FXでの効率的な利益獲得において重要な資金管理。FX初心者のなかには、資金管理がどうして必要なのか、どう管理すればよいのか気になる人もいるでしょう。
本記事では、FXで資金管理が大切な理由やポイント、注意点を紹介します。具体的な資金管理の方法を知り、FXでのリスク軽減や利益獲得につなげてみてください。
大学卒業後に銀行員として勤務、法人顧客の経営支援・融資商品の提案や、個人向け資産運用相談を担当。 2020年にマイベストに入社、自身の銀行員時代の経験を活かし、カードローン・クレジットカード・生命保険・損害保険・株式投資などの金融サービスやキャッシュレス決済を専門に解説コンテンツの制作を統括する。 また、Yahoo!ファイナンスで借入や投資への疑問や基礎知識に関する連載も担当している。
FXにおける資金管理とは、目標の利益を達成するために効率よく運用することです。目標達成に向けて支出・収入をコントロールするといった、一般的な資金管理とほとんど同じ意味合いを持っています。
具体的なFXの資金管理内容は、1回あたりの取引で使う資金、狙う利益額、許容できる損失額などをあらかじめ決めたうえで取引することです。ルールを決めて日々の損益をコントロールするとイメージすればわかりやすいでしょう。
FX初心者の多くが取引で勝てないのは、資金管理ができていないからだといわれています。損失を抑えて利益を達成するためには、目標額や許容損失額といったルールを定めたうえで、資金管理を実践することが重要だと考えられます。
FXでの資金管理が重要な理由は主に2つです。大きな損失を避けながら目標の利益達成を目指すために、資金管理の重要性を押さえておきましょう。
一度に大きな損失を出す可能性があることから、FXでは資金管理が重要とされています。FXはプロのトレーダーでさえ勝ち続けるのが難しいといわれるもの。初心者が資金管理もせずに運用すれば、予想外の場面で失敗するといっても過言ではないでしょう。
また、FXではレバレッジをかけて取引するのが一般的です。レバレッジとは、FX口座に預けた資金よりも大きな金額で取引できる仕組みのこと。日本でのレバレッジ上限は最大25倍で、たとえば資金10,000円に25倍のレバレッジをかけると25万円分の取引ができます。
レバレッジをかけると取引額が増える分、大きな利益を狙うことが可能です。その反面、損失が膨らむリスクを抱えることにもつながります。損失が大きくなり、元手の資金が完全になくなってしまえば、取引の継続が困難になることもあるでしょう。
相場変動や無茶なレバレッジによる失敗を減らすためには、資金管理を意識して根拠のない取引を避けることが大切だといえます。
資金管理ができていれば、感情に流されずに安定した取引ができます。反対に資金管理をしていない場合、これまでの取引結果を冷静に分析する機会がなく、感情的な取引に走ってしまう可能性があるでしょう。
とくに損失が出ている状況では、損失を取り戻そうといった焦りが取引に影響しがちです。無理なトレードをして失敗し、さらに大きな損失を被ることも考えられます。
資金状況を把握していれば、冷静な分析に基づいて取引の改善が目指せます。結果的に安定した取引を継続しやすくなることが、FXで資金管理が重要とされる理由です。
FXで成功するためには資金管理が大切です。リスクを避けながら安定した取引ができるように、具体的な資金管理のポイントを確認してみましょう。
FXは生活に影響の出ない余裕資金で始めましょう。元手が多いほど利益を狙いやすいですが、負けたときに失う資金も大きくなる可能性があります。
損失が出た場合、取り戻すためには損失以上に利益を出すことが必要です。大きな損失を抱え、負けたらあとがない状況では、精神的に追い詰められて冷静にトレードできなくなるケースも考えられます。
目安として3~6か月分の生活資金に加え、近々使う予定がある資金は手元に残しておきましょう。近々使う予定がある資金とは、教育資金や結婚・出産費用、家具・家電の買い替え費用などです。
持っている資金を全額使うと、経済面と精神面の両方に悪影響がおよびかねません。冷静にトレードするためにも、万が一失っても生活に影響が出ない金額から始めましょう。
大きな損失を避けるために、1回のトレードで許容できる損失額を決めておきましょう。一般的な許容損失額の目安は、資金の2%程度といわれています。たとえば資金100万円の場合、許容損失額の目安は20,000円ほどです。
許容できる損失額の設定によって、資金の減り方は大きく変わります。5回連続で損失を出した場合、2%と5%で資金の減り方がどのように変わるかを確認してみましょう。
【許容損失額を2%に設定した場合】
【許容損失額を5%に設定した場合】
トレード5回目の差額は約12万円と、2%と5%で資金の減り方が大きく異なることがわかります。損失の広がりを抑えるためには、損失額を一般的な2%程度に設定しておくのが無難です。
損切り・利確ラインに決まりはなく、トレードの方法によっても目安が変わります。例として、損切りラインの一般的な目安を紹介します。
pipsとは、日本円やドルといった通貨の共通単位です。取引における値幅を表す際などに用いられます。
利確ラインは、損切りラインよりも大きく設定することがポイントです。とくに初心者の場合、損切りラインと利確ラインの目安は1:2または1:3がよいとされています。損切りラインを大きくしておくことで、勝率が低い場合でも利益を残しやすくなるでしょう。
あらかじめルールを決めておけば、大幅に損をしたり、1回1回の取引で深く悩みすぎたりといったことが避けられます。効率的に目標の利益を獲得するためには、取引手法に合った損切りラインや利益獲得ラインを決めるとともに、2つのバランスも意識しましょう。
トレード1回あたりの許容損失額と損切りラインを元に、取引数量(ロット数)を決めましょう。ロットは取引通貨量の単位のことで、一般的に1ロット=1,000通貨や10,000通貨で設定されています。許容損失額と損切りラインから取引数量を求める方法は、以下のとおりです。
【円を含む通貨ペアの場合】
許容損失額 ÷ (損切りラインのpips ÷ 100)=取引数量
【通貨ペアに円を含まない場合】
許容損失額 ÷ (損切りラインのpips ÷ 10,000 × 対円レート)=取引数量※
1pip=0.0001の通貨ペアの場合。ユーロ/ドルなど
米ドル/円のケースで、資金100万円、許容損失額20,000円、損切りラインを値幅20pips、レバレッジなしと仮定すると、取引数量は10万通貨と算出できます。つまり1ロット1,000通貨の場合は100ロット、1ロット10,000通貨の場合は10ロットが取引数量の目安です。
pipsの変動幅による損切りラインしか決めていない場合、取引数量によっては損失が膨らむ可能性があります。1pip=0.01円の米ドル/円で、損切りラインを50pipsと仮定しましょう。損失額は1ロット1,000通貨で500円、10,000通貨で5,000円と、取引数量によって大きな差が生まれます。
許容損失額や損切りライン、取引数量を関連させて設定することは、思わぬ損失を防ぐためにも大切とす。まずは許容できる損失額や損切りラインを決めて、適切な取引数量を設定しましょう。
資金管理を意識しても、場合によっては思ったような結果が得られないことがあります。実際の取引で効率的に利益を上げていけるように、資金管理する際の注意点を理解しておきましょう。
資金管理をすれば確実に利益を得られるわけではありません。これから紹介する2点が影響して、損失が増えるケースもあります。損失を防いで利益を得るために、資金管理に影響する要因と対策を確認しましょう。
エントリーポイントが間違っていれば、損失が続く可能性があります。エントリーポイントとは、買い注文または売り注文を開始するタイミングのことです。
相場の動きを分析せずに新規取引を開始すると、エントリーポイントからの変動を予測できず、損失につながる場合があります。そのため取引を開始する際には、相場の動きを予測することが大切です。
予測では、テクニカル分析やファンダメンタルズ分析と呼ばれる分析方法が役立ちます。テクニカル分析は、過去の相場変動から値動きの法則性を見出し、今後の変動を予測する方法です。ファンダメンタルズ分析は、取引する通貨の国の金融政策や経済状況などを分析し、値動きを予測します。
分析手法を取り入れながら根拠に基づいたエントリーをすると、損失を抑えられるでしょう。分析手法を取り入れるのであれば、おすすめのFXチャートを紹介した以下の記事もチェックしてみてください。
FXでは、スリッページやスプレッドの拡大といった想定外のことが起こると考えておきましょう。スリッページとは、注文のタイミングで相場が急変動し、注文時と約定時の価格に差が生まれることです。経済状況に関わる変化が起こった場合などに発生する可能性があります。
スプレッドは買値と売値の差額で、いわばFXにおける取引コストです。FX会社によってスプレッドの値は異なり、差額が小さいほど取引コストを抑えられます。金融政策の発表や緊急ニュースなどによって変動した際には、取引コストの負担増に注意が必要です。
想定外の事態として、エントリーした注文が強制的に決済されるロスカットも挙げられます。ロスカットは一定以上の損失を回避できる反面、資金管理の計画が狂いやすいのが難点です。預け入れた証拠金よりも損失が上回りそうな状況で発生しやすいため、証拠金には余裕を持たせておきましょう。
想定外の事態が発生した際に少しの変動でも損失が大きくなりやすいのは、レバレッジを高く設定しているケースです。レバレッジをかけると大きな利益獲得が目指せるものの、大きな損失を背負うリスクもともないます。損失を膨らませないためには、レバレッジを高くしすぎないほうがよいでしょう。
想定外の事態に備えたいなら、まずは少額から取引をスタートするのがおすすめです。FX初心者にとって、少額の取引はトレード・資金管理の練習にもつながります。どの程度の金額から取引できるかはFX会社によって異なるため、以下の記事を参考にしてみてください。
一度決めた資金管理のルールは、コロコロ変えないようにしましょう。その場の感情でルールを変えてしまうと、資金管理していないのと同じ状況になりやすいからです。
とはいえ、損失が出た際には相場の好転を願って損切りしづらくなったり、利益が出そうなときはより大きな利益を求めて利確を粘ってみたりと、感情に左右されることはあるでしょう。感情に任せず機械的に運用するためには、一定のルールで自動取引が実行される逆指値注文や指値注文を活用するのが得策です。
逆指値注文は損切りする際などに用いる方法で、自分で決めた値以上に損失が大きくなることを防げます。たとえば、1ドル120円で買い注文をしたとしましょう。このとき1ドル110円の逆指値注文をしておくと、110円を切った際に自動的に決済されます。
指値注文は、現時点よりも有利な相場になったタイミングで取引したいときに役立つ方法です。たとえば、1ドル120円が110円に下がったタイミングで買い注文をする、1ドル120円が130円に上がったタイミングで売り注文をするといった設定ができます。
さまざまな注文方法を身につけるために、FXのデモトレードで練習するのもおすすめです。おすすめのデモトレードを紹介した以下の記事もチェックしてみてください。
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