自分で金融商品を運用して資産形成を行うiDeCo。リスクを避けて資産を確保するために、こまめに売却して利益確定をしたほうがいいのかなど、運用方法に不安を感じている人も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、iDeCoで利益確定をするタイミングや手段について詳しく解説します。iDeCoを運用するうえで耳にすることが多いスイッチングと配分変更の違いや、利益確定の基本的な考え方についても解説するので、ぜひチェックしてみてください。
将来のお金の不安をなくすためには、長期的なライフプランを立てて将来のマネープランを作ることと、日々の家計管理が必要だと実感。保険、住宅ローン、教育費、老後資金準備など、「誰からも教わらなかったけれど生活するうえで必要なお金の知識」を、マネーコラム執筆やセミナー講師、個人相談などを通じて伝えている。DC(確定拠出年金)アドバイザー、キャリアコンサルタントの資格も生かし、お金とキャリアの相談に幅広い視点で対応。
大学卒業後に銀行員として勤務、法人顧客の経営支援・融資商品の提案や、個人向け資産運用相談を担当。 2020年にマイベストに入社、自身の銀行員時代の経験を活かし、カードローン・クレジットカード・生命保険・損害保険・株式投資などの金融サービスやキャッシュレス決済を専門に解説コンテンツの制作を統括する。 また、Yahoo!ファイナンスで借入や投資への疑問や基礎知識に関する連載も担当している。
利益確定とは、運用中の商品に利益が出ているときに、いったん売却して利益を確定することです。
iDeCoで運用できる金融商品は、大きく分けて元本確保型と価格変動型の2つがあり、価格変動型である投資信託などは、毎日変動する株式市場に連動して価格が変わります。値上がりして利益が出ることもありますが、暴落などで大きく値下げする場合もあるでしょう。
iDeCoは原則として60歳まで解約できないため、保有している商品に利益が出ているときに利益を確定すれば、元本割れなどのリスクを抑えることができます。
以下では、iDeCoの利益確定をする際の基本的な考え方について解説します。
iDeCoを投資信託で運用する場合、短期的な値動きに合わせて、頻繁に利益確定をする必要はありません。iDeCoでは、長期の投資を前提に運用することで効果的に資産形成ができ、安定した利益を得られるからです。
定期的に一定額を積立投資するiDeCoの場合、価格が高いときには少なく、低いときには多くの金融商品を購入できます。長期運用するうちに1回あたりの投資価格は平均化されていくため、急な値下がりなどが生じても損失の軽減が可能です。
相場は常に上がり下がりを繰り返すため、短期的に損失が出ても焦って利益確定をせず、気長に待つことがポイントです。
iDeCoを始める際には、年齢やリスク許容度に応じて、株式や債券の資産配分(ポートフォリオ)を決めておくとよいでしょう。日本だけでなく外国にも投資することで、さらにリスク分散が可能です。
日本株投資信託、外国株投資信託など単一の資産で構成されるファンドを組み合わせたポートフォリオの場合、自分で資産配分を定期的に調整する必要があります。
あまり運用に手間をかけられない人は、ファンド内で配分を調整してくれるバランス型投資信託を選ぶのがよいでしょう。
iDeCoでは年に1回程度、定期的なリバランスを通して利益確定するとよいでしょう。リバランスとは、資産配分の再調整という意味。運用中に、はじめに設定した最適な資産配分割合からかけ離れてしまった場合に、当初の最適な状態に戻すのがリバランスの考え方です。
割合が崩れたまま運用を続けると、保有割合が増えた資産の価値が急落した際に、資産総額が大きな影響を受けてしまうため、リバランスを行い定期的にリスク管理をしましょう。
例えば、運用のバランスが崩れたら、値上がりして保有割合が増えた商品を一部売却し、逆に値下がりした商品に追加投資をして利益を確定します。リバランスは、安いときに買い、高いときに売る投資の原則に基づいているため、安定した運用成果が期待できるでしょう。
iDeCoで利益確定をする場合は、スイッチングを行いましょう。スイッチングとは、これまでに積み立ててきた資産の一部を売却し、商品構成などを変更することです。たとえば、商品A・B・Cを保有している場合に商品Aの一部を売却して、商品Dを購入することを指します。
iDeCoは60歳まで解約できないため、利益が生じたタイミングで現金化して手元に確保することはできず、値下がりによって減少したり損失が出たりする可能性もあります。しかし、スイッチングで利益が出た分を売却し、元本確保型の商品を購入すれば、利益の確定が可能です。
スイッチングで利益が出たとしても、iDeCo口座の運用益は非課税のため、税金はかかりません。また、スイッチング自体の手数料も基本的には無料ですが、信託財産留保額といった売却時手数料が設定されている商品は費用がかかるため注意が必要です。
40代までは資産を増やす時期のため、資産配分のバランスを取るためのスイッチングが中心となる場合が多いです。
50代以降は、受け取り時期を見据えて少しずつ利益確定のためのスイッチングをするとよいでしょう。
iDeCoの掛金は長期に少しずつ投じているので、利益確定のスイッチングも回数を分けて行うことで、よりリスクを分散することができますよ。
配分変更とは、毎月の掛金で購入する商品や配分を変更する手続きのことを指し、商品構成を変える手法として、スイッチングとあわせて活用できます。
たとえば、これまで商品A・B・Cに10,000円ずつ掛金を拠出していたものを、商品Aに20,000円、Bに5,000円、Cに5,000円の拠出に変更することが、配分変更です。
受け取り時期が近づくなどの年齢や運用環境の変化に応じて、リスクを取って高いリターンを目指す運用から、リスクを小さくした運用に変更したい場合などに実施するとよいでしょう。
スイッチングと異なり、これまで積立をした資産の割合は変わりません。配分変更は、利益確定を目的として行うものではなく、運用変更の手段のひとつと捉えておきましょう。
iDeCo以外の資産状況にもよりますが、50代以降は株に投資する割合を徐々に減らしていくように配分変更をしていくと、受け取り時に資産が大きく変動するリスクを抑えることができますよ。
次に、iDeCoで利益確定をする際のおすすめのタイミングについて解説します。
さまざまな考え方があるものの、20代から40代までの人は、iDeCoで投資している商品の価格が下がり、一時的に資産額が減ったとしても、そのまま運用を続けるのが一般的な考え方です。
iDeCoの運用の目的は、一定の年齢までに資産形成をすること。相場は常に変動を繰り返しており、運用のゴールとなる60歳までに金融商品の価格が回復する可能性があるため、20代から40代のうちは挽回のチャンスが充分にあると考えられます。
一定の金額を積立し購入していれば、金融商品の価格が下がっているときは安値で購入でき利益が生じるため、運用を継続していくとよいでしょう。
50代以上の人は利益確定を検討し、利益を大きく増やすよりも資産を守ることを重視するのがおすすめです。とくに60歳のタイミングで年金を受け取りたい場合は、運用期間が短いため、相場の回復を期待するよりも資産の確保を優先したほうが無難でしょう。
50代以上の人が利益確定をする場合には、元本確保型の定期預金や価格変動の少ない債券中心の投資信託などに切り替えると、安全に運用できます。
ただし、受け取り開始年齢を75歳まで遅らせることもできるため、焦って利益確定せず、相場の回復を待ってから受け取るのもひとつの手です。
本サイトは情報提供が目的であり、個別の金融商品に関する契約締結の代理や媒介、斡旋、推奨、勧誘を行うものではありません。本サイト掲載の情報に基づいて被ったいかなる損害についても、当社及び情報提供者は一切の責任を負いません。
お得な税制優遇を受けられる私的年金制度のiDeCo。加入に向けて動き出したものの、手数料の種類が多くてよくわからない、手数料が安い金融機関を知りたいなど、さまざまな疑問や不安を感じている人も多いはずです。本記事では、iDeCoに必要な手数料の種類や、口座管理料が安い金融機関などを紹介します。i...
ideco
税制優遇でお得に資産運用ができる個人型確定拠出年金「iDeCo」。iDeCoへの加入を検討しているものの、そもそもどうやって始めるのかわからない、加入資格がわからない、どの金融機関・商品を選べばいいのか知りたいなど、さまざまな悩みを抱えている人も少なくないでしょう。本記事では、iDeCoに加入...
ideco
老後生活への備えとして利用する人が増えている個人型確定拠出年金、愛称iDeCo。資産形成に興味を持ち、自分も始めてみたいと考えているものの、具体的にどのような制度なのかよくわからずためらっている人もいるのではないでしょうか。そこで今回は、iDeCoの仕組みや加入するメリット・デメリットについて...
ideco
大きな節税効果があるiDeCo(個人型確定拠出年金)。しかし、iDeCoの最適な受け取り方が分からず、どうすればしっかり節税できるのか気になっている人が少なくないでしょう。そこで今回は、iDeCoを受け取るときの税金についてわかりやすく解説します。税金を大きく減らせる退職所得控除の計算方法や、...
ideco
毎月お金を積み立て、老後のための資産形成ができる私的年金制度iDeCo(イデコ)。フリーランス向けのイメージがありますが、会社員も加入できます。しかし、加入を検討しているものの、会社員が加入するための条件や方法がわからず悩んでいる人もいるのではないでしょうか。そこで今回は、会社員がiDeCoに...
ideco
将来に向けた資産形成ができる、iDeCoと個人年金保険。老後資金を確保するためにどちらかをはじめたいと考えているものの、どちらがよいかわからず申し込みに踏み切れない人もいるのではないでしょうか。そこで今回は、iDeCoと個人年金保険の違いやそれぞれのメリット・デメリットについて解説します。どち...
ideco
老後に向けた資産形成の重要性が高まるなか、注目が集まるiDeCo。会社員に比べて年金額が少ない個人事業主や自営業者で、加入を検討している人も多いのではないでしょうか。しかしiDeCoのメリットやデメリットがよくわからず、加入まで踏み切れないという人も多いのではないでしょうか。そこで今回は、iD...
ideco
年金制度改正法の改正で、老後の資産形成がよりしやすくなったiDeCo(イデコ)。入る際に年齢制限はあるのか、50・60代で加入しても遅くないのか、気になっている人も少なくないようです。そこで今回は、iDeCoに加入できる年齢の条件についてわかりやすく解説します。何歳からいつまでに加入すればメリ...
ideco
転職・独立・退職時に手続きが必要なiDeCo(個人型確定拠出年金)。転職したら加入中のiDeCoがどうなるのか、必要な手続きがあるのか知りたいと思っている人も多いのではないでしょうか。そこで今回は、転職したら今までのiDeCoがどうなるのかについてわかりやすく解説します。職場変更したときの対処...
ideco
自分で老後の資産を積み立てられる私的年金制度、iDeCo。現在公務員として働いており、iDeCoへの加入を検討している人もいるのではないでしょうか。将来の年金額を確保しやすい公務員でも老後は不安ですし、資産形成に役立つなら利用したいですよね。そこで今回は、公務員がiDeCoに加入するメリットに...
ideco
長期的に積み立てて老後の生活資金にできる、確定拠出年金のiDeCo(イデコ)。入らないほうがいいなどのウワサを聞いていて、実際のところはどうなのか、入ったほうがいいのか気になっている人も少なくないはずです。そこで今回は、iDeCoのデメリットやメリットについてわかりやすく解説します。iDeCo...
ideco
公的年金にプラスして老後の資産形成ができる私的年金制度、iDeCo。加入した後で、何らかの事情により積立金がが払えなくなったらどうすればいいのか、不安に思う人もいるのではないでしょうか。そこで今回は、iDeCoが途中で払えなくなった場合の対処法について詳しく解説します。iDeCoの払い込みを停...
ideco
公的年金にプラスして給付を受けられるiDeCo。加入を検討しているものの、掛金の上限がわからない、掛金の目安を知りたいなど、さまざまな疑問が生じてしまい、申し込みに踏み切れない人も多いはずです。本記事では、iDeCoの掛金の上限を徹底的に解説します。掛金の平均や目安を決める方法なども紹介するの...
ideco
毎月一定額を積み立てて老後に備える私的年金制度、iDeCo。掛け金は月々5,000円から設定できますが、最低金額で積み立てても意味がないと考えて、始めていない人もいるのではないでしょうか。そこで今回は、月5,000円だけでもiDeCoに拠出する意味はあるのかについて解説します。5,000円しか...
ideco
お得な税制優遇が魅力のiDeCo。加入を検討している、もしくはすでに加入している人のなかには、年末調整や確定申告をする理由がわからない、所得控除でいくら得するのか知りたいなど、さまざまな疑問を抱えている人も少なくないでしょう。本記事では、iDeCoの年末調整や確定申告の必要性を解説します。年末...
ideco