毎月お金を積み立て、老後のための資産形成ができる私的年金制度iDeCo(イデコ)。フリーランス向けのイメージがありますが、会社員も加入できます。しかし、加入を検討しているものの、会社員が加入するための条件や方法がわからず悩んでいる人もいるのではないでしょうか。
そこで今回は、会社員がiDeCoに加入するための条件についてくわしく解説します。会社に知られたくない場合の加入方法や転職・退職した場合の手続き方法も説明するので、参考にしてみてくださいね。
大手金融機関に入行後、海外赴任を含め10年以上勤務。その後、2009年8月にファイナンシャル・プランナー資格取得。現在は、独立系FPとして契約者の立場に立って真剣に対応することをモットーに、個人相談やセミナー講師、執筆活動を行っている。
大学卒業後に銀行員として勤務、法人顧客の経営支援・融資商品の提案や、個人向け資産運用相談を担当。 2020年にマイベストに入社、自身の銀行員時代の経験を活かし、カードローン・クレジットカード・生命保険・損害保険・株式投資などの金融サービスやキャッシュレス決済を専門に解説コンテンツの制作を統括する。 また、Yahoo!ファイナンスで借入や投資への疑問や基礎知識に関する連載も担当している。
会社員はiDeCoの加入区分で「国民年金の第2号被保険者」に該当しており、問題なく加入が可能です。ただし、勤務先で企業型確定拠出年金(企業型DC)・確定給付型企業年金(DB)などに加入している場合、各月の企業型の事業主掛金額と合算して上限が設定されます。
企業型DCなどと併用してiDeCoに加入する場合、合算した上限は55,000円です。企業型DCの事業主掛金額は55,000円以内、iDeCoの掛金は20,000円以内ですが、合算の上限を超えることはできません。確定給付型企業年金(DB)や厚生年金基金・石炭鉱業年金基金・私立学校教職員共済制度に加入している人も同様です。
条件を満たせば会社員もiDeCoに加入できますが、掛金上限額は自営業者と異なります。ほかの制度を利用しているかどうかによっても上限額は変わるので、それぞれ確認しましょう。
勤務先で企業年金の制度に加入していない場合は、月23,000円まで掛けられます。年額にすると、27万6,000円までです。
自営業者の掛金上限は月額6万8,000円、年額81万6,000円までなので大きな差がありますが、自営業者は公的年金額が少ないために、iDeCoの上限額が高く設定されていると理解しておきましょう。
これまで会社員がiDeCoに加入するためには、会社で発行してもらう「事業主証明書」を提出しなければなりませんでした。しかし、2024年12月の法改正で事業主証明書の提出が不要になったため、今後は会社に知られずにiDeCoに加入できる可能性が高いでしょう。
会社員がiDeCoに加入することで得られる大きなメリットは、高い節税効果です。
会社員は自営業者と比べて節税方法が限られますが、iDeCoに加入すれば掛金全額が所得控除の対象になります。その結果、所得税や住民税の算出のベースとなる課税所得額を抑え、支払う税金を減らすことが可能です。
ただし、控除を受けて節税するためには年末調整の際に申請しなければなりません。iDeCoに加入すれば自動的に税金が減るわけではないので、申請を忘れないようにしましょう。
会社員のiDeCoの掛金の年末調整は手順通りに行いましょう。国民年金基金連合会から「小規模企業等掛金払込証明書」が届くので、年末調整の「給与所得者の保険料控除申告書」へ合計金額を記入し、原本を勤務先へ提出してください。
期日までに書類を提出できなかった場合は、確定申告を自ら行わなくてはなりません。年末調整と同様の書類が必要です。確定申告の場合は源泉徴収票も税務署への提出が必要になります。
税務署への申告期限は翌年の3月15日までのため、確定申告が必要な場合は忘れずに行いましょう。
別の企業に転職する場合は、転職先の年金制度によってiDeCoを継続できるかどうかが変わります。
転職先で企業型DCに加入する場合は、iDeCoから企業型DCにこれまで積み立てた資産を移換することが可能です。資産の積み立ては継続できますがiDeCoの加入者資格は喪失するので、運営管理機関に「加入者資格喪失届」と証明書類を提出する必要があります。
転職先で企業型DCに加入しない場合は、iDeCoの加入を継続可能です。企業型DCとiDeCoの併用が認められている場合もiDeCoの加入資格を失いませんが、掛金拠出上限額が減る可能性があるため注意しましょう。
転職後もiDeCoの利用を継続する場合は、「加入者登録事業所変更届」などの書類を運営管理機関に提出する必要があります。書類の提出が遅れると掛金の引き落としが停止されることもあるので、転職に伴う届出はスムーズに行いましょう。
会社を退職し個人事業主になっても、iDeCoの加入は継続できます。この場合の加入区分は国民年金の第1号被保険者になるので、運用管理機関に「加入者被保険者種別変更届(第1号被保険者用)」の提出が必要です。
個人事業主になるとiDeCoの掛金上限が月額68,000円、年額81万6,000円にアップするため、必要に応じて掛金額の変更も検討し年金資産の確保につなげましょう。
会社員からフリーランス(個人事業主)になる人は、「国民年金基金」もiDeCoと併用が可能です。
ただし、毎月拠出できる掛金の上限額はiDeCoと国民年金基金の両方を合計して月額6万8000円までとなります。
両者を比較したときの最も大きな違いは、iDeCoは資産運用を自分で行うのに対して、国民年金基金は自分で運用しない確定年金で、生きている間はずっともらえるということです。
【iDeCo】
【国民年金基金】
自分で運用のリスクをとりたくない人、長生き家系の人などは、国民年金基金も検討すると安心かもしれません。
以下の記事では、iDecoのおすすめの金融機関・商品や選び方を徹底解説しています。iDecoについて理解が深まったものの、実際にどの金融機関でどの商品を運用したらよいのかわからないという人は、ぜひ参考にしてみてくださいね。
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