FXのスキャルピング手法のコツは？勝てない理由や初心者でもできる勝ち方を解説
FX取引のスタイルのひとつ、スキャルピング手法。リスクを抑えられるので初心者向きといわれる一方で、初心者では勝てないという声も耳にするので、挑戦すべきか迷っている人も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、スキャルピング手法のコツや勝てない理由、勝ち方を徹底解説します。注意点や利益を上げるためのポイントも解説するので、ぜひ参考にしてください。
大学卒業後に銀行員として勤務、法人顧客の経営支援・融資商品の提案や、個人向け資産運用相談を担当。 2020年にマイベストに入社、自身の銀行員時代の経験を活かし、カードローン・クレジットカード・生命保険・損害保険・株式投資などの金融サービスやキャッシュレス決済を専門に解説コンテンツの制作を統括する。 また、Yahoo!ファイナンスで借入や投資への疑問や基礎知識に関する連載も担当している。
FXのスキャルピング手法とは？
FXのトレードスタイルのひとつであるスキャルピング手法とは、数秒や数分といった短い時間で売買を繰り返す超短期取引をさします。
語源は英語で「頭皮を剥ぐ」という意味のscalp。1日に数十回から数百回の売買を繰り返し、頭皮を剥ぐように、薄い利益を狙っていくのが特徴です。
明確な決まりはありませんが、保有するポジションが3〜10pips程度変動したら決済するのが一般的です。pipsはpercentage in pointの略で、全ての通貨で共通して使える、変動幅を表す単位のこと。この値幅で決済すると、1回の取引で得られる利益は小さくなりますが、損失も小さく抑えられます。
＜代表的なトレードスタイルの比較＞
・スキャルピング
取引時間 ：数秒〜数分
取引回数 ：1日に数十回〜数百回
利幅 ：〜10pips程度
為替リスク：小さい
・デイトレード
取引時間 ：数十分〜1日
取引回数 ：1日に数回〜数十回
利幅 ：10pips～100pips程度
為替リスク：小さい
・スイングトレード
取引時間 ：数日〜数週間
取引回数 ：1日に1度も行わない場合も
利幅 ：100pips以上
為替リスク：大きい
・ポジショントレード
取引時間 ：数週間〜数年
取引回数 ：数週間から数年に1回
利幅 ：100pips～1,000pips程度
為替リスク：大きい
スキャルピング手法のメリットとは？
スキャルピングのメリットを、リスク・効率・時間・経験の観点から解説します。
価格変動リスクを最小限に抑えられる
小さな値動きで売買を行うスキャルピングは、1回のトレードでのリスクを最小限に抑えられるというメリットがあります。
あらかじめ損失がどこまで膨らんだら決済するという、損切りラインを自分の中で決めておけば、それ以上、損することはありません。相場が想定外の方向に動いても、1回で大損することはないので、安心してトレードを行えるでしょう。
ただし、損切りの決断を素早く行うため、連敗するリスクがある点には注意。相場が回復するまで待つことなく小さな損失で決済し、次の取引でも相場が狙い通りに動かず損切り、と行った具合に負けを重ねる可能性があります。
資金効率が良くなる
資金効率のよさもスキャルピングのメリットのひとつ。元手の少ない人も積極的に利益獲得のチャンスを狙えるのが魅力です。
短時間で多くの回数の取引を行うスキャルピングでは、出た利益を寝かせることなく次のトレードに活かすことが可能。これを繰り返していけば、元手がどんどん増えていく可能性があります。
期待できないポジションはすぐに決済するので、資金を長期間寝かせることなく、次の利益獲得のチャンスに進めます。
少ない時間で取引できる
スキャルピングはスキマ時間にトレードできる点も魅力的。短時間で取引を完了させるので長時間、チャートに張り付く必要がありません。
またポジションを持ったままにせず、すぐに決済するので、為替リスクに対する精神的な負担も軽減。生活リズムに支障をきたすことなく、余裕を持って取り組めるでしょう。
取引経験を積みやすくなる
1日に数百回の売買を繰り返すこともあるスキャルピングは、投資経験を積み重ねやすいのもメリットといえるでしょう。
FXは経験がものをいう世界、成功と失敗を繰り返すことで上達していく、といわれています。チャートを見ながら、予想と実際の値動きを照らし合わせ、売買を繰り返していけば、チャート分析に慣れ、予想の精度も上がっていくでしょう。
短時間勝負なので、1回1回の取引に高い集中力で臨めるのも、上達への近道です。
初心者がスキャルピング手法で勝てない理由とは？
初心者のスキャルピングにおける失敗パターンを、売買・判断・知識の観点から解説します。
根拠のないエントリーをしているから
根拠なく、勘を頼りに適当に売買してしまうのは、初心者が陥りやすい失敗のひとつです。短時間勝負なので、しっかりと相場分析をしなくても、何となく結果が出せそうな気になってしまう人が少なくありません。
チャートには細かな上下の値動きを繰り返しながら、全体として右肩上がりに進んでいく上昇トレンド、右肩下がりの下降トレンド、横ばいのレンジ相場といったものがあります。相場の局面をしっかりと踏まえ、エントリーのタイミングを見計うのが取引の基本です。
感覚だけで根拠のない売買注文をしてしまうと、損失を積み重ねる可能性があるので気をつけましょう。スキャルピングで利益を上げるためには、勘に頼らず理論に基づいてチャートを分析できるようになることが大切です。
瞬時に売買の判断ができていないから
トレードに慣れていないうちは適切なタイミングで判断できず、チャンスを逃してしまうのも、初心者によくある失敗パターンです。
1回あたりの取引時間が短いスキャルピングでは、細かな値動きに反応して瞬時に判断を下すことが必要。しかし初心者のうちは、判断に必要な知識が充分でなかったり、値動きが早くてついていけなかったりすることがあります。
決断力や瞬発力の面で不安な人は、スキャルピングを始める前に、まずデイトレードやスイングトレードで経験を積むのもひとつの手です。
スキャルピングに適さない通貨ペアや時間帯に取引している
スキャルピングに適した通過ペア・時間帯を知らずに取引してしまうのも、初心者の失敗例の代表です。
傾向としてマイナーな通貨ペアは値動きがあまりなく、初心者が利益を見込むのは難しいでしょう。また外国為替市場が閉まっている時間帯も値動きが活発になりません。
小さな価格変動で利益を狙うスキャルピングは、通貨選びや時間帯が重要です。
スキャルピング手法の活用方法！初心者向けの勝ち方とは
初心者がスキャルピングで勝ちをあげるために必要な、分析・ルール・知識を解説します。
テクニカル分析を活用しよう
スキャルピングで利益を狙うためには、まずテクニカル分析を身につけるとよいでしょう。
テクニカル分析は、過去の値動きからトレンドやパターンを把握し、今後の動向を予測する手法。ほかの情報をあれこれ集める必要がなく、チャートのみに注力すればいいテクニカル分析は、初心者が最初に身につける分析法として最適です。
テクニカル分析に用いられるグラフは数種類ありますが、市場のトレンドを把握するのに役立つ移動平均線から学ぶのがおすすめ。このグラフは相場の方向性をつかむ手がかりになります。もちろん今後の値動きが過去と同じになるとは限りませんが、似た形になる可能性は高いでしょう。
事前に決めたルールを守って取引しよう
スキャルピングで利益を得るためには、取引ルールを最初に決め、そのルールを守りながら実行することが大切です。
大事なのは1回のトレードで大損しないこと。pipsがいくつになったら損切りすると決めておけば、判断が感情に流されることはありません。タイミングが重要なスキャルピングでは、躊躇なく決済することが何よりも重要です。
値動きが活発な通貨ペアや時間帯に取引する
値動きが活発な通貨ペアや時間帯を把握するのも、スキャルピングで勝つための重要ポイントです。初心者のうちは米ドル/円やユーロ/円のようなメジャーな通貨ペアを選ぶのがおすすめ。世界的に取引量が多いペアは、流動性が高く、相場が読みやすい傾向にあります。
また1日の値幅が広い通貨を選ぶことも大事です。あまり値動きのない通貨では、利益が狙いにくいでしょう。
さらに、日本時間の午後9時から翌朝6時までは、ニューヨーク外国為替市場の開いている時間。米ドルの取引が活発になるので、米ドル/円のスキャルピングに適した時間帯です。各国の為替市場の開始時間と時差を調べてトレードすると、効率的に利益を狙えるでしょう。
そしてもうひとつ、スプレッドの小さい通貨を選ぶことも意識してみましょう。スプレッドとは通貨の売値と買値の差のこと。売買を繰り返すたびにスプレッドの分、損をすることになるので、スプレッドが大きいと利益を見込むのが難しくなります。
スキャルピング手法を使う際はトレード環境に注意
最後にスキャルピングで勝つための、FX会社選びと通信環境の大切さについて解説します。
FX会社によってスキャルピングのしやすさは異なる
FX会社選びもスキャルピングでの利益獲得には大事なポイント。スキャルピングの可否・約定力・スプレッドの3点は必ず確認しましょう。
まずは、公式サイトをチェックして、スキャルピングを公認している会社を選びましょう。サーバへの負荷を考慮して、FX会社の一部は短時間に頻繁な売買を繰り返すことを禁止しており、こういった会社でスキャルピングを行うと、口座が凍結される可能性があります。
希望価格で取引を成立させる力（約定力）があるFX会社を選ぶことも重要です。約定力が弱いと、売買注文がFX会社のサーバに届き、取引が約定するまでにタイムラグが発生。取引そのものが不成立（約定拒否）になったり、希望価格とずれた価格で取引が成立（スリッページ）してしまいます。
さらに、スプレッドの小さなFX会社を選ぶことも大切。FXでは1回の取引ごとにスプレッド（売値と買値の差）を支払わなければならず、それが取引コストになります。頻繁に取引を繰り返すスキャルピングでは、スプレッドが利益を上回ってしまいかねないので、なるべくスプレッドの小さなFX会社を選ぶとよいでしょう。
以下の記事ではFX会社の選び方について詳しく解説しているので、より詳しいことが知りたい人はチェックしてください。代表的なFX会社のスキャルピングの対応可否がわかるほか、比較検証も行っているので、ぜひFX会社選びに役立ててくださいね。
不安定な通信環境では取引効率が落ちる可能性がある
一瞬にして損益が変わるスキャルピングでは、ネットの繋がりの悪さや、回線の遅さが命取りに。通信環境を最適に整えることが重要です。
スキマ時間に手軽にできるのがスキャルピングのよいところですが、外出先の無料Wi-Fiを使う場合などは、通信速度が遅いと注文から約定までに時間がかかり、値が動いてしまう心配があります。
利益を逃したり損切りが遅れたりということがないよう、接続の安定や通信速度には十分注意しましょう。
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