美容皮膚科の看護師はつらい？仕事内容や向いてる人の特徴を紹介

美容皮膚科の看護師には、一般的に契約や販売のノルマがあります。美容医療は自由診療が基本であるため、一般の病院と違い診療報酬がもらえるわけではなく、企業のように利益を上げなくてはなりません。

顧客のためにならないサービスでもときには売り込まなければいけなかったり、顧客から怒られたりすることもあるため、疲弊する看護師は少なくありません。

個人にノルマがあるクリニックだけでなく、クリニック全体に売上目標を課すクリニックもあります。クリニック全体でノルマがある場合に自分の売上が悪いと、自分が周りの足を引っ張っているとプレッシャーを感じることがあるでしょう。

美容医療を行っているクリニックでは、接客やクレーム対応が大変といわれています。高額な費用を払う顧客がほとんどなので、ささいなことでもクレームが入りやすいといえるでしょう。

高い費用を払ったのに思ったような効果が出なかった、施術後の痛みや腫れがひどく施術に問題があったように思う、施設内が汚いなど、美容皮膚科にはあらゆるクレームが入ります。

一般の医療機関では相手は患者ですが、美容クリニックではお客様扱いが必要です。適当にあしらうことはできないため、一つひとつ真摯に向き合わなければならず疲弊する看護師も少なくありません。

スタッフが少人数のクリニックであれば、看護師も受付や患者の予約管理をするケースもあるのが特徴です。

受付では、会計や次回予約の対応がメインです。ほかにも、新サービスやキャンペーン情報の案内や、来院した顧客の施術室誘導、問診票の記入を促すなども受付の仕事範囲です。電話も受付にあることがほとんどなので、対応する必要があります。

美容皮膚科によっては、看護師がカウンセリングを行うこともあります。カウンセリングは主に初回の顧客に行うことが多いもので、施術前に患者の肌に関する悩みやどんな仕上がりにしたいかなどを確認する仕事です。

患者の要望をヒヤリングしたら、適切な治療メニューや効果、価格を説明して施術を受けるかどうか確認します。施術を受けてもらって売上につなげるために、このタイミングで営業をかけることが必要です。

大手の美容皮膚科であれば、カウンセリングは専任のカウンセラーが行うケースがほとんどです。専任のカウンセラーがいる場合でも、薬剤など専門的な説明には看護師が入る場合もあります。

看護師の最も重要な仕事内容が、顧客に対する施術です。施術内容に応じて医師と一緒に行うこともあれば、看護師が単独で対応する場合もあります。

脱毛やピーリング、ハイフなどは看護師が単独で行う施術の代表例です。ワキガ治療やシミ・しわ取りなどは、主に医師が行い看護師はサポートに入ります。

美容皮膚科の施術は看護師が行うものも多いですが、どのメニューも医師の指示のもと行うのが前提です。また、施術に伴い医薬品を顧客に渡す必要がある場合は、看護師が説明もとともに行います。

クリニックの清掃も、美容皮膚科で働く看護師の業務に含まれることがあります。美容皮膚科は医療機関のひとつなので、院内を清潔に保つことは非常に重要です。

主には、施術後の室内を清掃して滅菌したり、待合室やトイレを掃除したり、タオルや医療器具などを滅菌したりします。なかには、待合室やトイレなど医療行為を行わない場所の清掃は業者に依頼するところもあるでしょう。

クリニックによっては清掃時にアロマを焚いたり、花を生けたりすることでよりリラックスしやすい空間を整えることもあります。

美容皮膚科では、施術後のアフターケアも看護師の仕事範囲です。美容皮膚科の施術では、アフターケアもしっかり行わないとトラブルに発展する恐れがあります。

脱毛を例に出すと、施術後は皮膚に赤みが出たり施術箇所が熱を帯びたりしがちなので、お冷やしでクールダウンしたり薬を塗ったりすることが必要です。脱毛のように、施術後によく起きることがわかっている症状であれば、看護師がその場で対処するケースが多いでしょう。

万が一施術後に予期せぬ大量不良が起きたり、急を要する症状が現れたりした場合には、看護師から医師につないで必要な対処を行います。

美容皮膚科の診療時間は日中のみが多いため、看護師にも夜勤がない場合がほとんどです。多くのクリニックは予約制で診療を行っていることから、イレギュラーな受診が発生しにくく残業も少ない環境といえます。

夜勤が頻繁にある看護師と比べて規則的な生活が送れるため、プライベートの予定が立てやすいほか、体調管理もしやすいでしょう。

ただし、どこのクリニックでも夜勤がないわけではありません。大きな治療をするクリニックや入院施設を設けているクリニックは、夜勤が発生する可能性があります。

美容皮膚科の看護師は、一般病棟の看護師と比べて給与水準が高い傾向にあります。取り扱い商品の販売数や患者からの指名数、施術契約数などの目標を達成することで、基本給にくわえて報奨金が受け取れるインセンティブ制度が導入されているためです。

接客スキルや高品質な施術によって患者から信用されている看護師は、目標達成率が高く多額のインセンティブを受け取る人もいます。少なくとも数万円、多いクリニックでは10万円以上もらえるため、自分の頑張りが給料に反映されやすい仕事といえるでしょう。

美容皮膚科で働く看護師は社員割引きが利用できるため、施術を安く受けられます。

通常は自由診療で高額な支払いが必要なレーザー治療や医療脱毛、美容点滴などの施術を安く受けることができるため、メリットは大きいといえるでしょう。

新しい医療機器が導入されるときには、看護師としてのスキルアップを兼ね、練習台として安価もしくは無料で受けられることもあります。

美容皮膚科で働くことで、高い接客スキルを習得できるのも魅力の1つです。美容皮膚科では患者をお客様として扱う必要があるため、一般病棟では得られない接客スキルが磨けます。

美容皮膚科では、最新の美容知識や技術を身につけられます。看護師として働くうえで新しい技術や知識は常に追わなければいけないため、自然と習得が可能です。

一般の人が知らない新しい施術や技術が知れたり、勉強に伴って新技術をいち早く体験できたりもします。美意識が高い人や、美容に関心が高い人にとっては、非常に適した環境といえるでしょう。

美容皮膚科の看護師になることで、一般的な看護スキルが下がってしまう可能性があります。美容皮膚科で行う施術において、一般病棟で使うような医療知識や看護スキルはあまり活かせません。

一般病棟では、点滴や注射、採血など美容皮膚科でも行う内容以外に、清拭入浴介助・服薬管理・バイタルサイン測定・緊急入院対応・ドレーン管理など専門的な業務がたくさんあります。美容皮膚科に病気の人は基本的に来ないので、必要のないスキルがほとんどです。

一般的な看護スキルが下がるだけでなく、美容皮膚科としての勤続年数は臨床経験とみなされないこともあります。臨床経験とは、医療現場での実務経験です。今後転職する際に、転職先が医療施設である場合には臨床経験が一定年数必要なケースがほとんどでしょう。

将来的に一般病棟での勤務を考えている看護師は、美容クリニックへの転職を慎重に考えることが重要です。

美容皮膚科では、土日祝日に休みが取りづらい傾向があります。美容皮膚科にとっての土日祝日は顧客が多く来院するタイミングなので、開業していることがほとんどです。

お盆やゴールデンウィークなどの大型連休も予約が増えるため、休みをとらないクリニックであれば出勤を求められるでしょう。代わりに平日に固定で休診日を設けているクリニックが多く、休診日は全員休めます。

なかには土日が休診日だったり大型連休は営業しなかったりする美容皮膚科もあるため、土日祝に休みを希望する看護師は看護師向けの転職サイトでじっくり探してみましょう。

普段から美容に強い関心がある人は、美容皮膚科の看護師に向いているでしょう。美容皮膚科の看護師は、より専門性の高い知識が得られるほか、従業員価格で施術が安く受けられる可能性が高いため、メリットを感じやすいといえます。

美意識の高い顧客のカウンセリングを行う美容看護師は、看護師自身の見た目も美しくしておくことが重要です。また、美容に関心が高く情報収集を積極的に行っていれば、顧客の要望や質問に対して的確に話を進められます。

美容皮膚科の看護師は、精神的な負担を軽減したい人にも向いているでしょう。一般的なケガや病気を治療する病院・クリニックでは、命を預かっている精神的なプレッシャーが常につきまといます。

美容皮膚科の看護師は、ワークライフバランスを大切にしたい人にも向いています。入院施設がある病院では、日勤や夜勤があり生活がどうしても不規則になりがちです。

美容皮膚科では基本的に夜勤がなく残業も少ないため、一般病棟勤務よりも生活スタイルを整えやすいでしょう。プライベートの予定が組みやすかったり、家族との時間を確保しやすかったりします。