B&W Px8を徹底レビュー！Px7 S2eとの違いは？

音質を確認するため、20代までの男女10名がコーデックaptX Adaptiveに対応したAndroid端末でAmazon Music Unlimitedから曲を視聴。その結果、どの帯域もバランスよく鳴っており非常に高音質でした。

音の傾向を調べるために周波数帯域も計測しましたが、上記のグラフからもわかるように、すべての帯域でバランスを重視した耳馴染みのよい音です。とくにアコースティックやジャズとマッチするでしょう。

低音は、厚みと芯がありなめらか。音と空気の振動を感じ、ベースとバスドラムの違いをはっきり聴き分けられます。同社のPx7S2eと比べると低音のドスンとした迫力は控えめですが、モニターからは「しっかりと下支えしている」と安定感が評価されました。

＜低音についてのモニターコメント＞

1. 「音と響き方の両方によってベースとバスドラムの違いを聴き分けられる。厚みがあって響きもあるリズミカルな低音で好みだった」
2. 「質のよい低音が特徴的で各楽器の空気感が非常によく再現されていた」
3. 「タイトでまとまりがあって、他帯域とのバランス重視の低音。音の響きやふくよかさはそこまで感じづらいがブーミーかつ安定感のある低音で、しっかりと下支えしている」
4. 「厚みと芯がありそこに滑らかな響きがついてくれているので、とても耳に馴染みやすい低音」

コメントは一部抜粋

高音は、トランペットの音の抜けやハイハットのキレのよい金属音が、シャープかつ伸びやかに聴こえます。管楽器の空気感・ボーカルの位置関係も把握でき、再現性が非常に高いと感じました。モニターからは「シンセサイザーなどの超高音でもピーキーせずに鳴らせていた」との声もあがっています。

中音域ではボーカルの輪郭が際立ち、近くにいるかのよう。吐息や語尾の消え入る様子・抑揚やビブラートなどもはっきり聴こえました。比較したPx7S2eも高音質でしたが、中音域のボーカルは若干控えめに感じ、リアルさにかけたという声も。トランペットや弦楽器の高音がややきつく感じたモニターもいました。

1. 「トランペットの音の抜けていく感じやハイハットのキレのよい金属音的な音のシャープさがしっかりと再現されていて気持ちがよい」
2. 「シンセサイザーなどの超高音でもピーキーせずに鳴らせていた」
3. 「どのシンバルをスティックのどの位置を当てて鳴らしているのかがわかるくらい、定位や抑揚が細やかに表現されている」

コメントは一部抜粋

Px7 S2eだけでなく、比較した全商品のなかで差がついたのが、解像度と臨場感。全音域に厚みがあるにも関わらず、音数が多いパートも粒立ち、楽曲全体をとおしてクリアな音質でした。

振動板には、同社の100万円クラスのスピーカーにも搭載されているカーボンドーム・トゥイーターに着想を得た、40mmのカーボンコーンを採用しています。メーカーが「歪みのない圧倒的な高解像度と広大で非常に細かな空間表現力」と謳うにも納得です。

モニターからは「コーラスはまったく混ざり合うことなく、各パートが鮮明に判別できる」「ギターの音色も非常にクリアで、心地よく聴こえる」と絶賛されました。

＜解像度についてのモニターコメント＞

1. 「どの音域の音もクリアで鮮明に鳴っていて、音数が多いところでもきれいに聴き分けができて気持ちがよい」
2. 「コーラスはまったく混ざり合うことなく各パートが鮮明に判別できる。ギターの音色も非常にクリアで、心地よく聴こえる」
3. 「楽曲全体を通してクリアな音質で、音単位で聴き取ることができる」

コメントは一部抜粋

ライブ会場にいるような臨場感も特筆すべき点。Px7 S2eは音の広がりが足りず、若干こもった感もあり没入感は控えめでした。対してこちらは360度空間に響く聴こえ方で、ダイナミックさが光ります。それでいて音の一体感があり、聴き疲れなく曲を楽しめました。

「これまで使ってきたものより頭ひとつ抜ける音質」と口コミで評されるのにも頷けます。好きな曲の意図する世界観を堪能したい人・音質にとことこんこだわる人には、まず候補となる商品でしょう。

コメントは一部抜粋

ノイズキャンセリングも、比較したほかの商品と同様に優秀です。ダミーヘッドマイクが聴き取った音を分析ソフトで測定した結果、どの帯域のノイズも満遍なくカットできていました。周囲の音を気にせずサウンドを楽しめるでしょう。

＜ノイズキャンセリング後の騒音値＞

• 電車の音（50～1kHz）：13.5dB
• 電車の音（1～4kHz）：19.9dB
• クラップの音：22.9dB
• サイレンの音（500～1K）：18.5dB
• サイレンの音（2～4K）：14.1dB

とくに高い音をしっかり低減できており、クラップ音は何もつけていない状態と比べて22.9dBも抑えられていました。比較したなかにはどの音も20dB以上低減した商品がありましたが、口コミで指摘されていたほど弱くはありません。どこで聴いていても没入感を得られるでしょう。

外音取り込みも可能です。安全性を考慮したい交通量の多い道路を歩いているときやお会計時など、音を聴きたいシーンでもいちいちヘッドホンを外さずに済みますよ。

フィット感を高める工夫が随所に見られました。イヤーパッドには、密着感を高めるメモリーフォームが使われています。オーバーイヤー型でイヤーカップの深さが2.2cmあり、ふかふかで柔らかいつけ心地です。

ヘッドバンドの長さは、30.4~37.2cmまで無段階で調節可能。クッションがあり頭の形にフィットしやすいでしょう。

ただし、本体重量は320gと、比較したなかでも重めです。「装着感が重い」と口コミにあるように、長時間の使用では疲れる可能性があります。イヤーパッドは蒸れやすいレザー素材のため、メッシュ素材の商品と比べると夏場は不快に感じやすいでしょう。

便利な機能も充実しています。音声通話ができるマイクは両サイドにあり、ノイズカット機能も搭載。比較した一部商品が非対応だった2台同時に接続できる、マルチポイント接続にも対応していました。PCで音楽を聴いているときにスマホに着信があっても、スマートに出られますよ。

Androidのみの対応ですが、ペアリンングアシストに対応しており、一度登録しておけばBluetoothとすぐ接続できます。充電端子は汎用性の高いType-Cです。PCと接続すればバッテリーを充電しながら音楽も楽しめます。有線ケーブルは3極が付属し、USBやイヤホンジャックでも接続が可能です。

有線・無線の切り替えができ、どちらもaptXTM Adaptiveコーデック・48kHz/24bitまでの音質に対応しています。有線接続では、さらなる高音質が体感できるでしょう。ただし、有線接続であっても、ヘッドホンの電源をONにしないと音楽は聴けません。

操作は、両サイドのイヤーカップに振り分けられた物理ボタンで行います。再生/停止・曲のスキップ操作・音量調整・NC/外音取り込みの切替などの、基本操作が可能です。スマホをカバンやポケットに入れていても、取り出す手間はありません。

左側のイヤーカップのボタンは、スマホの音声アシスタントの呼び出しに割り当てることもできます。タッチ操作はできませんが、物理ボタンで確実に押せるのでタッチは誤操作が気になる…という人も使いやすいでしょう。

比較したなかでもごく少数だった、着脱検知機能も搭載されています。耳から離すと自動で音楽を止められるので、レジや話しかけられたときもさっと対応できますよ。

連続再生時間は30時間。比較した商品には50～70時間とより長持ちするものもありましたが、1日中つけっぱなしでも問題ありません。使用頻度がそこまで多くなければ、充電の頻度が手間だと感じることは少ないでしょう。

クイック充電に対応しているのは大きな魅力です。わずか15分の急速充電で連続7時間再生が可能。朝急いで出かけなければならないときも、さっと充電できて便利ですよ。

スマホアプリも活用しましょう。「Bowers & Wilkins Musicアプリ」を提供しており、直接音楽をストリーミングしたり、充電残量を確認したりできます。ノイズキャンセリングの調整も行えますよ。

調節できるサラウンドの種類は物足りません。詳細は以下のとおりです。

1. 自動パーソナライズ機能｜✕
2. 選択式パーソナライズ機能｜✕
3. 選択式イコライザー調節｜✕
4. 自由調節型イコライザー調節｜◯
5. 空間オーディオ｜✕

アプリではイコライザー調節が可能ですが、高音・低音のみと少なめです。比較したなかにはすべて調節が可能な商品もあったことを思うと、自分好みの音にカスタマイズしたい人には不向きでしょう。