介護資格の種類はどれくらい？取得の難易度やメリットを紹介

介護職員初任者研修は、介護職員として働くために必要な基礎知識と技術を学ぶ研修です。介護保険制度や介護の基本的な知識にくわえ、身体介助も学べます。研修期間は130時間程度で、民間の研修機関でも受講が可能です。

介護職員初任者研修を取得するには、研修機関に申し込み、受講費用を支払う必要があります。受講費用は研修期間によって異なりますが、3万円から9万円前後が相場です。

受講期間中に定められた範囲の講義を受け、試験に合格することで取得できます。介護職員初任者研修は、不合格の場合には再試験が行われる研修期間もあり、合格率はほぼ100%です。

介護職員初任者研修を取得すれば、応募できる求人の幅が広がり、就職や転職の幅が広がります。どの介護の資格から取得すればわからない人は、まずは介護職員初任者研修の取得を目指しましょう。

介護福祉実務者研修は、介護職員初任者研修よりも専門性が高く、実践的な内容が学べる資格です。介護福祉実務者研修の資格があれば、サービス提供責任者になれるだけでなく、たん吸引や経管栄養といった、医療的ケアの知識も学べます。

また、将来的に介護福祉士を取得したいと考えている場合は、介護福祉実務者研修の受講は必須です。将来的なキャリアアップを見据える人は、ぜひ資格取得しておきましょう。

介護福祉実務者研修の取得方法は、民間の研修期間に申し込むのが一般的です。資格取得の難易度は研修期間によって異なりますが、介護職員初任者研修同様に、合格率はほぼ100%とされています。

介護福祉実務者研修の受講料は、無資格の場合は、10万円を超える場合が多いです。ただし、介護職員初任者研修や介護職員基礎研修の資格があれば、大幅に割引になる可能性があるため、自分の保有資格を確認しておきましょう。

介護福祉士は、質の高い介護サービスの提供について学べる国家資格です。数ある介護の資格のなかでも難易度の高い上位資格であり、資格を取得すれば、サービス利用者の相談に応じたり、介護職員の指導をしたりと幅広い業務ができるようになります。

介護福祉士を取得する方法は、福祉系の高校に通う、養成施設を経る、実務経験を積むというのいずれかです。それぞれの方法で資格の取得条件は変わります。

働きながら介護福祉士を目指す場合は、3年以上の実務経験と、介護福祉実務者研修の資格取得が必須である点は理解しておきましょう。

厚生労働省の資料によると、令和4年に実施された介護福祉士の合格率は72.3%でした。決して簡単に取得できる資格ではないため、事前の勉強を怠らないようにしましょう。

認定介護福祉士は、介護福祉士の資格保有を前提とした資格です。介護福祉士よりもさらに多様な利用者や環境に対応できる知識やスキルを身につけることができます。

認定介護福祉士の受講要項には、介護福祉士資格取得後の実務経験5年以上や、介護職員を対象とした現任研修の100時間以上の研修歴を有していることなどが挙げられ、資格取得のハードルが高い点が特徴です。

条件を満たしている場合は、約1年半にわたる認定介護福祉士養成研修を受講し、「認定介護福祉士 認定申請書」を提出して書類審査に合格する必要があります。合格率は公表されていません。

認定介護福祉士のカリキュラムは、Ⅰ類とⅡ類にわかれており、Ⅰ類では医療やリハビリ、認知症、社会的支援などの知識を学び、Ⅱ類ではチームマネジメントや組織の運用などについて学びます。

介護の仕事に関して、知識を深めたい人は資格取得を目指しましょう。

喀痰吸引等研修にを取得しておけば、たんの吸引や経管栄養といった医療的ケアを行うことができます。喀痰吸引等研修の受講に必要な条件はとくにありません。

2015年以降に介護福祉士の資格を取得した人は、基本研修と実地研修のうち、実地研修のみの受講すれば、喀痰吸引をできるようになります。

資格取得までの時間短縮にもなるため、基本的には介護福祉士の資格を取得したあとに、喀痰吸引等研修を受けるのがおすすめです。

喀痰吸引等研修の合格率は、発表されていません。試験に不合格の場合は再試験を実施してくれる場合もあるため、資格取得の難易度は高くないでしょう。

とはいえ、喀痰吸引等の処置は、医療行為に該当するため、実務を行う際には責任が伴います。安全かつ適切な処置を行うためにも、しっかりと研修に臨むことが大切です。

介護支援専門員とは、介護保険サービスを受ける人や家族の相談に乗ったり、ケアプランの作成を行ったりできるようになる民間資格です。資格取得できれば、居宅介護支援事業所や、特別養護老人ホームなどの施設、地域包括支援センターなど就職の幅が広がります。

介護支援専門員の資格を受けるには、指定された国家資格に基づく実務経験、または相談援助業務の実務経験が5年以上かつ900日以上が必要であり、ハードルは高めです。

また、介護保険制度や保健医療福祉分野に関する筆記試験に合格したうえで、実務者研修も受ける必要があります。ケアマネジャーの合格率は10〜25%の間で推移しており、簡単に取得できる資格ではありません。

受験費用も5〜6万円と安いわけではないため、過去問などで対策を十分行ったうえで、試験に臨みましょう。

社会福祉士は、介護領域などにおける相談援助業務に必要な知識が身につく国家資格です。

社会福祉士になるためには、大学などでの4年間の教育課程を修了し、国家試験に合格するほか、一般養成施設などで1年間カリキュラムを履修し、国家試験に合格するなどの方法があります。合格率は年々変動しますが、厚生労働省の資料によると、令和4年に開催された試験の合格率は31.1%でした。

社会福祉士は、社会福祉の専門家として、社会的な支援が必要な人々の生活の質を向上させるために、さまざまな支援を提供する重要な役割を担います。生活相談員になるための資格要件として認められているため、介護福祉士とあわせて取得を目指しましょう。

精神保健福祉士は、精神障がいを抱える人々の生活や社会復帰を支援することを目的とした国家資格です。また、精神保健福祉士の資格は、生活相談員になるための資格要件の1つとしても認められています。

資格取得するには、精神保健福祉士国家試験に合格しなければいけません。社会福祉士同様に、福祉系の大学で4年間必要な知識を身につけるほか、一般養成施設などで1年間カリキュラムを履修することで、試験を受けることが可能です。

厚生労働省の資料によると、令和2年の精神保健福祉士の試験合格率は、62.1%でした。社会福祉士の資格を持っていれば一部の試験が免除されることもあります。合格率は毎年変動するため、しっかりと対策を行い、準備を怠らないようにしましょう。

サービス介助士は、別名ケアフッターとも呼ばれる、高齢者や身体障がいのある人などの介護を支援するための資格です。食事や入浴、排泄などの介護に関する知識が身につくため、介護の現場だけでなく、日常生活にも活かすことができます。

サービス介助者の資格を取得するためには、日本ケアフット共育機構が実施する講座に申し込み、テキストでの自主学習や課題提出を行ったのちに、座学と実技の教習を受けなければいけません。

実技教習が終わったら、検定試験を受け、合格すれば資格取得ができます。合格率は8割以上なので、一つひとつの課題をしっかりこなしていけば、合格できる可能性は高いでしょう。

介護技術だけでなく、サービス利用者と接する際の心構えも学べるため、気になる人は受講を検討してみてください。

レクリエーション介護士は、介護の現場でレクリエーション活動を行う際に必要なスキルを身につけることを目的とした資格です。資格を取得するためには、レクリエーション介護士認定講座を受講し、修了試験に合格すると資格を取得できます。

レクリエーション介護士は、1級と2級の2つがある点が特徴です。2級では、高齢者とのコミュニケーションのポイントや、具体的なレクリエーションの企画・実施、見直しの方法など基本的な内容を学びます。

1級になると、高齢者一人ひとりにあわせたレクリエーションに関する知識を身につけることが可能です。

レクリエーション介護士の資格は、通信講座と通学講座の2パターンが用意されており、いずれかを選択します。なお、合格率は発表されていません。

レクリエーションに関する知識を身につけたい人は、資格取得を目指しましょう。

介護事務の民間資格は、介護施設などでの事務業務に携わることを目的とした資格です。主に介護保険制度や、事務請求に関する知識を身につけることができます。

介護事務の民間資格にはさまざまな種類があり、ケアクラーク技能認定試験や、介護報酬請求事務技能検定などが代表的です。それぞれの試験で身につけられるスキルには違いがあるため、受験前にはそれぞれの会社が提供する内容を、しっかりと確認しましょう。

合格率も資格の種類によって異なりますが、50〜80%のものが大半です。

転職の際などのアピールポイントになる可能性があるため、気になる人は詳細を確認してみてください。

介護予防運動指導員とは、高齢者などに対して、健康維持や予防のための運動指導を行う資格です。受験するためには、実務者研修修了者、初任者研修修了者で実務経験2年以上などの条件をクリアする必要があります。

具体的な資格取得方法は、まずeラーニングなどで講座を受けなければいけません。講座時間は30時間程度で、その後マークシート形式の試験に合格すれば、資格取得ができます。

合格率は公表されていませんが、90%以上の人が受かるとされており、しっかりと学習すれば、比較的受かりやすい資格といえるでしょう。

短期間で取得できる点も、介護予防運動指導員の資格の魅力です。

認知症介護基礎研修は、認知症患者の介護に必要な基礎的な知識や技術を身につけることができる資格です。厚生労働省は、将来的に介護の現場で働くすべての人が認知症介護基礎研修を受けることを義務化しようと考えており、早めに取得しておいて損はないでしょう。

資格取得するためには、厚生労働省が認定する研修を受講する必要があります。研修は、通学やeラーニング型など複数の方法から選択ができ、自分のスタイルにあわせて受講できる点が特徴です。

研修は6時間ほどで完了するため、短期間で取得できます。

認知症に関する資格はほかにも、認知症介護実践者研修や認知症介護実践リーダー研修などもあり、必要に応じて資格取得を目指すのがおすすめです。

ガイドヘルパーとは、要介護者や障がい者などに対して、外出時に付き添いやサポートを行うために必要な資格です。野外での交通演習や車椅子の介助方法といった実践的な内容が学べます。

ガイドヘルパーの資格を取得するためには、自治体が指定する養成研修実施期間の研修プログラムを履修することが必要です。とくに試験はなく、最短2日ほどで取得が可能なため、資格取得の難易度は低いでしょう。

施設などで働いており、外出の際にサポートが必要などの場合は、資格取得を検討してみることをおすすめします。

福祉用具専門相談員は、利用者が適切な福祉道具を選べる支援ができる資格です。福祉用具専門相談員は、介護保険の指定を受けた事業所に2名以上配置することが義務付けられており、高い需要があります。

福祉用具専門相談員になるには、厚生労働大臣が指定する講習会にて、すべてのカリキュラムを履修しなければいけません。資格の取得難易度はそこまで高くないでしょう。

注意点としては、介護福祉士や社会福祉士といった資格取得者は、資格を保有しているだけで福祉専門相談員として認められることが挙げられます。すでに、介護福祉士などの資格を保有している場合は、わざわざ資格を取得する必要がない点は理解しておきましょう。

同行援護従業者養成研修は、視覚障がいがある人の社会参加を手伝うことを目的とした資格です。視覚障がいがある人が、外出する際の移動の援護や、代読、代筆、排せつおよび食事などの介助について学ぶことができます。

同行援護従業者養成研修は、一般課程と応用課程の2つのコースが用意されている点が特徴です。一般課程では、実務経験者から視覚障がいに関する基本的な知識を学習します。応用課程では、実技演習も行われ、より実践的な知識を身につけることが可能です。

地域によって異なりますが、基本的には講義形式で行われ、欠席した場合の振替なども行えます。一般課程と応用課程をあわせても5日ほどで受講できるため、両方受けてみることを検討してみましょう。

行動援護従業者養成研修は、障がいを持つ人に対して、日常生活のサポートや社会参加を支援するための資格です。資格を取得することで、外出時における移動中の介護サービスに関する専門的な知識と技術を身につけられます。

資格を取得する方法は、合計24時間の講習を受講し、全日程の履修が完了することです。試験などはないため、資格取得の難易度は高くありません。

注意点は、研修期間中に自己都合で欠席した場合は、講習の振り返りができない点です。自己都合で欠席した場合は、修了不可となり、受講料の返金もありません。

欠席しないためにも、時間の余裕がある際に研修を受けるようにしましょう。

難病患者等ホームヘルパー資格は、難病を患い、在宅医療を必要としている疾患の介護に必要なスキルを身につける資格です。

「入門課程」「基礎課程I」「基礎課程 II」の3種類があり、いずれも1日程度の講習で修了するため、短時間で資格を取得することができます。保有している資格によって受講できる課程が異なるため、事前に自治体のホームページなどで概要を確認しておきましょう。

難病患者等ホームヘルパー取得のための試験はなく、受講が完了すれば、全国で適用できる修了証明書を受け取ることが可能です。

重度訪問介護従業者の資格は、難病や脳性まひ、脊髄損傷などによる重度の肢体不自由の人の訪問介護の際に役立つ資格です。基本的には、すでに介護業務に従事している人や、これから介護業務を始めることが確定している人が受講できます。

重度訪問介護従業者は、通学形式と通信形式のいずれかから選択することができ、指定された講習の全日程修了で取得可能です。

資格の難易度としては高くないため、重い障がいを持っている人を相手にする機会が多い人は、受講を検討してみてください。

介護の資格は、働きながらキャリアアップを目指せる点が大きなメリットです。

介護の資格のなかには働きながら受講できる研修や、実務経験が求められる資格もあり、資格取得のために退職する必要がありません。また、介護福祉実務者研修を取得してから、介護福祉士を取得し、そのあとに認定介護福祉士を取得するといった流れもあり、徐々にステップアップすることができます。

難易度の高い資格を取得していけば、管理職やエリアマネージャーなどの役職に就きやすくなり、収入も上がるでしょう。具体的なキャリアアップのプランを思い描きながら、自分に必要な資格の取得を目指してみてください。

介護の資格を取得することで、家族の介護が必要になった際に知識を活かせます。高齢者の介護や身体障害者の介護は、身近な人に求められるケースが多く、専門的な知識があれば、安全な介護を行うことが可能です。

また、自分が介護サービスを受ける年齢になった場合も、培った知識を活かして、スムーズに介護生活を始められるでしょう。

介護の知識は一生使うことができ、実用性もある点はメリットの1つです。

介護の資格を取得することで、資格保有者として周囲からの信頼を得られます。

介護の資格によっては、国家資格や民間資格ともに厳しい取得条件があり、一定の知識や技能を身につけていることが前提です。介護の資格を持つことで、職場で働く仲間から信頼されるだけでなく、サービス利用者にも安心感を与えるでしょう。

また、転職する際にも、資格保有者として優遇されるケースがあり、年収にも影響を与える可能性があります。

介護の仕事を長年続けたいと考えている人は、積極的に資格を取得し、周囲との信頼関係を構築しやすくなるように努めましょう。