毎日の洗濯に欠かせない洗濯機。しかし、急に脱水できなくなると、洗濯物が乾かせず「故障かも」と心配になりますよね。洗濯機が脱水できなかったり止まったりする原因はさまざまで、エラーの内容によっては買い替えを検討する必要があるかもしれません。
そこで今回は、洗濯機で脱水ができない原因を解説します。運転エラーが出た場合の対処法も詳しくご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
ダイソンの派遣販売員として、ケーズデンキなど家電量販店で掃除機の接客・販売を2年間担当した経験を持つ。マイベストへ入社後はその経験を活かし空気清浄機・除湿機・オイルヒーター・スティッククリーナーなど季節家電・空調家電や掃除機をはじめ白物家電全般を専門にガイドを担当し、日立やシャープ、パナソニックなどの総合家電メーカーから、ダイニチ工業・Sharkなどの専門メーカーまで、150以上の家電製品を比較検証してきた。毎日使う家電製品だからこそ、本当によい商品を誰もが簡単に選べるように、性能はもちろん省エネ性能やお手入れのしやすさまでひとつひとつ丁寧に確認しながらコンテンツ制作を行う。
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洗濯機脱水できない原因は、大きく分けて5つあります。1つずつ確認していきましょう。
洗濯機脱水できない原因の1つに、洗濯物の重心が片寄っていることがあげられます。脱水は洗濯槽が高速で回転し、遠心力で水分を飛ばす仕組みです。しかし、洗濯物の重さが一方に集中してしまうと、バランスが崩れて回転が不安定になり、脱水が正常に行えなくなることがあります。
とくに、厚手のバスタオルやシーツ、水を吸いにくい防水加工された衣類は片寄りが起きやすい傾向が。また、洗濯物の量が多すぎたり少なすぎたりすることも片寄りの要因の1つです。
洗濯物が片寄った状態になると、洗濯機の運転が途中で止まりエラー表示が出たり、脱水の途中ですすぎ運転に戻ってしまったりなどの症状が現れることがあります。
排水口や排水ホースの詰まりも、洗濯機の脱水がうまくいかない原因の1つです。排水口や排水ホースが詰まると、排水がスムーズに行われず脱水機能が正常に働かなくなる可能性があります。
詰まりの原因には、ゴミ・糸くず・洗剤カスなどの汚れがたまっていることのほかに、排水ホースの状態が影響していることも。排水ホースが折れ曲がっていたり押しつぶされていたりすると、水の流れが悪くなり汚れがたまりやすくなります。洗剤を入れすぎた場合も、泡が排水を妨げる原因になるため注意が必要です。
排水の不具合が起きると、洗濯槽に水が残ったままだったり、脱水が弱くて洗濯物がびしょびしょのままだったりすることがあります。気づきにくい部分ですが、排水まわりのチェックも大切なポイントです。
洗濯機の脱水がうまくいかないときは、糸くずフィルターの詰まりが原因の可能性があります。洗濯中に出る糸くずや細かなゴミがフィルターにたまると、水の流れが悪くなり脱水の妨げになることが原因です。
糸くずフィルターは、使うたびに少しずつゴミがたまっていくため、気づかないうちに目詰まりを起こしやすい場所。とくに乾燥運転をよく使う場合は、乾いた糸くずがたまりやすくなるので、こまめな確認が必要です。
糸くずフィルターにゴミがたまっていると、脱水ができなくなるほかに、洗濯機の下部分にある糸くずフィルター周辺から水漏れが起きたり、エラー表示が出たりすることがあります。
脱水ができないとき見落としがちなのが、ドアやフタがしっかり閉まっていないことです。洗濯機は事故や怪我防止のため、ドアやフタが完全に閉まっていないと自動で動作を停止する仕組みになっており、脱水も行えません。
また、ふたロック部分に小さなゴミなどの異物がはさまっていると、フタがしっかり閉まらず、脱水できない原因になることがあります。運転が止まりエラー表示が出た場合は、フタやふたロック部分を確認しましょう。
うまく脱水できないときは、洗濯機本体の設置状態が影響している場合があります。洗濯機が水平に置かれていないと、洗濯物の重さが片寄りやすくなり、洗濯槽の回転が不安定になって脱水がうまく進まなくなることがあるため、注意が必要しましょう。
たとえば、設置している床にたわみがあったり、脚の高さが適切に調整されていなかったりすると、本体が傾くことがあります。洗濯機にガタつきや傾きがあると、脱水中の振動が大きくなったり、途中で運転が止まってしまったりすることもあるでしょう。
洗濯機脱水できないときは、原因に応じた対処をすることが大切です。順番に確認していきましょう。
エラーが出たり脱水が終わらなかったりする場合は、まず洗濯物が片寄っていないか確認しましょう。いったん運転を停止し、電源を切ってからフタを開けて洗濯物の重さが均等になるように手でほぐします。
とくに、大きなシーツや厚手のタオルは水を吸って重くなりやすいため、量が多い場合は減らしてからほぐすようにしましょう。シーツや厚手のタオルを1枚だけで洗っている場合も片寄りが生じやすくなるため、軽めの洗濯物を2~3枚くわえてバランスを整えるとよいでしょう。
片寄りを防ぐには、洗濯ネットの使い方や洗濯物の入れ方にも気をつけることが大切です。たくさんの洗濯ネットを使っていたり詰め込みすぎたりすると、塊になりやすく片寄りの原因になります。また、ドラム式洗濯機に洗濯物を入れる際は中に均一に広げ、縦型の場合はドーナツ状にまるく広げるとバランスが取りやすくなりますよ。
脱水できないほかに運転中の振動が大きいと感じる場合は、洗濯機本体が傾いていないか確認しましょう。水準器が付属している場合は、フタを開けて洗濯機が水平に設置されているかチェックします。水準器は機種によって搭載の有無や設置場所が異なるため、取扱説明書を確認しましょう。
水準器の気泡が中央の基準点に入っていれば水平ですが、気泡が端に寄っている場合は傾いているサインです。傾きが確認できたら、調節脚を回して高さを調整します。気泡の位置を見ながら、対角や反対側の脚を少しずつ持ちあげるようにして調整し、水準器の気泡が中央に収まるように整えましょう。
ガタつきを防止するために、調整後は脚をしっかり締めて固定することも大切です。脚を調節しても改善しないときは、別売りの脚スペーサーを使うことも検討しましょう。
排水口や排水ホースの汚れを取り除くことで、脱水できるようになる場合があります。まずは洗濯機の電源を切り、蛇口を閉めてから掃除を始めましょう。ホースやエルボを取り外したら、排水口にパイプ洗浄剤を注ぎ、各パーツをブラシでこすり汚れを落とします。洗剤は排水口に使えるタイプかどうか、事前に確認しましょう。
排水ホースは洗濯機に取り付けたまま、ジャバラ部分のほこりや汚れをブラシで取り除きます。ホース内側にはカビ除去剤を吹きかけ、ラップで先端をふさいで10分ほどつけ置きしてから水を流し入れて上下にゆすり、汚れを洗い流しましょう。ホースを戻すときは高さ10cm以下を目安に、水平に設置することがポイントです。
排水口が洗濯機の真下にあって掃除がしにくい場合は、洗濯機置き台を活用してスペースを確保するとよいでしょう。排水口は月に1回、排水ホースは半年~1年に一度の掃除が理想的。においが気になるときは、汚れがたまっている可能性があるため、排水ホースの交換も検討してくださいね。
脱水ができなかったり、「フィルター確認」などのエラー表示が出たりする場合は、糸くずフィルターのゴミを取り除くことで改善できる場合があります。まずは脱水運転を行い、洗濯機内の水を抜いてから作業を始めましょう。糸くずフィルターは、水漏れを防止するため運転中に外さないよう注意してください。
脱水運転後、一度電源を切ってから洗濯機本体の下部にある糸くずフィルターのつまみをゆっくり回して外します。このとき、内部にたまった糸くずが洗濯機の中に落ちないように気をつけましょう。取り外したら、ブラシなどで丁寧にゴミを取り除きます。入口まわりの汚れは、乾いた布や雑巾でふき取ってくださいね。
掃除が終わったら、フィルターをしっかり奥まで取り付けることが大切です。うまくはまっていないと、再びエラー表示が出たり、運転できなくなったりすることがあります。糸くずフィルターは週に1回程度のお手入れが目安です。スムーズな排水を行うために、こまめな掃除を心掛けましょう。
脱水がなかなか終わらないときは、振動検知レベルの設定を見直してみるのもひとつの手です。振動や運転音を抑えるよう設定されている場合は、脱水に時間がかかることがあるため感知レベルを少し上げてみるとよいでしょう。
脱水の立ち上がりがスムーズになれば、エラーが起きにくくなる可能性があります。操作方法は、電源を入れたあと操作パネルから「脱水立ち上がり」や「脱水」の設定を選び、振動検知レベルを調整してください。
ただし、設定を変更すると振動や運転音が大きくなる点には注意が必要です。変更後は使用環境や時間帯を考慮して運転しましょう。
洗濯機の脱水がどうしてもできないときは、エラーコードを確認することで原因や対処法がわかる可能性があります。排水口・排水ホース・フィルターなどの掃除や洗濯物の片寄りを直しても脱水できないときは、取扱説明書を参考にエラーコードの有無とエラー内容の確認を行いましょう。
メーカーによってエラーコードの内容は異なりますが、表示をもとに対処できるケースも少なくありません。たとえば、シャープの洗濯機では「E17」はモーター異常を示すため、洗濯物を減らす・脱水を十分行うといった対処法で改善する場合があります。「E31」は糸くずフィルターのズレが原因なので、正しく取り付け直すことで改善する場合があるでしょう。
ただし、エラーの内容に沿って対処しても改善しない場合は、故障の可能性も考えられます。直らない場合は無理をせず、メーカーや修理業者に相談しましょう。エラー表示はトラブル解消の手がかりになる大切なサインなので、見逃さず確認してくださいね。
洗濯機の脱水トラブルが何度も続くようであれば、故障や寿命が原因の可能性があります。洗濯機の寿命は8〜10年ほどです。脱水できない以外にも運転中に異音がする・エラーが頻発する・においが気になるなどの症状あれば、寿命のサインだといえます。
洗濯機本体が故障している場合、修理にかかる費用の目安は18,700~24,000円ほど(参照:SHARP)ですが、メーカーや修理箇所によってはさらに高くなる場合も。また、製造から7年以上経つと、交換部品が手に入らず修理が難しくなることもあります。
購入から10年以上経っている場合や複数の不調が続いている場合は、無理に使い続けるよりも新しい洗濯機への買い替えを検討するのがおすすめです。最新のモデルは省エネ性能や使いやすさも向上しており、日々の洗濯がより快適になりますよ。
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