介護職の志望動機はどう書く？履歴書の作成方法やコツを紹介

志望動機を考えるにあたって、自分がなぜ介護業界にいきたいのかを洗い出し、整理してみましょう。介護業界で働くことを決めたきっかけや、介護のどの部分に興味があるのかなどを書き出してみてください。

介護業界で働こうと考えたきっかけは、誰にでもあるはずです。ささいなことでも大丈夫なので、きっかけとなったエピソードを元にすれば、介護業界を選んだ理由を整理できます。

介護職の仕事の内容を具体的にイメージするために、介護業界を調べてみるのも重要です。業務への理解が深まれば、やりたいことや興味のある部分が整理できます。

また、なぜその会社に応募したのかを考えるのもポイント。応募する会社を他社と比較し、強みや特徴を洗い出してみると、志望動機を書く際のヒントになることがあります。

志望動機には、自分の人間性をアピールできるエピソードを書き出すことも重要です。自分をアピールできるようなエピソードがないと悩んでいるときは、主体性を軸としたエピソードを考えてみましょう。

主体性とは、自分の意思や判断に基づいて行動することです。指示を受けるだけでなく自分で考えて動ける人は、どの業界でも重宝されます。

例えば、前職が接客業であれば、客の言葉だけでなく、表情や仕草から求められているものを予想して商品を提案し、喜んでもらえたなど、自分で考えて行動した結果を順序立てて書きましょう。書き出す際は、なるべく具体的な内容を盛り込むと、より効果的なアピールが可能です。

志望動機には、入社後にどのようなことを達成したいのかを書くのも大切です。例えば、入社して3年先や5年先にどうなっていたいのかを、◯◯をしてスキルやキャリアアップし、将来的には◯◯で貢献できるようになりたいなど、具体的な数値や目標を記載するとよいでしょう。

採用する側は、応募者は自社で何がやりたいのか、何ができるのか、どのように能力を発揮できるのかを把握したいと考えています。達成したい目標が、現実的かつ具体的であればあるほど好印象です。

介護福祉士資格を取得して、年収アップを狙うために転職したい場合の志望動機は、応募先で勤務したいと考えた理由や、介護福祉士としての今後のビジョンを明確にすることが重要です。

介護職の経験者が、介護福祉士の資格を取得して転職する場合、以前の職場で引き続き勤務することも可能なのではと、採用側に思われる可能性があります。応募先で働きたいと考えた理由や、介護福祉士としてどのように仕事をしていきたいかをアピールすることが重要です。

【例文】

デイサービスの介護職として勤務するかたわら、勉強を重ねて介護福祉士資格を取得しました。資格を活かしてスキルアップやキャリアアップをするために、現在よりも高いレベルのチームで仕事をしたいと考えています。

貴施設の介護理念に「尊厳を守る」とあるように、介護福祉士の知識を活用して、利用者一人ひとりを尊重し、自分らしく生活できるようにサポートできる介護福祉士になりたいです。

介護職の転職回数が多い場合の志望動機は、なぜ転職回数が多いのかを、できるだけポジティブな理由を提示することが重要です。

転職回数が多い場合は、転職理由は前向きな内容を伝えましょう。給料面や人間関係など、ネガティブな退職理由をそのまま伝えてしまうと、印象がよくありません。また、職域を広げたり、資格を活かしたりしたいなど、キャリアアップをするための転職はポジティブに捉えてもらえるでしょう。

【例文】

これまで、特別養護老人ホームやデイサービス、訪問介護事業所など、計4回の転職を経験しました。入居者や利用者の傾向が異なる施設で働いたことにより、さまざまなケースに対応できる能力が身についたと自負しています。

転職の経験は多いですが、幅広い業務で経験を積み、常にスキルアップを考えて勤務先を選んできました。貴施設においても、これまで得た知識や経験を十分に活かせると考え、志望した次第です。

有料老人ホームへ応募する場合の志望動機は、なぜ応募先（有料老人ホーム）で働きたいのかを明確にしましょう。

有料老人ホームへ応募する際の志望動機は、応募先で勤務したい理由を明確にするのかに加えて、自分がどのようなスタンスで介護に臨むのかもプラスすると、好印象を与えられるでしょう。

【例文】

特別養護老人ホームでの介護経験が5年あります。特別養護老人ホームでは、入居者さま一人ひとりに向き合う時間が少なく、じっくりとコミュニケーションを取れないことを歯がゆく感じていました。

今回、貴施設に応募するにあたり、食事へのこだわりや充実したレクリエーションなど、入居者さまの身体面のケアだけでなく、精神面のケアもしっかりと行なう姿勢に共感し、より入居者さまに寄り添った丁寧な介護ができるのではと考え、応募した次第です。

通所介護施設（デイサービス）へ応募する際の志望動機は、以下のような例文が考えられます。

志望動機には現在の状況や、応募先に転職したらどのような働きができるのか、将来のキャリアビジョンなどを盛り込むとよいでしょう。例文は、デイサービスからデイサービスに転職する場合を想定しました。

【例文】

現在、地域に密着した小規模なデイサービスで働いています。利用者や職員の距離が近く、アットホームなコミュニケーションがとりやすく、働きがいのある職場ではありますが、さらなるスキルアップを目指したく、貴事業所に応募いたしました。

貴事業所のような規模の大きいデイサービスであれば、より専門的なスキルの習得や、異なる要支援・要介護度の利用者のケア経験を積むことで、成長できるのではと考えています。長期的な勤務も見据え、将来的には後進の育成もできるようなキャリアも積んでいきたいです。

現場経験が豊富な場合は、どのような経験をしてきたのかや、応募先でどう経験を活かせるのかを伝えることが重要です。

現場の経験を伝える際には、簡潔かつ具体的に提示しましょう。また、現場経験が豊富でも、転職回数が多い場合は、応募先で長期間働きたい旨を伝えると、より好印象です。

【例文】これまで、通所介護施設や訪問介護、特別養護老人ホームなど、さまざまな介護の現場を経験してきました。そのため、多様なシチュエーションにスムーズに対応できる強みがあります。

今回、施設見学会の際に職員が活き活きと勤務されていたことや、チームワークやコミュニケーションを重要視されていると伺い、自身の介護理念とマッチしていると感じたため、応募いたしました。

貴施設は開設30年の歴史があり、地域からの信頼も厚いと聞いています。自分自身、最後の転職だと思い、長く勤務する所存です。

ケアマネジャーの志望動機を書く際には、応募先の施設がどのようなケアを行っているのかや、理念などを細かく調べましょう。また自己分析も行い、企業分析の結果とあわせて自分はどのような活躍ができるのか、その施設でしかできないことの提示が重要です。

ケアマネジャーには、コミュニケーション能力や調整力、行動力などが重要です。また、利用者だけでなく、職員や外部の医療機関などとの橋渡し役も務めるため、人柄を重視されます。この人が現場に入ったら、どのような効果が出るのかを、相手が想像できるような志望動機を作成しましょう。

【例文】

ケアマネ事務所で3年間、ケアプランの作成や各機関との連絡調整などを行っていました。利用者さまや施設や医療機関職員など、多くの人と接するなかで、コミュニケーション能力や能動的に業務を遂行できることが強みです。

今回、貴施設の入居者さま一人ひとりに合わせたケアプランのレベルの高さや、介護理念に魅力を感じ、応募いたしました。これまでに培ったスキルを活かしつつ、より大きな組織でマネジメント能力やチームワークを学び、成長したいと考えています。

無資格未経験からでも、介護職への応募は可能です。介護の人材不足は年々加速しており、厚生労働省の「介護人材確保に向けた取り組み」によれば、2022年度は2026年度と比較して、約25万人の介護職員が必要になると発表されています。

ただし、人材不足といっても志望動機が適切に書かれていなければ、面接に落ちる可能性もあるでしょう。無資格の人が志望動機を作成する際は、今までの経験を介護に活かせるようなエピソードを入れてみると、印象がよくなりますよ。

無資格未経験の人は、資格や経験がないことをマイナスに捉えるのではなく、今までの経験が介護に活かせるかどうかを考えて、志望動機を作成しましょう。

【例文】

前職は飲食店で、調理と接客を同時にこなしていました。調理をしながらも常にお客さまに目を配り、限られた時間のなかで最善のサービスが提供できるよう心がけています。

例えば、ご高齢の常連さまから予約が入っていた場合、食材を小さめに切り分け、誤嚥がないよう食べやすくしたり、ご飯を少し柔らかめに炊いたりなど、年齢や好みに合わせて提供していました。この経験は、介護にも活かせるのではないかと考えています。

介護職は未経験ですが、接客業で学んだコミュニケーション能力や気配りの能力を介護でも発揮し、貴施設の戦力になれるよう努めていきたいです。

取得済みの介護資格がある場合は、その資格を取得した経緯や、資格をどう活かしていきたいかなどを書きましょう。

何らかの介護資格を持っていれば、無資格よりも就職がしやすいため、志望動機や履歴書には必ず記載しましょう。介護職員初任者研修課程を修了している場合の志望動機例文を、以下に記載します。

【例文】

介護職をしている母の影響で、子どもの頃から人の役に立つ仕事がしたいと考えていました。人のために働ける職場を検討していたところ、母の後押しもあり、介護職への就業を決め、介護職員初任者研修課程を修了しました。

貴法人では、介護職員初任者研修の経験を活かしながら現場で実務経験を積み、介護福祉士の取得も目指していきたいと考えています。たくさんの人の役に立てるよう、一日も早く戦力になり、長期間に渡って働きたい所存です。

介護以外の業種での経験が長い場合は、前職での経験をどう介護に活かせるかを志望動機に盛り込みましょう。

例えば、上記のように営業職の経験者であれば、コミュニケーション能力や調整力を強みとしてアピールできます。経験した職種と介護の共通点を探し出すことで、説得力のある志望動機ができるでしょう。前職での経験を活かした志望動機の例文は、以下が考えられます。

【例文】

私の前職は、広告代理店の営業職でした。広告代理店は、案件ごとにまったく異なるクライアントとコミュニケーションをとるため、あらゆる状況に対応できることが強みです。

また、顧客のニーズを的確に捉え、制作を担うクリエイティブ部門へ引き継ぐ調整力が、介護の現場で応用できると考え応募いたしました。

貴事業所でも、利用者さまのニーズを引き出し、満足度の高いサービスが提供できるよう、尽力いたします。また、利用者さまだけでなく、職員間のコミュニケーションも円滑に進められるよう、営業職で培ったスキルを活かす所存です。

志望した理由がはっきりとしないまま書いていると、選考する側によい印象を与えられない可能性があります。例えば、志望動機になんとなく介護をしてみたいと書いてある場合と、介護に興味があり、人の役に立つ仕事がしたいと書いてあるケースでは、後者のほうが心象はよいでしょう。

志望動機を書く際には、なぜ介護の仕事をしたいのか、応募先の企業や事業所を志望する理由などを明確にすることが重要です。また、志望動機が応募先の介護理念などに沿っているかも確認しておくのもよいでしょう。

志望動機にネガティブなことを書くのもNGです。人間関係や給与面の不満から転職を決めたとしても、そのまま転職の理由として書くと、採用担当者にマイナスイメージを与えてしまいます。

ネガティブなことを書く際には、ポジティブにいい換えられないかどうかを検討しましょう。

例えば、人間関係に不満があるなら、チームワークを重視してスタッフと働きたいといい換えられます。介護業務以外の負担が大きい場合は、介護の業務により集中できる職場を探しているなど、視点を変えて志望動機を作成してみてください。

ほかにも、待遇面に不満を感じているなら経験やスキルを評価してくれる職場に就職したい、今の職場に将来性がないと考えている場合はキャリアアップをしたいと、いい換えが可能です。

志望動機には、自分にとってのメリットばかり書いてはいけません。例えば、家から近くて通いやすい、今の職場より給料がよいなどは、すべて自分が得られるメリットです。メリットは志望する動機にはなるものの、そのまま書くのはやめたほうがよいでしょう。

特に介護職は、高齢者の日常生活を支援する仕事なので、自分が得られるメリットばかりを強調する人は適性がないと判断されてしまう可能性も。

採用側は、雇うことによって、どのようなメリットが得られるのかを見ています。自分にとってのメリットではなく、相手がメリットを感じられる志望動機を作成しましょう。

面接時に聞かれた質問に対しては、結論から話しましょう。結論から話せば、面接官が話の要点を理解しやすく、受け答えが明確にできることをアピールできます。話の組み立て方は、まず結論を提示し、次に結論の理由を具体的に説明しましょう。最後に、まとめとして結論の再提示をします。

例えば、介護職の志望動機を聞かれたら、御社の理念に共感したから（結論）と答え、続けて、自身が介護に対して、応募先の理念と似た考えを持っており、前職でも理念を表すようなエピソードがあった（理由）と具体的に説明。

最後に、自身の考えが応募先と合致していて、働いてみたいと感じ応募した（結論の再提示）といった展開で、話を組み立てることを心がけましょう。

介護職は利用者だけでなく、利用者の家族や同僚、外部の医療機関など幅広い人と関わりのある仕事です。採用側はコミュニケーション能力の高い人を求めていることが多いため、明るく元気に振る舞える人は、面接官から見て好印象です。

利用者には耳が遠い人も多く、明るくハキハキと、大きな声でコミュニケーションが取れる人材は重宝されます。

また、面接時には、相手の目を見て話すことも重要です。伏し目がちで話す人と、しっかりと相手の目を見て話す人では、後者のほうが好印象なのは明らかではないでしょうか。

面接は一方的に話したり聞いたりするのではなく、会話をする意識で話すことが重要です。相手の話をよく聞き、聞かれた質問に対して簡潔かつ的確に答え、話の合間には相槌を打つなど、会話のキャッチボールを意識しましょう。

会話のキャッチボールがしっかりとできていれば、現場で利用者と会話している姿も自然にイメージできます。そのイメージを面接官に持たせられれば、印象もよくなるでしょう。また、質問に答えるだけでなく、自分から質問してみるのも大切です。

質問をするタイミングは、面接の最後に面接官に促されたときか、「自分から質問してもよろしいでしょうか」と聞いてみるとよいでしょう。質問をする際には「恐れ入りますが」や「教えていただきたいのですが」と前置きしてから始めると、丁寧な印象を与えることができます。