えば毎月10,000円の拠出で、配分を国内債券に5,000円(50%)、国内株式に3,000円(30%)、海外株式に2,000円(20%)としていたとしましょう。この配分を国内債券に7,000円(70%)、定期預金に3,000円(30%)のように変えることが配分変更です。
配分変更では商品自体を変更することも、商品は同じまま投資割合だけを変更することもできます。このように配分変更を行うことで、リスクやリターンを調整することが可能です。ただし毎月の掛金の合計金額は、配分変更では変えられません。
なお、配分変更の対象となるのは変更後の運用資産のみです。配分変更を行ってもこれまで積み立ててきた資産の割合は変更されないため、配分変更前の資産についてはリスク・リターンともに変わりがありません。
スイッチングとは、これまでに貯まった資産残高の商品の種類や配分を変更する方法です。つまり、一旦資産を売却して新たな商品を購入します。
例えば、国内株式・国内債券・海外株式にそれぞれ100万円の資産があったとします。それらをいったん売却して、国内株式に200万円、国内債券に50万円、海外株式に50万円、のように資産割合を変更することがスイッチングです。
スイッチングを行う場合には、手数料とタイミングに注意する必要があります。信託財産留保額(売却時手数料)が設定されている商品をスイッチングをすると、手数料がかかります。また運用商品の価格が低いときにスイッチングをすると、資産が減る可能性があるためタイミングには気をつけましょう。
以下の記事では、iDecoのおすすめの金融機関・商品や選び方を紹介しています。iDecoについて理解が深まったものの、実際にどの金融機関でどの商品を運用したらよいのかわからないという人は参考にしてみてくださいね。
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