資格取得の大変さに比べ、年収が低すぎるのではないかといわれることもある薬剤師。病院や薬局など、職場によって給料はどれくらい違うのかなども気になりますよね。
そこで今回は、薬剤師の平均年収について詳しく解説します。正社員とパート・派遣薬剤師の収入の違いのほか、ドラッグストアと病院の違いも取り上げるので、ぜひ参考にしてください。
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厚生労働省運営する職業情報サイト「jobtag」のデータによると、薬剤師の平均年収は580.5万円。就業者数は243,650人、平均年齢は41.1歳です。手当や残業代を含まない、求人時の基本月収の平均は35万円です。
また、医療に携わるほかの職業の平均年収を見ると、診療放射線技師が546.7万円、看護師が498.6万円、臨床検査技師が496.5万円、理学療法士と作業療法士が426.5万円です。医師や歯科医師は別として、そのほかの医療資格職と比べると薬剤師の平均年収は高いことがわかります。
ちなみに日本の給与所得者の平均年収は433万円(男性532万円・女性293万円)。薬剤師の年収は平均より約147万円高く、月収でも4万円ほど上回っています。これらの数字から見れば、薬剤師の年収は、決して低いとはいえないでしょう。
平均を上回る薬剤師の年収ですが、収入が低いというイメージを持っている人もいるようです。その理由としては、主に以下のようなことがあげられます。
①大学の学費が高い
薬剤師になるには6年制の薬系大学に入学し、国家試験に合格する必要があります。薬学部で卒業までにかかる学費の平均は私立で1,200万円程度、国立は約350万円。4年制大学の学費の平均は私立で470万円程度、国立で約240万円なので、薬剤師は資格取得までにかかる費用が高いことがわかります。
②医師・歯科医師と比較すると収入が低い
内科医の平均年収は1300万円以上、歯科医師は780万円以上なので、同じ6年制大学の卒業を必要とする職業として比較すると、薬剤師が低く感じてしまう可能性が考えられます。
③MRと比較しても低い
薬に関わる職種のなかでも、製薬会社のMRは薬剤師と比較して収入が高い傾向にあります。医薬品の情報を医師や薬剤師に提供するMRは、営業職でもあるためインセンティブがつくケースが多く、30代の平均年収は700万円前後。身近なほかの職種と比較して、薬剤師の収入を低いと感じてしまう人もいるようです。
④給料が上がりにくい
職場や働き方によっても変わりますが、薬剤師はほかの職業と比較して、役職のポストが限られているケースが多く、ある程度まで昇級したあと、足踏み状態になってしまうこともあるようです。
厚労省発表の「令和3年賃金構造基本統計調査」をもとに、薬剤師の年収を性別や年齢別にみていきましょう。
10人以上の規模の企業の収入を計算すると、男性の平均年収は約594万円、女性は約545万円。男性が女性を50万円近く上回っています。
年代別で男女を比較すると、20代の男性薬剤師の平均が460万円なのに対し女性は401万円なので、キャリアの開始時から60万円ほどの開きがあります。
また50代の平均を比較してみると、男性は747万円、女性は626万円と100万円以上の開きがあります。これは、エリアマネージャーや薬局長など昇進を目指しキャリアを重ねた結果、男性の給与に役職手当などが加算されていることが理由だと推測されます。
一方女性は、出産や育児で休職や退職をしたり、復職後に時短勤務を選択したりといったことにより年収の平均が下がっている可能性があります。
薬剤師の年収は男女とも、キャリアが長くなるにつれアップしていきます。
男性の平均年収は20代が460万円、30代が622万円、40代が719万円、50代が747万円、60代が599万円。女性は20代が401万円、30代が535万円、40代が588万円、50代が626万円、60代が576万円です。
男性の年収は40代まで大幅に上昇しますが、50代では上がり幅がやや小さくなるのが特徴。これは薬剤師の役職ポストがさほど多くなく、昇進がある程度のところで頭打ちになっているのではないかと考えられます。
女性のなかには、出産などで30代・40代で、一旦仕事から離れる人もいるでしょう。しかし収入が50代までコンスタントに上がっているので、育児がひと段落ついたあとに復職しやすい職種だと考えられます。
また男女ともに60代になると収入は下がりますが、国の平均年収より高い水準を保っているので、長く続けるのに適した職業だといえるでしょう。
薬剤師の収入は地域差が大きく、都市部より地方のほうが平均年収が高い傾向があります。
たとえば東京の平均年収は594.3万円ですが、神奈川県では599.8万円。さらに、群馬県605.2万円、千葉県605.5万円、栃木県607.4万円、埼玉県619.6万円、茨城県649.2万円と、関東地域では東京が一番低い結果となりました。
全国1位は山口県の667.1万円で、2位が香川県の652.9万円。一般的にあまり収入が高くない地域といわれる九州・四国がトップ2を占めています。
最下位は山形県の477.7万円ですが、青森県は599.5万円で東京の平均より高いので、東北地方が低い傾向というわけではありません。また、一般的に所得が低いとされる沖縄県でも、薬剤師の平均年収は587.6万円です。
このように地域によって年収にばらつきが出る理由は、求人数に対する薬剤師の数だと考えられます。人手不足の地域では条件のよい募集がある可能性が高いので、収入を上げるためには、働くエリアを考慮に入れてみるのもひとつの手です。
jobtagのサイトでは、都道府県別の詳細データを確認できます。自分が住む地域や、勤務を希望する地域の情報をチェックしてみてください。
アルバイトやパートとして働いた場合の、薬剤師の平均時給は2,592円です。求人情報サイトなどの調査データによると、時給の全国平均は1,100~1,200円程度とされているので、薬剤師は2倍以上。非正規でも十分な収入を得られる職種といえます。
正社員と同等に1日8時間、月20日間働いた場合、月の収入は414,720円。年収の目安は498万円と計算できます。日本の給与所得者の平均が433万円なので、薬剤師は非正規でも60万円以上、多く稼げる仕事です。
ただ非正規の場合、有給や福利厚生、昇進制度といったものがない可能性も考えられます。育児や家庭の事情で時間に融通の利くアルバイトやパートを選ぶ人もいるでしょうが、フルタイムの場合は正社員のほうが収入や待遇面では有利でしょう。
薬剤師の活躍の場はいくつかありますが、そのなかでもドラッグストアは比較的、収入が高い職場です。
求人会社の情報などで、調剤薬局の平均年収はおよそ580万円といわれています。一方、病院薬剤師の平均年収は530万円前後。ドラッグストアより平均が低い理由は、店長やエリアマネージャーといった幹部職のポストがあまりないためだと考えられます。
一般的に、収入が高いのは調剤併設のドラッグストア・調剤のないドラッグストア・調剤薬局・病院薬局の順番だとされています。
最後に、薬剤師が年収アップを目指す方法を紹介します。
管理薬剤師は、薬局の責任者として医薬品の管理や従業員の監督を行います。管理薬剤師になるための特別な資格はありませんが、実務経験5年以上の認定薬剤師であることが推奨されています。
ただし管理薬剤師になると、行政へ提出する書類の作成など事務作業が増えたり、トラブルやクレーム処理などでストレスが増えたりということが考えられます。また、責任の大きい立場になるので、一般の薬剤師に比べ休みが取りにくくなる可能性もあります。
挑戦する場合は、収入だけでなくワークライフバランスや労働スタイルなども合わせて検討してみてください。
薬剤師には正社員以外にも派遣薬剤師という働き方があります。アルバイトやパートの平均時給は2,592円ですが、派遣の場合は3,000円前後が多く、場合によっては4,000円程度のところもあるので、収入アップを狙えます。
派遣薬剤師の時給が高い理由は、人手不足の薬局が即戦力となる人材を必要としているためと考えられます。風邪やインフルエンザが流行る繁忙期や、慢性的に薬剤師が不足している薬局での勤務がメインです。
時給が3,000円の場合、1日8時間、月20日働くと月の収入は48万円、12か月で576万円。場合によっては正社員より収入が上がる可能性があります。
ただ派遣期間には限りがあることには注意が必要です。2か月限定の募集という具合に短期間で終了してしまうケースもあります。また、そもそも労働者派遣法で同一事業所での最長期間は3年と定められているので、契約終了後には別の派遣先を探さなくてはいけないことは頭に入れておきましょう。
一般的に製薬会社の薬剤師の年収は病院や薬局より高いとされており、上場企業の管理職の場合は1,000万円以上になるケースもあります。
業務内容は、医薬品の開発や品質管理、研究・MR・治験など多岐にわたります。大手企業の場合は住宅補助や家族手当などの福利厚生が充実していることが多く、働きやすい環境といえるでしょう。
ただし人気職のため、採用には専門的な知識や経験が問われるなど、ハードルは高めといわれています。薬剤師としての実績やスキルだけでなく、マネージメント力やコミュニケーションスキルも磨いておくとよいでしょう。
ひとくちに薬剤師といっても、働きかたによって年収に大きな差があることが分かりました。転職で年収アップを目指そうと考えている人は、ぜひ以下の記事を参考にしてください。転職サイトとエージェントの違いや選び方、上手な利用法などを詳しく解説しています。
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