FX取引ではレバレッジを上手に活用すると、自己資金の数倍の取引で大きなリターンが期待できます。しかし、レバレッジはハイリスクでもあり、仕組みや計算方法がわかっていないと思わぬ失敗につながる恐れも。
そこで今回は、FXのレバレッジについて詳しく解説します。計算方法や想定されるリスクについても紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
大学卒業後に銀行員として勤務、法人顧客の経営支援・融資商品の提案や、個人向け資産運用相談を担当。 2020年にマイベストに入社、自身の銀行員時代の経験を活かし、カードローン・クレジットカード・生命保険・損害保険・株式投資などの金融サービスやキャッシュレス決済を専門に解説コンテンツの制作を統括する。 また、Yahoo!ファイナンスで借入や投資への疑問や基礎知識に関する連載も担当している。
FXのレバレッジとは、自己資金の何十倍もの取引が可能になる仕組みです。レバレッジの仕組みや倍率について詳しく解説します。
FXのレバレッジとは、証拠金を担保に自己資金の何十倍もの取引が可能になる仕組みです。
レバレッジという言葉自体にてこの作用の意味があり、少ない資金で大きな取引ができることから、てこの原理をイメージするとわかりやすいでしょう。FXではレバレッジの倍率を上げるほど大きなリターンが期待できます。
例として、自己資金20万円でFXのレバレッジを行った場合の利益を考えてみましょう。購入時の為替は1ドル100円、売却時の為替は1ドル110円だと仮定します。
レバレッジ5倍で取引した場合、購入時20万円×5倍=10,000ドル、売却時10,000ドル×110円=110万円となり、利益は10万円です。
レバレッジ10倍で取引した場合、購入時20万円×10倍=20,000ドル、売却時20,000ドル×110円=220万円となり、利益は20万円になります。
レバレッジ25倍で取引した場合、購入時20万円×25倍=50,000ドル、売却時50,000ドル×110円=550万円となり、利益は50万円です。
仮にレバレッジなしで取引した場合は、購入時20万円=2,000ドル、売却時2,000ドル×110円=22万円となり、利益は2万円。このケースでは最大レバレッジ25倍をかけることで、レバレッジなしと比較すると最大48万円も多く利益を上げられることがわかりますね。
国内のFX会社は、レバレッジの最大倍率が25倍です。国内のFX会社は金融庁に登録しなければならず、利用者保護のため最大倍率は金融庁によって25倍に規制されています。
海外のFX会社であっても金融庁への登録が必要ですが、ほとんどが金融庁へ登録していません。そのため、海外には100倍や1000倍といった超高倍率で取引可能なFX会社が存在しています。魅力的なレバレッジ倍率に惑わされて投資をすると、リスクが高く大損する可能性もあるので、海外のFX会社は利用しないほうがいいでしょう。
レバレッジは○倍と設定するのではなく、取引数量と証拠金の割合に応じて決まります。証拠金とは、取引時にFX会社へ預け入れる担保金のようなものです。レバレッジは取引数量または証拠金を調整することでコントロールできます。
レバレッジの計算式は「(現在の為替レート×取引数量)÷証拠金」です。例えば、1ドル=100円、取引数量1万ドル、証拠金5万円とした場合のレバレッジは、(100円×10,000ドル)÷50,000円=20倍となります。
レバレッジをかけると効率よくリターンを狙えますが、その分リスクも大きくなります。ロスカットや追加証拠金などFX独自の仕組みもあるので、レバレッジを利用する前に覚えておきましょう。
レバレッジは、かけた分だけ損失リスクも大きくなる点がデメリットです。高いレバレッジをかけるほど、少しの値動きで損益が大きく変動します。
例えば、レバレッジ10倍では利益・損失ともに10倍になるので、倍率に応じてリスクも大きくなることを十分に理解しておきましょう。初心者がレバレッジをかけて取引する場合は、まず2〜3倍から始めて徐々に慣れていくことをおすすめします。
レバレッジをかけると、ロスカットが発動する可能性があります。ロスカットとは、取引で損失が出て証拠金が一定水準を下回った場合に、保有しているポジションが強制決済される制度です。ロスカットは、利用者の甚大な損失を避けることを目的に導入されています。
しかし、利用者が予期しないタイミングで決済されることがあり、想定外の損失が出る可能性も。レバレッジを高くするほど損益の変動が大きくなるので、突然のロスカット発動に注意してください。
レバレッジをかけて、損失が出たときに求められるのが追加証拠金です。追加証拠金は追証(おいしょう)とも呼ばれ、急激な価格変動でロスカットが間に合わず、証拠金以上の損失が発生したときに求められます。場合によっては、数十万~数百万円の追加証拠金を求められることもあるので注意しましょう。
証拠金が不足したとき、すぐにロスカットが発動するか追加証拠金を請求されるかの対応方法は、FX会社によって異なります。
レバレッジにはリスクが伴いますが、いくつかのポイントを実践するとリスクを抑えることが可能です。ここでは3つのコツを紹介するので、ぜひ実践してください。
証拠金が多いほどレバレッジが下がるため、失敗のリスクを抑えられます。1ドル=100円、取引数量10,000ドルと仮定して、証拠金が10万円と20万円のパターンで試算してみましょう。
証拠金が10万円のときはレバレッジ=(100円×10,000ドル)÷100,000円=10倍です。一方、証拠金20万円のときはレバレッジ=(100×10,000)÷200,000=5倍となり、為替レートと取引数量が同一でも、証拠金の多い方がレバレッジは低くなります。
証拠金の多さはロスカットの発動を抑えることにもつながるので、証拠金は多めに入れておくのがいいでしょう。
取引数量を少なくするとレバレッジが下がるので、失敗のリスクを抑えられます。
例えば、1ドル=100円で証拠金10万円の場合、取引数量が5,000ドルのときはレバレッジ=(100×5,000)÷100,000=5倍です。一方、取引数量が10,000ドルのときはレバレッジ=(100×10,000)÷100,000=10倍となり、為替レートと証拠金が同一のケースでも、取引数量が少ないほどレバレッジが低くなります。
また、1回の取引数量が少なくても、複数の取引によって実効レバレッジが高くなる点にも注意しましょう。実効レバレッジとは、口座全体のレバレッジのことです。取引を重ねるごとに実効レバレッジが上がっていくことを考慮して取引数量を検討してください。
取引を始める前には、自分で決めた損切りのルールを守りながら取引を行いましょう。ルールがあれば損失が出ている局面で迷いなく売却の判断ができ、損失を自分の想定内に留めることができます。
損切りルールは、10%下がったら損切りのために売却するなど、自分が許容できる損失の範囲を具体的な数字を使って決めておくといいでしょう。
損切りルールがない場合、損失が出ても値上がりを期待してポジションを保有し続け、どんどん損失が膨らんでしまう恐れがあります。投資では感情のままに運用すると失敗することも多いので、自分で決めたルールに則って淡々と取引するのがおすすめです。
しかし、実際に損失が出ている局面で損切りの決断ができない人もいるでしょう。損切りの自信がない人は、逆指値注文がおすすめです。逆指値注文とは、現在価格よりも安い金額を指定して売り注文する方法をいいます。例えば、損切りルールが10%なら現在価格×90%の価格で指値注文しておく方法です。
本記事では、少ない資金で大きなリターンを狙えるレバレッジについて紹介してきました。しかし、FXのコツはレバレッジの活用のほかにも、手数料を抑えること、複数の通貨に分散投資することなどさまざまあります。そして手数料や取扱通貨の種類はFX会社によって異なるものです。
そこで以下の記事では、mybestスタッフがスプレッド・スワップポイント・取扱通貨ペア数の3項目を徹底比較し、FX会社のおすすめランキングを作成しました。FX会社選びに迷っている人の役に立つはずなので、ぜひ参考にしてみてください。
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