パナソニック LUMIX デジタルカメラ DC-TZ99を徹底レビュー！実際に使ってわかったよい点・気になった点は？

望遠性能は非常に優秀です。被写体から3m離れてズームで撮影すると、コンデジとは思えないほど寄って撮影できました。解像感も高く、花びらのザラつき・花弁のぷっくりとしたツヤなどの質感まで見て取れます。

比較したほかの商品にはあまりズームできなかったり、造花の輪郭がぼやけていて画質の粗さが気になったりしたものもありますが、本品はまるで目の前に被写体があるかのように鮮明です。スマホでは、なかなかここまで寄って精細に撮影できません。

なお、本品の光学ズームは30倍・iAズームは最大2倍・デジタルズームは最大4倍（iAズーム時は最大2倍）に対応しています。比較した商品のほとんどが～8倍だったなか、トップクラスです。広範囲をカバーしており、被写体との距離をあまり気にしなくてよいので、珍しいものや風景を目にすることが多い旅先などではとくに活躍しますよ。

マクロ写真も美しい仕上がりです。千円札を用意し、マクロモードでピントが合うギリギリまで寄って撮影すると、コンデジとは思えないほど寄れました。解像感も非常に高く、印字はもちろん、紙幣の繊維が見えるほどくっきり写っています。

比較したなかには最短撮影距離が5～10cm程度であまり寄れず、繊維までは見えなかった商品もありました。本品のマクロモードは3cmまで寄れるので、小さな被写体を大きく写したり、いつも見るものをマクロな世界に閉じ込めたりできます。

日中の屋外・夜間の屋外などのさまざまな場面で撮影したところ、色再現性にも優れていました。空の青さ・建物の屋根・地面のタイルなどどれも発色がよく、濃淡や明暗をしっかり描写できています。日常的にカメラを使用するモニター12人に写真を見てもらうと、発色に違和感を抱いた人はいませんでした。

比較した一部商品は赤みがかって写るなど独特の色味だったのに対し、こちらは肉眼に近い自然な発色です。ただし、モニター3人から「影の暗い部分は発色が弱い」「建物の影がやや暗い感じがする」などの声があがったので、人によっては明暗差の大きさが少し気になる可能性があります。

とはいえ、明るい部分の白飛びや、暗い部分の黒つぶれなどは見受けられません。明るさと暗さのコントラストが利いており、よくいえばメリハリがあります。人物の撮影においては、肌が明るく、唇には血色感があり健康的に写りました。撮影シーンや被写体を問わず、風景も人もきれいに撮れそうです。

＜発色・スキントーン・明暗差についてのモニターコメント＞

1. 「色味の偏り・濃淡の不自然さがなく、とても肉眼に近い表現。人物の肌は明るすぎず自然。自然な光で明暗もちょうどよく、コントラストも申し分ない」
2. 「全体的に発色のバランスが取れており、とても満足。人物の肌はトーンがとても自然で健康的に見える。明暗のバランスも保たれていて、肉眼で見たままの仕上がり」
3. 「建物の影の黒色がきれいに描写され、発色がよい。人物は健康的な肌色でつぶれているところもない。影は黒く、日が当たる場所は白く表現されていて明暗差もよい」

コメントは一部抜粋

解像感は高く、被写体・背景ともくっきり精細に写りました。モニターからも、「写真を拡大しても輪郭がくっきり描写している」「顔の輪郭も髪の毛の1本1本もきれいに見える」と好評です。

比較した結果、センサーサイズが1型以上と大型な商品ほど高精細に写りやすく、モニター評価も高い傾向がありましたが、本品は1/2.3型の小型センサーながら、解像感に不満を抱いたモニターはいませんでした。画質の粗さは気になりにくいといえます。

＜解像感についてのモニターコメント＞

1. 「人物や建物の写真では暗い部分に若干のぼやけがあるが、気になるレベルではない。それ以外は拡大して見ても輪郭がかなり鮮明に描写されている」
2. 「人物の髪の毛の1本1本が確認できて、顔の輪郭もきれいに出ていて満足」
3. 「どの写真も、細部までぼんやりすることなく識別できる。とくに人物写真の葉っぱがとてもくっきりしている印象を受けた」

コメントは一部抜粋

色表現が豊かで、多彩な撮影を楽しめる点も魅力です。カラーモードを変えながら撮影した写真を見たモニター12人全員が、レトロ感のある発色に好印象を抱きました。

セピアモードは暖色系の色合いによって色褪せたレトロ感を演出できており、ノイズが少し入っていることでよりノスタルジックな雰囲気に見えます。「スマホではなかなか出せない表現力」と絶賛したモニターもいました。

カラーモードの豊富さも好評です。色鮮やかに写すヴィヴィッド・自然な色合いに写すナチュラルなど6種類のフォトスタイルモードがあり、雰囲気を演出できます。クリエイティブコントロールモードには、定番のレトロ・セピアをはじめ、ファンタジー・クロスフィルター・トイフォトなど22種類がありました。

シーンガイドモード（SCN）には、子供をかわいく撮る・夕焼けを幻想的に撮る・夜景をバックに人物を撮るなど、直感的に選びやすい名称のものが25種類そろっているので、初心者にも使いこなしやすいでしょう。モニターからも不満の声はなく、「いろいろな雰囲気が出せそう」と好評でした。

比較したほかの商品にはモード数が10種類前後のものもあったなか、本品は選択肢が豊富です。なお、シーンガイド・クリエイティブコントロールには本体上部にあるダイヤルを回すとアクセスできるので、撮影中にサッと切り替えやすいでしょう。

＜レトロな発色・カラーモードの豊富さについてのモニターコメント＞

1. 「色褪せたような、暖色が強い色彩がレトロ感につながっていると思う。ノイズも少し見て取れて、レトロさを助長させている」
2. 「セピアでも、それぞれの色のコントラストが出ている。少し画質が粗い点もレトロ感を増幅させており満足。カラーモードの種類も多かった」
3. 「彩度を抑えつつ薄暗くすることでよりレトロ感が出せている。カラーモードはモノクロから明るいものまでひととおりそろっており、十分楽しめそう」

コメントは一部抜粋

「暗所にはかなり弱い」との口コミに反して、暗所での写真写りはそれほど悪くありません。フラッシュ発光禁止のオートモードで撮影した夜景写真は、パっと見きれいに写っています。発色に違和感はなく、橋にかかるライトや、ビル群の照明の色の違いを再現できました。

一方で、解像感は高いとはいえず、ライトやビルの輪郭はぼやけています。また、空や川の一部は黒つぶれしていました。頻繁に夜景を撮影する人には物足りないかもしれませんが、旅先などでたまに夜景を撮影する程度であれば十分使えるでしょう。

屋内の暗所を撮影した写真は、光量不足をあまり感じさせない仕上がりです。造花の色味や花瓶の籠が明るく写り、カラーチャートの色味もきれいに発色しています。しかし、写真を拡大してみるとノイズが見られ、とくに解像度チャートの文字や数字はあまり読み取れませんでした。

検証の結果、F1.8～F2.0などの明るいレンズを備えている商品ほど暗所や夜景でも、高発色かつ精細に写る傾向がありましたが、本品はF3.3と暗めのレンズです。実際の写真写り・スペック面のいずれから見ても暗所撮影に強いとはいえませんが、かなり暗いところで撮らない限り不満は感じにくいでしょう。

オートフォーカスの精度が高く、スピーディにピントが合ったことも魅力です。人の瞳AF（オートフォーカス）に対応しています。実際に人を想定してシリコンダミーヘッドを用意し、ピントが合うまでにかかる時間を10回計測すると、平均0.46秒でした。

比較した商品の半数以上は0.5～1.0秒程度だったなか、トップクラスの速さです。動物の顔・瞳AF機能はついていないものの、物体へのピント合わせにかかった時間も平均0.54秒の好記録でした。高速かつ正確にピントが合ったので、シャッターチャンスを逃しにくいでしょう。

手ぶれ補正の検証結果も高評価です。11インチのiPad Proに+の記号を表示して50cmの距離を空け、手ぶれが起きやすい姿勢で写真を撮影。シャッタースピードを1/焦点距離に設定して撮影後、シャッタースピードを1段ずつ落としながら撮影すると、広角側の補正は2段まで利いていました。

比較したなかには手ぶれ補正があまり利かず、+の記号がぶれてぼんやり写った商品もあります。本品は手ぶれが起こりにくかったので、日常的な撮影において過剰に構え方に注意する必要はありません。急いで構えてシャッターを切っても、撮影に失敗しにくいでしょう。

モード設定のしやすさも申し分のない評価です。基本のオート・プログラムオート・マニュアルのほか、絞り優先モードにも対応しています。モード変更はダイヤルを回すだけで行えるので、撮影中の切り替えがスムーズです。露出補正もワンボタンで設定画面を開いたあとに、ダイヤル・方向ボタンで操作すると調整できます。

比較したなかには絞り優先・マニュアルモードを搭載していない商品もありましたが、本品はモードを使い分けられるうえに切り替えも簡単なので、いろいろな撮影に挑戦しやすいでしょう。

使い勝手のよさは上々の評価です。電子水準器を備えているので、撮影中に水平を確認したり、画角のバランスを取ったりできます。タッチによるフォーカスに対応しており、ピントを合わせる際の手間も少なめです。

SDXCカードに対応しているので、大容量・高品質な撮影にも使えますよ。加えて、比較した一部商品は非対応だったスマホ連携が可能です。Bluetoothでスマホとペアリングすると、本品で撮影した写真・動画を簡単にスマホへ転送できます。Type-C給電に対応しており、汎用性も高い点も魅力です。

評価には含みませんが、180度チルト式モニターを搭載しているため、モニターの向きを見やすい角度に合わせられます。自撮り・ハイアングル・ローアングルで撮影する際にモニターで写りを確認しやすいですよ。

動画の撮りやすさも優秀な評価です。動画撮影モードは、オート・マニュアルのほか、比較した半数以上の商品にはなかったシャッタースピード優先モードを搭載していました。

マニュアルモード・シャッタースピード優先モードで明るさなどを調整することで、オートでは撮れないような画作りができます。外部マイク用の端子はないため、本格的な音声収録には向かないものの、理想の映像にこだわって撮影できそうです。

評価には含みませんが、動画撮影は4K（3840×2160）画質で最大15分行えます。HDMI端子を備えているので、HDMIマイクロケーブルでテレビと繋げば、大画面で動画や写真を再生することも可能。映像美にこだわりたい人にとってはとくにうれしいポイントですね。

実際に動画を撮影したところ、撮影環境によってやや差はあったものの、おおむねきれいに映っていました。撮影者・被写体ともに歩きながら撮影した動画を見たモニター12人中8人が、「手ぶれを抑えられている」と好印象を抱いています。色合いは自然で、明るい色から暗い色までバランスよく発色していました。

しかし、日中の屋外・夜景を撮影した動画には、モニター3人から手ぶれを指摘される結果に。また、カメラを動かした際に補正が追いつかず、映りにムラが生じた点も惜しいところです。日中の映像は安定していた一方で、夜景動画ではライトが映った瞬間に映像全体がぼやけました。

比較したなかには素早く補正が入った商品もありますが、本品は「自動調整が間に合っていない」や「ややぼやけて見えた」と指摘されています。解像感は悪くなく、被写体の人物や風景などがくっきり映っていたので、カメラを素早く動かし過ぎないように注意するとよいでしょう。

＜動画の手ぶれ・発色・明暗差・解像感についてのモニターコメント＞

1. 「手ぶれの補正が速く、上下左右のぶれに対処できている。全体的に少し光が強いが、発色に大きな違和感はない。明暗は極端だと感じる」
2. 「多少の手ぶれはあるが、許容範囲に抑えられていて映像に集中できる。発色のバランスがよく鮮やかで、被写体と背景の明暗差もくっきりしていた。解像感は高く、輪郭がはっきりしていた」
3. 「どの動画も手ぶれ補正がしっかり利いている印象で、とくに左右の手ぶれは気にならない。日中の動画は明るすぎて白っぽく、夜景は少し暗すぎる感じがするが、白飛び・黒つぶれはなくて比較的自然。輪郭はきれいに描写されている」

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持ち出しやすさの評価は伸び悩みました。実際に手に持って確認したモニター10人中7人から、「ズボンのポケットや小さなカバンには入れにくそう」との声があがっています。本体サイズは幅112×奥行43.1×高さ67.8mmと、比較したほかの商品よりも一回りほど大きめです。

ボディは角張ったデザインで、レンズは光学ズームを内蔵しているぶん少し飛び出ているため、「出し入れの際に引っかかりそう」とも指摘されました。また、重量は319gと、比較したほとんどの商品が100～300gだったなかやや重みがあります。服のポケットに入れて手軽に持ち運びたい人にはあまり向きません。

しかし、構えたときに握りやすかった点は高評価です。グリップはレバーやラザーのようなザラついた質感で、幅と厚みがあります。モニター10人全員から「手にぴったりフィットする」「前面・後面とも指が沿う」と絶賛されました。うち5人から「持ちやすいから片手で構えてもあまり負担に感じない」との意見があがったため、片手でも撮影しやすいでしょう。

＜持ち出しやすさについてのモニターコメント＞

1. 「軽いとは思えないが、持って行くのが億劫になるほど重くはない。レンズが少し飛び出しているため、ポケットなどわずかな空間には入らなさそう。でも日常使いに不満はないと思われる」
2. 「スマホよりは少し重い。小さなカバンやポケットにサッといれて持ち出すのは負担になりそう。カバンに入れて持ち運ぶならそこまで負担にならない。構えたときの負担は少なく、重さのわりに片手でも十分支えられた」
3. 「構えるとグリップの形状と素材が手にぴったりフィットし、非常に握りやすい。ポケットでの長時間の持ち運びは重さを負担に感じそう。ルーズなポケットにしか入らない大きさ」

コメントは一部抜粋

ボケ感のある写真を撮りたい人にも向きません。本品を開放F値のF3.3に設定してドーナツを撮影したところ、メインのドーナツから奥のカステラまで、写真全体にピントが合っているかのように写りました。写真を見たモニター12人中10人から、ボケ感の物足りなさが指摘されています。

「テーブルだけ薄っすらとボケているから、レストランなどで料理を撮るときによさそう」と好印象を抱いたモニターもいたものの、「ドーナツとテーブルとのピントのギャップがあまりない」「ボケたところが少なく、奥行きを感じられない」との意見が大半でした。

比較したなかには開放F値がF1.8～F2.0と明るく、カステラがボケて写った商品もありましたが、本品はワイド端がF3.3・テレ端がF6.4と暗めなため、ボケ表現はそもそも得意ではありません。一眼レフのような強めのボケ感で被写体を引き立たせた撮影をしたい人にはやや不向きです。

＜ボケ感についてのモニターコメント＞

1. 「本来ならばぼかす対象と思われるテーブルや皿が鮮明に描写されており、手前の被写体とのピントのギャップがあまり感じられない」
2. 「ぱっと見ではあまりボケ感がないと思った。若干ぼやっとしているようにも見えるが、もう少しはっきりと作られていたほうが好み」
3. 「ピントがほぼ全体に合っていて、角の部分だけがぼやけて見える。不自然に感じた」

コメントは一部抜粋