ビットコインの取引データを承認・記録し、報酬をもらうマイニング。ビットコインに興味がある人のなかには、マイニングがどんな仕組みなのか詳しく知りたい人もいるでしょう。
今回はビットコインのマイニングの仕組みや基本的な知識を解説します。マイニングが儲からないといわれる理由も紹介するので、ビットコインの理解を深めるための参考にしてみてください。
大学卒業後に銀行員として勤務、法人顧客の経営支援・融資商品の提案や、個人向け資産運用相談を担当。 2020年にマイベストに入社、自身の銀行員時代の経験を活かし、カードローン・クレジットカード・生命保険・損害保険・株式投資などの金融サービスやキャッシュレス決済を専門に解説コンテンツの制作を統括する。 また、Yahoo!ファイナンスで借入や投資への疑問や基礎知識に関する連載も担当している。
ビットコインのマイニング(採掘)とは、どのようなことを意味するのでしょうか。マイニングの意味や実施される理由を確認していきましょう。
ビットコインにおけるマイニングとは、暗号資産の新しい取引データを検証・承認する作業のことです。コンピューターを用いてマイニングする人はマイナーと呼ばれます。
国で流通している紙幣や硬貨といった法定通貨は、中央銀行などの発行元で管理されています。しかし、暗号資産のビットコインには、暗号資産を発行・管理する機関がありません。
その代わり、ブロックチェーン技術を用いて不特定多数の手で暗号資産を管理し、改ざんなどを防止しています。ブロックチェーンとは、ビットコインにおけるすべての取引データが記載された、大きな取引台帳のようなものです。
ビットコインのケースでいうと、取引データを格納するブロックは約10分に1回の頻度でつくられます。ブロックは時系列でつながっており、格納された取引データを書き換えることは現実的に不可能です。
新しいブロックに入った取引データは、これまでの取引データとの整合性に問題がないか検証されます。問題がなければ承認され、データが入ったブロックはブロックチェーンの最後尾につながりますよ。
この取引データの検証・承認作業が、マイニングです。マイニングは有志のマイナーによって行われており、取引台帳を多くの人々で共有・更新することで、整合性が保たれています。
管理組織のないビットコインにおいて、マイニングは膨大な取引記録の正確さを維持するために欠かせない作業といえるでしょう。
マイニングを実施すると、新しく発行されたビットコインが報酬としてもらえます。ただし、マイニングに参加するだけではもらえません。報酬を受け取れるのは、取引データのマイニング作業を最初に終えたマイナーのみです。
マイニング作業は複雑で膨大な計算処理の連続のため、手作業ではなくコンピューターの演算機能を利用します。つまりコンピューターを使って1番に計算を終えたマイナーが、報酬を獲得できるというわけです。作業の様子が鉱物の採掘に似ていることから、マイニング(採掘)と呼ばれています。
2022年時点でのマイニングの報酬額は、6.25BTC。たとえば1BTCが100万円とすると、1つのマイニング作業に対する報酬額は625万円です。BTCはビットコインの通貨単位を表しており、1BTCあたりの価格は変動します。
なお、ビットコインには半減期という仕組みがあり、21万ブロックがつくられるごとに新規発行枚数が半減するのが特徴です。半減期の仕組みによって、2024年には報酬額が3.125BTCになると推測されています。
また、ビットコインはマイニング報酬として新規発行されますが、発行量は無制限ではありません。上限は2,100万BTCと設定されており、2140年ごろに終了するという予測があります。
マイニングの主な方法は、ソロマイニング・プールマイニング・クラウドマイニングの3種類です。
ソロマイニングとは、自分1人でマイニングの機材をそろえて参加する方法。コンピューターに関する知識があり、1人でも準備ができる人に向いています。仲介手数料の支払いや報酬の分配が不要のため、マイニングが成功するとほかの方法よりも報酬が大きくなりやすいです。
プールマイニングは複数人でチームを組み、協力しながらマイニングをする方法のこと。ソロマイニングと同様に、機材の準備が必要です。機材の計算能力を持ち寄れるので、マイニングが成功する可能性が高まります。マイニングに成功した場合は、マイナーの計算能力に応じて報酬が分配されますよ。
クラウドマイニングとは、マイニング事業を行っている企業に投資する形でマイニングに参加する方法です。ソロマイニングやプールマイニングのように、自分でコンピューターを用意する必要はありません。機材に詳しくない人も、ほかの方法に比べて始めやすいといえます。
ただし、投資資金として多額の初期費用がかかるケースも。投資した企業と連絡が取れなくなった、知り合いの勧めで始めたものの、企業の実態が不明瞭で当初の話と違ったなどの事例があることから、詐欺のリスクにも注意が必要です。
ビットコインのマイニングは参加しても儲からないといった声もあります。ビットコインのマイニングが儲からないといわれる理由を、一つひとつチェックしてみましょう。
ビットコインのマイニングが儲からないといわれるのは、競争が厳しくなっているからです。マイニングで報酬を得られるのは、コンピューターによる計算競争を勝ち抜いた人のみ。ビットコインの知名度が低かったころは、個人のコンピューターでもマイニングの競争に勝つことはできました。
しかしビットコインの知名度が上がった昨今では、世界中からマイナーが集まるほか、マイニングに特化した設備を用意する企業も現れています。
企業が高性能のコンピューターを多く用意できる一方で、個人はどうしても設備の規模が小さくなりがちです。企業が参入しているなかで、個人がマイニングの競争を勝ち抜くのは難しいと考えられるでしょう。
ほかの国と比べて日本の電気代が高めであることも、マイニングが儲からないといわれる理由のひとつ。マイニングはコンピューターを長時間稼動させるので、多くの電力が必要です。そのため、マイニングの利益は電気代によって左右されます。
世界のなかでも電気代が高い部類に入る日本では、マイニングに必要なコストを抑えるのが困難です。その分、設備を充実させにくい、報酬を得ても利益が少なくなるといった可能性があります。
一方、電気代を抑えやすいアメリカなどの国は、マイニングに有利です。マイニングに必要な設備なども拡大させやすいでしょう。国という大きなくくりで見た場合、日本でのマイニングはコスト面で不利になる可能性があり、その結果儲からないといった声につながっていると考えられます。
初期投資がかかることも、マイニングのネガティブなイメージにつながっているといえます。マイニングの競争を勝ち抜くためには、マイニング専用の機器を複数導入する必要があるでしょう。また、運用設備を整えたり、メンテナンスのために人材を集めたりと、多額の初期投資が必要です。
数百万~数千万円のコストがかかる場合もあるため、一個人が気軽に参加するのは難しいと考えられます。
個人でビットコインを利用する場合は、マイニングよりも通常の売買で利益を出すことを考えるほうがよいでしょう。マイニングは企業の参入もあって競争が厳しくなっているうえ、多額の初期費用や運用コストがかかるからです。
それでもビットコインのマイニングに挑戦したい場合は、ソロマイニングよりもクラウドマイニングを選ぶほうが現実的。クラウドマイニングとは、マイニング事業を行う企業に投資することで利益の配当を受け取る方法です。機材や設備を自分で用意する必要がない分、はじめやすいといえます。
またマイニングに参加したい人は、ビットコイン以外の暗号資産を狙ってみるのもひとつの手です。種類によっては、ビットコインよりも低い競争率でマイニングに参加でき、報酬を得られる可能性があります。
まずはマイニングをするのか、する場合はどの暗号資産を選ぶのかを検討してみましょう。マイニングではなく、暗号資産の売買に方向を変える場合、暗号資産の入手元である暗号資産取引所や暗号資産販売所をチェックしてみるのがおすすめです。
数種類ある取引所を徹底比較した記事もあるので、ぜひこちらも役立ててみてください。
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