ウォーターサーバーで冷水・お湯が出る仕組みをわかりやすく解説

電子式とは、電気を使って水を冷やす方式のことです。冷水タンクの外側に「ペルチェ素子」という半導体を取り付け、電気を流してタンク内の水を冷やします。

電子式は水の冷却に時間がかかる点がデメリットですが、作動音が静かなため、卓上タイプの小型ウォーターサーバーや、静音タイプのウォーターサーバーに採用されることが多い方式です。

コンプレッサー式とは、エアコンや冷蔵庫などと同じ仕組みで冷水タンク内の水を冷やす方式のことです。冷水タンクの外側が冷媒の通る金属管で覆われており、コンプレッサーで金属管内の冷媒を循環させることでタンク内の水を冷やします。

コンプレッサー式は短時間で水を冷却できるため、最近のウォーターサーバーでは主流の方式です。ただし、コンプレッサー式は冷却スピードが速い分、電子式よりも消費電力は大きくなります。

金属棒式は、温水タンク内に取り付けられた金属棒に電気を流し、金属棒を加熱してタンク内の水を温める方式です。電気ポットと同様の仕組みで、多くのウォーターサーバーで採用されています。

金属棒式を採用しているウォーターサーバーの多くでは、空焚きを防ぐために水ボトルをセットしてから電源を入れる場合が多いです。また、タンク内のお湯が減って水が補充されると、金属棒の熱で適温になるまで再び加熱され、いつでも適温のお湯を使用できます。

ウォーターサーバーの種類によって異なりますが、お湯の温度は80～85℃程度に保たれていることが多く、ホットドリンクなどを手軽に作ることが可能です。

バンドヒーター式とは、温水タンクの外側に熱を発するバンド式のヒーターを巻いて、タンク内の水を加熱する方式です。ヒーターは薄型で箱型や筒状に加工できるため、タンクの表面を広く加熱できるメリットがあります。

バンドヒーター式は、金属棒式よりもお湯を沸かすのに時間がかかりますが、消費電力は金棒式よりも少ないのが特徴です。

宅配型は、ウォーターサーバー専用の水ボトルを、メーカーまたは、メーカーに委託された配送会社が自宅まで届けてくれる供給方法です。

宅配型は、水がなくなるたびに買いに行く手間が省けることがメリットですが、メーカーによっては、1か月に注文する水ボトルの本数にノルマが設定されているため注意が必要です。

水の宅配料金は無料の場合が多いですが、離島など特定の地域は有料のメーカーもあるため、契約前に確認しておきましょう。

宅配型の場合、宅配料金以外に水代が月額2,500～5,000円程度、サーバーレンタル代が月額0～1,000円程度、電気代が月額400～1,000円程度かかります。ウォーターサーバーのメンテナンス代は有料の場合と無料の場合があるため、あらかじめ確認が必要です。

水ボトルをセットするタイプのウォーターサーバーには、水ボトルを本体の上部に取り付けるタイプと、本体の下部に取り付けるタイプの2種類があります。

水ボトルを本体の上部に取り付けるタイプは、水ボトルの口を下に向けてセットし、重力の力でタンク内に水が補充される仕組みのため、電力を必要としません。また、水ボトルは本体の外側に取り付けるため、水の残量が確認しやすいです。

デメリットは、水ボトルが重いため交換が大変なことでしょう。一般的な水ボトルは12L入りで、重さが12kgあります。男性であれば問題ない場合が多いですが、女性やお年寄りが交換のたびに、胸より高い位置に12kgの水ボトルを持ち上げるのは負担が大きいでしょう。

水ボトルをウォーターサーバー本体の下部に取り付けるタイプは、本体内部のボトルトレイに水ボトルをセットすることで、自動でタンク内に水が汲み上げられます。

交換の際、水ボトルを持ち上げる必要がなく、女性やお年寄りにも負担が少ないのがメリットです。汲み上げには電力が必要なため、停電時には使えないのがデメリットでしょう。

また、人によっては水を汲み上げる際の作動音が気になる場合もあります。音に敏感な人は、作動音が抑えられた静音タイプを選ぶことをおすすめします。

水道直結型は、水道管を分岐させ、直接ウォーターサーバー本体と繋いで給水するタイプのウォーターサーバーです。

サーバーを設置する際、初期工事が必要ですが、工事後は自動的に給水されます。サーバー内のフィルターで水道水の不純物を取り除く仕組みのため、いつでも安全な水が使用可能です。

水道直結型は水道水を利用するため、月々のサーバーレンタル代と電気代たけで利用できることがメリットといえます。水栓の形状によっては分岐部品を取り付けできないため、利用できないケースがある点がデメリットでしょう。

浄水型は、サーバー内に水道水を補充して使用するタイプのウォーターサーバーです。

水道直結型も水道水を使用しますが、水道直結型が水道管を本体に直接繋いで自動で水道水を給水するのに対して、浄水型は利用者がタンク内に水道水を補充する必要がある点が異なります。

浄水型も水道直結型と同じく、サーバー内のフィルターで水道水の不純物を取り除く仕組みのため、いつでも安全な水を使用可能です。

また、月々のサーバーレンタル代と電気代たけで利用できる点も水道直結型と共通していますが、浄水型は小型のものが多く、設置が簡単なため、近年人気が高まっています。

「再加熱機能」は、温水タンク内のお湯を再加熱し、一時的に温度を高くする機能です。温水タンク内のお湯は80～85℃前後でキープされている場合が多いですが、再加熱機能を使えば、お湯の温度を92～93℃前後まで熱くすることが可能です。カップ麺やインスタントスープを作るときなどに役立つでしょう。

お湯の温度を通常よりも低めにキープしておけるのが、「弱温モード」です。弱温モードでは、お湯の温度を70～75℃前後に設定できるため、赤ちゃんのミルクづくりなどに便利でしょう。また、弱温モードは通常モードよりも消費電力が少ないため、電気代の節約にもつながります。

「弱冷モード」は、冷水タンク内の水の温度を常温に近い12～15℃前後にキープできる機能です。水を常温で飲みたい場合や、冬場に冷水を飲むのがつらい場合などに利用しましょう。弱冷モードも弱温モードと同様に消費電力が少ないため、電気代の節約が可能です。

ウォーターサーバーの用途に合わせて便利なモードを使い分けましょう。

一部のウォーターサーバーには、衛生面で安心なクリーン機能が搭載されています。

クリーン機能とは、一定時間ごとに温水タンク内のお湯を冷水タンク内に循環させ、熱殺菌によってタンク内を清潔に保つ機能です。クリーン機能の作動中は、数時間ウォーターサーバーが使用できないため注意しましょう。

子どもがいる家庭で使用しやすいのは、チャイルドロック機能が付いたウォーターサーバーです。ウォーターサーバーのお湯は高温のため、子どもが簡単に操作できるようであれば火傷などの事故につながりかねません。

チャイルドロック機能は、お湯や冷水の注水をロックするものや、ウォーターサーバーの全機能をロックするものなどさまざまです。なかには、注水ロックと全機能ロックが2重で備わっているウォーターサーバーもあります。

子どもが操作できないよう、扉の内側や本体の裏側など、子どもの手が届きにくい位置にロックボタンが取り付けられているウォーターサーバーを選べば、よりリスクを軽減できるでしょう。

ウォーターサーバーの電気代が気になる人には、電気代の節約が可能なエコモードが搭載されているウォーターサーバーをおすすめします。

エコモードは、夜間などで部屋が暗くなると光センサーが感知し、自動的に温水タンクの電源がオフになる機能です。

1日6時間エコモードを使用すれば、1か月で2割程度電気代が抑えられるといわれています。電気代が気になる人はエコモード搭載のウォーターサーバーを選びましょう。

部屋が明るくなると、エコモードが解除されお湯の再加熱が始まります。再加熱には数十分程度かかる点に注意してください。

ウォーターサーバーですぐに熱湯が出るのは、ウォーターサーバー内で熱湯を作り、いつでも適温で注水できるようにしているためです。熱湯を作る方法は、電気ポットと同じように、温水タンク内に取り付けた金属棒を加熱してお湯を温める方法が主流です。

ウォーターサーバーには安全装置が付いており、温水タンク内のお湯の温度が上昇したら加熱を止めて、一定の温度を保ちます。また、温水タンク・冷水タンクともに断熱材で覆われているため、保温性が高いこともすぐに熱湯が出る理由のひとつです。

ウォーターサーバーで使われる水には、「天然水」と「RO水」の2種類があります。

天然水とは、特定の水源から採水され、ろ過や沈殿、加熱殺菌など、飲用にするための最低限必要な処理だけが行われた水のことです。

天然水にはカルシウムやマグネシウムなど、天然のミネラルが豊富に含まれているため、水本来の甘みが感じられます。採水地によって含まれる成分が異なるため、採水地によって水の味も異なるのが特徴です。

RO水とは、天然水や水道水をRO膜という0.0001ミクロンの超微細なフィルターでろ過した水のことを指します。

RO膜でろ過すると、水に含まれる不純物だけでなく、ミネラルなどの成分も取り除かれてしまうため、天然水ほどおいしくありません。そのため、人工的にミネラル成分を添加して、味を調整されているのが一般的です。

天然水とRO水には、価格の違いもあります。価格は、12Lの水ボトルの場合、天然水が1,500～2,000円前後、RO水が1,100～1,300円前後です。味を重視するなら天然水、コスパを重視するならRO水と区別するといいでしょう。