最大で数週間ポジションを保有し、決済のタイミングを計るFXのスイングトレード。日頃忙しく、こまめにチャートを確認するのが大変な人におすすめの投資手法です。
そこで今回は、FXのスイングトレード手法について詳しく解説します。具体的なやり方やコツも紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
大学卒業後に銀行員として勤務、法人顧客の経営支援・融資商品の提案や、個人向け資産運用相談を担当。 2020年にマイベストに入社、自身の銀行員時代の経験を活かし、カードローン・クレジットカード・生命保険・損害保険・株式投資などの金融サービスやキャッシュレス決済を専門に解説コンテンツの制作を統括する。 また、Yahoo!ファイナンスで借入や投資への疑問や基礎知識に関する連載も担当している。
スイングトレードとは、数日から数週間の間に取引を完了させる取引手法です。ほかの取引方法との違いも含めて詳しく解説します。
FXのスイングトレードとは、ポジションと呼ばれる約定済で未決済の状態を数日から数週間保有し、値上がりしたタイミングで決済して利益を得る取引手法です。
代表的な投資である株式投資でも信用取引・先物取引などでポジションを保有できますが、一定の期限が定められています。一方、FXのポジョションには有効期限がなく、いつまでも保有することが可能です。スイングトレードでは、ポジションを保有しながら中長期的な今後の展望を予測して利益を狙います。
スイングトレードとほかの取引手法の違いは、1回あたりの取引時間です。FXでポジションを利用する取引手法はスイングトレードのほかに、スキャルピング、デイトレード、ポジショントレードの3つが挙げられます。
スキャルピングは、数秒〜数分で取引する手法です。超短期売買で小さな利益を積み重ねます。
デイトレードは、数十分〜1日の間に取引する手法です。スイングトレードよりも1回の取引におけるリスクが少なく、資金効率がよいといえます。
ポジショントレードは、数か月〜数年かけて取引する手法です。一度に大きな利益を狙える反面、リスクも大きくなります。
ポジションを利用した取引手法は上記のように分類されますが、1回の取引時間が数日〜数週間と長すぎず短すぎないスイングトレードは多く使用される手法です。
取引時間のバランスがいいスイングトレードは、チャートに張りつくことなく大きな利益を狙えるのが魅力です。ここでは、スイングトレードのメリットを3つ紹介します。
一度の取引で大きな利益を狙えるのがスイングトレードのメリットです。数日から数週間かけて売買のタイミングを見極めるため、価格の値上がり・金利差益・コストの負担軽減が期待できます。
スイングトレードでは、中長期の時間をかけて売買のタイミングを探るため、分析がうまくいけば大きな売却益を狙うことも可能です。ポジションの保有期間と収益性のバランスのよさがスイングトレードの魅力といえるでしょう。
日をまたいでポジションを保有するため、スワップポイントが得られることもメリットです。スワップポイントとは、通貨間の金利差から生まれる差額の調整金のことで、1日ごとに支給・徴収されます。現在の日本は世界でも最低水準の金利なので、円を売って外貨を買えばスワップポイントが得られるケースが多い傾向にあります。
取引機会が少ないスイングトレードでは、スプレッドの負担も抑えられます。スプレッドとは、通貨に設定されている売値と買値の差額を投資家が負担する仕組みです。スプレッドは実質的な取引コストに当たるので、取引が少ないスイングトレードはスプレッド負担を抑えて利益を生みやすくなります。
スイングトレードは忙しい人でも取り組みやすい投資スタイルです。中長期間のポジション保有が前提なので、チャートを注視し続ける必要がありません。
一般的なFXの手法のように一瞬の価格変動を狙う場合は、チャートに張りつく必要があります。専業投資家であれば対応できますが、忙しい社会人には厳しいでしょう。一方、長期保有とトレンド分析をメインとするスイングトレードなら、チャートの確認は通勤時間や空き時間を使って定期的にチェックする程度で十分です。
スイングトレードではテクニカル分析が機能しやすくなります。テクニカル分析とは、過去のチャートやデータから値動きを分析し、将来の価格を予測する方法です。
テクニカル分析は絶対ではないものの、売買のタイミングを判断する根拠としてある程度有効と考えられています。ただし、テクニカル分析から導かれた予測と反対の値動きをするダマシには注意が必要です。
一般的に時間軸が長期になるほど、ダマシの発生確率は下がるといわれています。そのため、スイングトレードにおいてはテクニカル分析が機能しやすく、分析結果に基づいた精度の高い取引が期待できるでしょう。
スイングトレードには多くのメリットがある一方、急変相場の見落としや判断の難しさなどのデメリットもあります。ここでは3つのデメリットを解説するので、気をつけてスイングトレードに取り組みましょう。
スイングトレードでは相場の急変動を見落とすリスクがあります。頻繁にチャートを確認しないため、知らない間に価格が急落していた、なんてことも。また、長期間ポジションを保有するため、価格変動のリスクに晒される期間も長くなります。
前述したように、日々のチャート確認を注視する必要がありませんが、トレンドが変わる主な要因である経済指標の発表や要人発言には注意しましょう。具体的には、主要国GDP・米国の雇用統計・中央銀行の政策金利などの発表や主要国首脳の重要発言のあとに相場が急変する可能性があります。
ロスカットを避けるために、担保として預け入れる証拠金を多く要する点もデメリットです。ロスカットとは、含み損と呼ばれる未決済の損失が一定水準を超えたときにポジションが強制決済される仕組みであり、思わぬ損失が出ることがあります。
ロスカットを避けるために、証拠金は多めに入れておきましょう。証拠金が多くなるほど、ロスカットが発動する可能性を下げられます。
日本のFX会社のロスカット水準は50〜100%が一般的です。証拠金10万円、ロスカット水準50%の場合は、含み損が10万円×50%=5万円に達するとロスカットされてしまいます。自分のFX会社のロスカット水準を確認して、余裕を持って証拠金を入れておくと安心です。
スイングトレードは損切りや利益確定のタイミングが難しいです。一般的に相場は上昇と下降を繰り返すもので、損切りすべき局面で価格が持ち直すケースやその逆もあります。
スキャルピングやデイトレードなどの短期売買では、損失が一定ラインに達したらすぐに損切りするのが効果的です。しかし、スイングトレードでは頻繁に損切りしていると思うように利益が上がりません。
あらかじめ損切りや利益確定の目安を設定し、感情に流されずに取引することが大切です。
FX初心者であっても、いくつかのコツを実践すればスイングトレードで上手に利益を上げられるでしょう。利益を出す具体的なコツを5つ紹介します。
スイングトレードにはテクニカル分析が有効です。FX初心者はテクニカル分析によってトレンドを見極め、順張りすることをおすすめします。順張りとは、上昇トレンドで買い、下降トレンドで売るというようにトレンドに乗って取引する手法です。
また、情報収集や分析に時間を割ける人は、ファンダメンタルズ分析もおすすめです。ファンダメンタルズ分析では、各国の金融政策・景気動向・財政政策などが相場にもたらす影響を予測します。テクニカル分析では考慮されない要因も踏まえて予測するので、2つの分析を合わせて活用すると、より精度の高いトレンド予測ができるでしょう。
トレンドを分析にする際は、長期の時間足から順に確認していくことをおすすめします。長期的なトレンドを分析したうえで、エントリータイミングと呼ばれる実際に取引を行うタイミングを見極めることが重要です。
まずは、月足や週足で長期のトレンドを分析しましょう。トレンド方向の予測ができたら、次に4時間足や1時間足でエントリータイミングを探ります。取引のタイミング次第で損益が大きく左右する可能性もあるので、注意深く分析を進めてください。
大まかにトレンドの予測ができたら終わりではなく、短い時間軸のなかでもエントリータイミングを追求するひと手間が大事です。
FX初心者は取引量が多いメジャーな通貨ペアで取引するのが無難です。メジャーな通貨は価格が安定しやすく、情報も集めやすいのが特徴です。一方で、マイナーな通貨は取引量が少なく、誰かが大量に取引すると価格が乱高下する危険性があるので注意しましょう。
なお、メジャーな通貨は取引量順にドル、ユーロ、ポンドなどが挙げられます。
レバレッジはかけ過ぎないように気をつけましょう。高いレバレッジをかけると、その分リスクも大きくなるうえ、ロスカットが発動する可能性も高まります。
国内のFX会社の最大レバレッジ25倍ですが、はじめのうちは10倍以下の低レバレッジ取引がおすすめです。
あらかじめ損切りや利益確定する金額を決めておきましょう。感情に流されず、一定のルールに沿って損切りと利益確定することがスイングトレードのコツです。
自分が許容できる範囲で「○%下がったら損切りする」「○%上がったら利益確定する」などと具体的にルールを決めておきましょう。
また、損切りへのためらいを見越して逆指値注文しておくことも有効です。逆指値注文とは、現在価格よりも安い金額を指定して売り注文しておくことをいいます。
例えば、購入時の価格が100円で損切りルールが10%の場合は、90円に指定して売り注文しておけば逆指値注文が完了です。ただし、逆指値注文の有効期限は1週間〜1か月程度に設定されているので、定期的に新規注文を入れる必要があります。
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