好きな自治体に寄付すると返礼品をもらえるふるさと納税。お得な制度であると聞いたことはあるものの、控除・還付・税金・確定申告などさまざまな手続きや仕組みがあり、よくわからないという人も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、ふるさと納税の仕組みを初心者にもわかりやすく解説します。メリットやデメリットのほか始める手順についても説明するので、ふるさと納税デビューを予定している人は参考にしてくださいね。
大学卒業後に銀行員として勤務、法人顧客の経営支援・融資商品の提案や、個人向け資産運用相談を担当。 2020年にマイベストに入社、自身の銀行員時代の経験を活かし、カードローン・クレジットカード・生命保険・損害保険・株式投資などの金融サービスやキャッシュレス決済を専門に解説コンテンツの制作を統括する。 また、Yahoo!ファイナンスで借入や投資への疑問や基礎知識に関する連載も担当している。
ふるさと納税とは、自分が住んでいる以外の自治体に寄付ができる制度です。自分の故郷だけでなく、旅行で訪れて気に入った場所、応援したい自治体、移住先として気になっている自治体など寄付先は自由に選べます。
もともとふるさと納税は、生まれ育った故郷に恩返しができる制度として誕生しました。都会に仕事の多くが集中している日本では、成長すると生まれ故郷を離れる人が多く、移り住んだ先で納税するため、故郷に税収が入りません。そこで、自分の意思で好きな自治体に納税できる制度としてスタートしたのが、ふるさと納税です。
ふるさと納税は、選んだ自治体に寄付をすると税金の還付や控除が受けられる仕組みです。
ふるさと納税では、寄付金額のうち2,000円を超える部分が上限以下であれば、所得税と住民税から全額控除されます。つまり、ふるさと納税は自己負担2,000円でのちに収める税金の額を減らせる制度といえます。
たとえば年収400万円の人が40,000円のふるさと納税をした場合、40,000円-2,000円=38,000円が控除される金額です。控除額の上限は、年収や扶養家族の人数によって異なります。
ふるさと納税を行ったほうがいいと言われているのは、以下のようにさまざまなメリットがあるからです。
ふるさと納税では、寄付した税金の使い道を指定できる場合がほとんどです。自治体から提示される用途から好きなものを選ぶことで、支払った税金がどのように使われているかを考えるきっかけになるでしょう。
寄付金の使い道は子育て支援・福祉の充実・環境保全の取り組みなど、自治体によってさまざまです。返礼品を選択する際、何に寄付金を使ってほしいか選択します。
ふるさと納税では、寄付した自治体の特産品や名産品、特典などを返礼品としてもらえます。
各自治体は、寄付額の3割以内に値する返礼品を用意されています。たとえば50,000円の寄付をした場合、自己負担額の2,000円を引いた48,000円の控除を受けられるだけでなく、15,000円相当の返礼品を受け取ることが可能です。
ふるさと納税の返礼品は食品・日用品・工芸品・チケット類などさまざま。魅力的な返礼品がある地域に寄付をする、という寄付先の選び方も可能です。返礼品を選ぶ際に自治体や地域のことを知り、親しみが湧いて応援したくなることもあるでしょう。
なお、住民登録をしている自治体にも寄付は可能ですが、その場合は返礼品がもらえず税額控除の効果もありません。
利用するふるさと納税サイトによっては、寄付した金額に応じてポイントが貯まることもあります。
たとえば楽天ふるさと納税では、寄付金額100円につき1ポイントの楽天ポイントが貯まります。ふるなびでは寄付金額の1%分のふるなびコインが貯まり、楽天ポイント・dポイント・PayPay残高・Amazonギフト券などに交換可能です。
毎年継続してふるさと納税をするとポイントが貯まり、貯まったポイントを使ってお得に寄付ができるようになります。ただし、ポイントには有効期限が設けられていることもあるため、確認したうえで期限内に使い切るようにしてくださいね。
ふるさと納税には多くのメリットがありますが、注意しておくべき点もあるので紹介します。
ふるさと納税では、すぐに税金の控除を受けられるわけではないので気をつけましょう。
所得税や住民税の控除が受けられるのは、翌年の課税タイミングです。申し込み後すぐに税金が控除されて現金が戻ってくるわけではありません。最終的な自己負担は2,000円で済みますが、控除までに時間がかかるので一旦は寄付金全額を支払う必要があります。
ふるさと納税の利用によって受けられる控除には限度額があるため、超えないよう注意する必要があります。
ふるさと納税の寄付金自体にはとくに上限額は設けられていないので、いくらでも寄付が可能です。ただし、控除限度額を超える寄付をすると自己負担額が2,000円以上となるので、税制面のメリットがないただの寄付となる金額が多くなってしまいます。
ふるさと納税の控除限度額は年収や家族構成などによって変わるので、事前に調べることが大切です。総務省のふるさと納税ポータルサイトの「ふるさと納税のしくみ」ページでは、控除限度額の目安を調べたりシミュレーションを行ったりできます。
ふるさと納税に興味が出てきたら、始める手順も知っておきましょう。一般的な流れを解説します。
まずは、好きな自治体や返礼品を選びます。自治体や返礼品を選ぶ際は、ふるさと納税の情報がまとめられたふるさと納税サイトを利用するといいでしょう。全国の返礼品が掲載されており、ショッピング感覚で寄付を行えます。
なお、基本的に寄付できる自治体の数に制限はありませんが、寄付する自治体数が6か所以上になった場合はワンストップ特例制度を利用できないため注意が必要です。
ワンストップ特例制度とは、確定申告をしなくてもふるさと納税の寄付金控除が受けられる制度のこと。寄付した自治体に申請書を送るだけなので手軽ですが、1年間の寄付先が5自治体以内に収まらなければ使えません。6か所以上に寄付をする場合は、確定申告が必要です。
以下の記事ではおすすめのふるさと納税サイトを紹介しています。ぜひチェックしてみてくださいね。
寄付先を決めたら、ふるさと納税の申し込み手続きをします。自治体のホームページやふるさと納税サイトから、手続きを行いましょう。
申し込み手続きはWebから行うのが一般的で、手軽に済ませられます。自治体への電話や書類の郵送、あるいは持参などでも対応しているケースがあるので、Web以外の方法を利用したい場合は自治体ごとの申し込み方法を確認しましょう。
支払い方法は、現金・クレジットカード・振込など自治体によって違うことがあります。必ず確認したうえで申し込みを進めてください。
ふるさと納税の申し込みをしたあとは、選んだ返礼品や寄付金受領証明書が届くのを待ちましょう。自治体や返礼品にもよりますが、申し込み後数週間から数か月程度で届くのが一般的です。
なかには、返礼品を提供できるようになる時期に合わせて届くケースもあります。たとえば返礼品が桃であれば旬を迎える7〜8月など、返礼品ごとに届く時期が記載されていることが多いので、申し込み前に確認しておくといいでしょう。なお、返礼品の届け先は自宅以外を指定することも可能なので、家族や知人にも送れます。
寄付金受領証明書は、ふるさと納税で寄附したことを証明する書類です。確定申告の際に必要なので、大切に保管しておきましょう。
税金控除を受けるには、ワンストップ特例制度を利用するか、確定申告をする必要があります。
ワンストップ特例制度を利用する場合は、「寄附金税額控除に係る申告特例申請書」に必要事項を記入し、寄付した自治体に送るだけで手続きが完了します。マイナンバーが確認できる書類と本人確認書類が必要なので、あわせて用意しておきましょう。
6か所以上の自治体に寄付をした場合や個人事業主などもともと確定申告が必要な場合は、期限内に確定申告をする必要があります。確定申告は原則、ふるさと納税を行った翌年の3月15日が期限です。必要書類を作成し、居住地を所轄する税務署に提出しましょう。
確定申告の書類は会計ソフトなどを用いて作成するほか、国税庁が提供している確定申告書等作成コーナーでも作成可能です。毎年確定申告時期になると、国税庁のサイトで確定申告特集のページが公開されます。ふるさと納税をした人向けのページもあるため、詳しい申告方法を確認しておくと安心です。
以下の記事ではクラウド会計ソフトを紹介しています。合わせて参考にしてください。
ふるさと納税の申告手続きが終わると、所得税や住民税が控除されます。
確定申告をした場合は、所得税と住民税の両方から控除されます。所得税の還付がある場合は、ふるさと納税をした翌年の4〜5月に指定した口座に還付金が振り込まれるため確認しましょう。住民税は、ふるさと納税をした翌年の6月頃に配布される「住民税決定通知書」で金額が確認できます。
ワンストップ特例制度を利用した場合は所得税から控除されず、全額住民税から控除されます。還付金が振り込まれることはないので、ふるさと納税をした翌年の6月頃に「住民税決定通知書」で控除額を確認しましょう。
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