課税額に対する控除を受けられるふるさと納税。夫婦で一緒に申し込めるのか、扶養に入っている場合や子どもがいる場合は何か条件が変わるのか、と気になっている人もいるでしょう。
本記事では、夫婦でふるさと納税をする際の注意点や、別々で申し込んだほうがよいケースを解説します。よくある疑問についても紹介するので、ぜひ参考にしてください。
大学卒業後に銀行員として勤務、法人顧客の経営支援・融資商品の提案や、個人向け資産運用相談を担当。 2020年にマイベストに入社、自身の銀行員時代の経験を活かし、カードローン・クレジットカード・生命保険・損害保険・株式投資などの金融サービスやキャッシュレス決済を専門に解説コンテンツの制作を統括する。 また、Yahoo!ファイナンスで借入や投資への疑問や基礎知識に関する連載も担当している。
共働き夫婦の場合もふるさと納税は可能ですが、配偶者が扶養に入っているかどうかで申請の形が変わるため注意が必要です。
ふるさと納税では「共働き」と「夫婦」という区分があります。「共働き」とは、ふるさと納税をする人が配偶者(特別)控除の適用を受けていない状態。一方、「夫婦」はふるさと納税を行う人の配偶者に収入がない状態です。
配偶者の給与所得が201万円以下の場合、配偶者(特別)控除が適用されます。つまり、配偶者の給与収入が201万円を超えている場合に「共働き」での申請が可能です。
扶養家族の場合は「夫婦」での申請となり、共働き夫婦よりも控除上限額が減少します。配偶者(特別)控除が適用されていると所得税や住民税の負担が軽減されているので、ふるさと納税で控除される金額も少ないからです。
配偶者(特別)控除はどちらか一方の収入が201万円以内であれば適用されるため、配偶者が働いていたとしても、パートタイムなどで収入が少ないときは「夫婦」として申し込みましょう。
夫婦それぞれで申し込む際の注意点や、確定申告の必要性などを確認しましょう。
ふるさと納税の控除限度額は、家族構成によって異なります。
たとえば、ふるさと納税をする人の年収が500万円で共働きの場合、ふるさと納税の控除限度額は6万1,000円です。仮に大学生と高校生の子どもがいると3万6,000円まで下がるため、家族構成によっては控除上限額は2万5,000円の差が生じます。
家族が多いほど控除上限額が下がってしまう理由は、扶養控除などが適用されており、もとから課税所得が少ないからです。課税所得が少なければ所得税や住民税も軽減されるため、ふるさと納税の限度額が減少します。
ふるさと納税は、個人の年収に対して発生している税金を控除できる制度であり、共働き夫婦の世帯収入を合算はできません。それぞれの収入で控除上限額を計算する必要があります。
控除限度額を実際に計算して出すのは手間がかかるため、シミュレーションサイトを活用しましょう。簡単に正確な数字が出せるため活用してみてください。
ふるさと納税では、返礼品を注文した人と納税者が一致していなければいけません。たとえば、妻が夫名義のクレジットカードを使用して申し込むことは禁止されています。
本人名義のクレジットカードを必ず使用するか、本人名義のものを持っていない場合はコンビニ支払いを選択して現金で支払うのも選択肢のひとつです。
共働き夫婦は個別でふるさと納税を申し込むため、確定申告やふるさと納税ワンストップ特例制度申請も各自で行う必要があります。
ふるさと納税は、確定申告をすると寄附金額に応じて所得税や住民税の控除が受けられる制度です。しかし、ワンストップ特例制度を活用すると、確定申告が不要で寄附金控除を受けられます。もとから確定申告が不要な人や、申し込んだ自治体が5か所以内であれば利用可能です。
個人事業主や年収が2,000万円以上ある人、医療費控除を受けたい場合など確定申告が必須の人は、ワンストップ特例制度は使えません。また、6か所以上の自治体に寄附をしたときも対象外のため確定申告書を提出して申告しましょう。
「寄附金税額控除に係る申告特例申請書」を寄附対象の自治体に提出することで申請でき、手続きは複雑ではありません。ただし、所得税の還付はできず住民税からの控除のみなので注意が必要です。
共働き夫婦の場合、別々に納税する自治体を指定でき、控除を受けたうえでさまざまな地域の返礼品をもらえます。お互いが好きなものを旅行のお土産感覚で送り合ったり、日常生活に必要な品を選ぶことも可能です。
また、結婚を機にどちらかの地元を離れた場合もその地域に寄附ができますし、二人の思い出の場所に寄附をするのもよいでしょう。
パートなどで働いていて給与所得が少ない場合もふるさと納税自体は可能ですが、メリットは少ないでしょう。特に、収入が103万円以下で扶養控除が適用されているときは、所得税は非課税で住民税もわずかな金額です。控除額はほとんどなく、自己負担の2,000円は発生するため、扶養をしている側の名義で申し込むのが無難といえます。
収入が103万円を超えているものの、収入が201万円以下という場合も扶養特別控除の対象のため、一般的には得になりにくい状況です。ただし、住民税は地域によって異なるため、返礼品の内容やシミュレーションサイトで計算をした結果をふまえて検討するとよいでしょう。
年金受給者でも、ふるさと納税は可能です。ただし、年齢と公的年金の受給額によっては損になってしまうかもしれません。
65歳未満の人は108万円、65歳以上の人は158万円を超える年金収入があると所得税が徴収されます。住民税は各自治体によって多少の差がありますが、65歳未満だと105万円、65歳以上の場合は155万円を超える年金収入で課税の対象です。(※正確な金額は各自治体にお問い合わせください。)
自己負担額2,000円と申告をする手間はかかりますが、課税がある場合は返礼品をもらいながら税額控除のメリットを得られます。年金受給者の夫婦がふるさと納税を検討する際は、年金の受給額を参考にしてください。
ちなみに、控除限度額の目安は65歳未満で年金収入が150万円の場合、独身で11,000円、配偶者控除がある場合で3,000円に下がります。
夫婦のどちらかが2人分の手続きをする場合は、本人の了承があれば代理で申し込み可能です。ただし、納税者と税金の控除を受ける人の名義は必ず同じにする必要があります。
ふるさと納税を申し込んだ人と、引き落とし口座の名義が同じであれば「寄附金受領証明書」は有効です。カードの名義が異なっていても控除されるケースもあるようですが、できる限りすべて同じ名義にしておくとよいでしょう。
3人以上の子どもがいる場合は、ふるさと納税サイトのシミュレーターを活用すると控除上限額の計算が可能です。ふるさと納税の控除限度額は、子どもの人数だけでなく年齢によっても変わります。
ふるさとチョイスなど、ふるさと納税サイトで控除上限額を調べられるので、一度確認しておきましょう。
以下の記事では、ふるさと納税の人気サイトを徹底調査しておすすめのサイトを紹介しています。返礼品数やポイント還元率も掲載しているため、複数を比較しながらふるさと納税サイトを選びたい人はぜひ参考にしてください。
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