公的年金にプラスして老後の資産形成ができる私的年金制度、iDeCo。加入した後で、何らかの事情により積立金がが払えなくなったらどうすればいいのか、不安に思う人もいるのではないでしょうか。
そこで今回は、iDeCoが途中で払えなくなった場合の対処法について詳しく解説します。iDeCoの払い込みを停止した場合のデメリットや、掛金を減額する方法についても解説するので、iDeCoの加入を検討している人や、現在支払いが苦しくなって悩んでいる人は最後までチェックしてみてください。
大学卒業後に銀行員として勤務、法人顧客の経営支援・融資商品の提案や、個人向け資産運用相談を担当。 2020年にマイベストに入社、自身の銀行員時代の経験を活かし、カードローン・クレジットカード・生命保険・損害保険・株式投資などの金融サービスやキャッシュレス決済を専門に解説コンテンツの制作を統括する。 また、Yahoo!ファイナンスで借入や投資への疑問や基礎知識に関する連載も担当している。
以下では、iDeCoが途中で払えなくなったために生じるデメリットについて解説します。
iDeCoを途中で支払えなくなると、のちに一時金を受け取る際に、支払う税が高くなる可能性があります。掛金未払い期間は「退職所得控除」の計算から除外されてしまうためです。
iDeCoに加入するメリットのひとつは、受け取り方法で一時金を選択した場合に退職所得控除の適用対象となり、税制上の優遇を受けられること。その際、iDeCoの運用期間が長いほど退職所得控除額は大きくなる仕組みになっています。
退職所得控除の金額は掛金を拠出した月数と連動しているため、掛金の未払いによって拠出期間が少なくなれば、そのぶん控除額も減ってしまうので十分な恩恵が受けられなくなります。
iDeCoの掛金を支払えない期間中は、所得控除が受けられなくなるというデメリットもあります。iDeCoは、掛金の全額が所得控除の対象となっており、所得税・住民税が軽減されますが、掛金を支払えなかった期間はそのメリットを享受できません。
掛金の追納は認められておらず、あとから未納分の補填はできないため、注意しましょう。
次に、iDeCoを支払えなくなった際に取るべき対処法について解説します。
iDeCoの掛金が途中で支払えなくなったときは、掛金を減額するのが一般的な対処法です。掛金の最低拠出額は5,000円で、金額は1,000円単位で設定できます。無理のない拠出額に設定し、月々の負担を減らしましょう。
掛金額の変更は年に1回変更が可能で、12月分から翌年11月分で区切られています。掛金の変更をする場合は、加入者区分に応じた加入者掛金額変更届を、運営管理機関に提出しましょう。
iDeCoの掛金が途中で支払えなくなったときには、運用指図者になることで対処する方法もあります。運用指図者になると掛金の払い込みを中止して、積み立てたお金の運用のみ継続が可能です。運用指図者に変更登録するには、運営管理機関に加入資格喪失届を提出します。
ただし運用指図者になるとデメリットもあるため、まずは掛金の減額を検討し、支払い停止は最後の手段としたほうがよいでしょう。
デメリットとして挙げられる点は、運用指図者に変更しても、継続して毎月発生する手数料があることです。事務委託手数料として66円がかかるほか、運営管理機関によって異なりますが運営管理手数料や、運用商品として投資信託を選択している場合は信託報酬などを支払う必要があります。
また、運用指図者である期間については、退職所得控除を計算する際の勤続年数にカウントされません。さらに、iDeCoの口座を一度停止すると再開するには手続きが必要となり、時間がかかるので注意してください。
老後の資産形成を目的として作られた制度であるiDeCoは、原則として60歳まで解約できないと考えておきましょう。2024年12月の法改正により、脱退一時金の受給要件が見直されましたが、脱退が認めらるには下記要件を満たさないとなりません。
<脱退一時金の需給要件>
掛金を拠出していない期間は含みません
(引用:iDeCo公式サイト)
なお、預け入れた資産を脱退一時金として受け取れる場合は、一時所得として課税対象となり税制上の優遇は受けられないので注意しましょう。
以下の記事では、iDeCoにおすすめの金融機関・商品や選び方を紹介しています。iDeCoについて理解が深まったものの、実際にどの金融機関でどの商品を運用したらよいのかわからないという人は、ぜひ参考にしてみてくださいね。
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