楽にまたげて漕ぎやすいと謳う電動三輪自転車、ブリヂストン ラクットワゴン。「足が上がりにくくてもスムーズに乗れる」「坂道もスイスイ進めた」と評判です。しかし、「ブレーキが扱いにくい」との口コミもあり、購入を迷っている人も多いのではないでしょうか?
今回はその実力を確かめるため、以下の6つの観点で検証・レビューを行いました。
さらに、人気のヤマハやパナソニックなどの電動三輪自転車とも比較。検証したからこそわかった、本当のメリット・デメリットを詳しく解説していきます。ポイントや送料を考慮した価格比較も行いましたので、電動三輪自転車選びに迷っている人はぜひ参考にしてみてください。
自転車安全整備士・自転車技師の資格保持者。大手自転車店の販売員としてママチャリから子供車、スポーツ車にいたるまで幅広い車種の販売だけでなく、整備士として組立・修理を行っていた。さらに、CX・XCO全日本選手権のピットスタッフとしての経験を持ち、選手としても幅広く活動。ロードバイク・シクロクロス・マウンテンバイク・トライアスロンなど経験種目は多岐にわたる。現在はmybestにて、自転車に関わるジャンルのコンテンツを担当し、ユーザーに正確な情報を届けることを心がけている。
すべての検証は
マイベストが行っています
目次
良い
気になる
ブリヂストンのラクットワゴンは、膝への負担が少ない電動三輪自転車に乗りたい人におすすめ。楽にまたげて漕ぎやすいとのコンセプトどおり、比較したほかの商品よりも低床設計です。フレームが階段一段くらいの高さなので、足を高く上げなくてもまたがれます。ペダルについたクランクが短めのため、膝を曲げる角度が浅くても楽に漕げますよ。
走行時の安定感もなかなか。車体が左右に傾くスイング角がやや大きく、カーブ時もフラつきにくく感じました。スイングする部分が地面から見てやや高い位置に設定されているぶん、重心のブレも少なめ。ゆっくり走っても安定感があるので、高齢者も乗りやすいでしょう。
加えて、手元に鍵があったりモーターが減速を助ける回生ブレーキがついていたりと、腰や握力に不安があっても乗りやすい機能が豊富。「ブレーキが扱いにくい」という口コミに反し、安全に止まりやすい構造といえます。回生ブレーキの作動時に自動充電され、節電できるのもポイントです。
なお、比較したなかでは後輪駆動式の商品のほうがパワーがあり、坂道を登りやすい傾向が。本商品は前輪駆動式のためアシスト力が高いとはいいきれません。「坂道もスイスイ進めた」との口コミがあるものの、傾斜の度合いによっては登りにくく感じそうです。
アシストのパワーは弱・強の2種類のみで、調整の幅が狭いのも気がかり。とはいえ、「足が上がりにくくてもスムーズに乗れる」という口コミに違わないまたぎやすさは魅力です。シニア世代へのいたわりが詰まったこちらの商品を、ぜひ検討してみてはいかがでしょうか。
電動三輪自転車は、重い荷物を運びやすいのがメリット。2つ並んだ後輪の間にカゴを取りつけるので、重心が低く安定感が得られます。シニア世代が乗りやすいよう工夫された商品もありますよ。
ご紹介するブリヂストン ラクットワゴンは、自転車を漕ぐ足の楽さを考えたラクットシリーズの三輪タイプ。乗車可能身長は128cmからです。シフトは3段階で、1充電あたりの走行距離の目安は弱モードで100km・強モードは59kmで設計されています。
今回はブリヂストン ラクットワゴンを含む電動三輪自転車全5商品を実際に用意して、比較検証レビューを行いました。
具体的な検証内容は以下のとおりです。
交通公園で実際に走ってみた結果、ブリヂストン ラクットワゴンにはたくさんのメリットがあるとわかりました。購入を考えている人は、ぜひ最後までチェックしてみてくださいね。
謳い文句に違わず、またぎやすさと漕ぎやすさは比較したなかでトップレベル。フレームのまたぎ部分の高さは23cmで、一般的な階段と同じくらいの高さです。これなら、足を高く上げなくてもまたげるでしょう。
クランク(ペダルがついている棒の長さ)長は127mmで、膝を深く曲げずに漕げる構造。比較した商品を見比べた結果、またぎ高さが25cm以下・クランク長130mm以下のものが膝への負担が少ない傾向があり、本商品はどちらの基準もクリアしています。
足が弱ってきたと感じている人に、うってつけの1台ですよ。
カーブを曲がるときは車体を傾ける必要があるため、電動三輪自転車にはスイング機能がついています。比較ではスイング角16度以下のものはバランスを崩しやすかったのに対し、 本商品はスイング角22.5度と十分。カーブでもフラつきにくく感じました。
加えて、スイング軸(車体が傾く中心軸の地上高)が27cmと高めなのもポイント。スイング軸が24cm以下のものより重心がぶれにくいので、ゆっくり走っても違和感がありません。前輪が20インチと大きく走破性が高いのもメリットでしょう。
電動三輪車にはスタンドがないぶん、パーキングブレーキがあると傾斜に駐輪した際に自転車が動くのを防げます。手元に鍵があり、腰をかがめずに操作できるのもうれしいですね。
フラップつきのフェンダーには後輪に足が巻き込まれにくいというメリットがあります。ラクットワゴンは安全性への配慮も十分といえるでしょう。
なお、左ブレーキを握ったときや空走時は回生ブレーキが作動。モーターの力で減速をサポートするので、比較したほかの商品よりも止まりやすく感じました。
とくに、下り坂を走行するときに重宝します。ブレーキ操作に自信がない人も扱いやすいでしょう。
車体が重いほどブレーキの利きが悪くなるので、回生ブレーキ機能は荷物の多い人に特におすすめ。回生ブレーキで減速する感覚が苦手な人は、機能をオフにするとよいでしょう。
アシストモードやライトを操作するパネルは、高齢者が使いやすいようシンプルに設計されています。文字が大きい点にも思いやりを感じられますね。
カゴの収納力にも妥協していません。たっぷり入るカゴが2つついているので、買い物の量が多い人は重宝するでしょう。
<カゴの大きさ>
シニア世代が乗りやすく安定性も期待できるラクットワゴンですが、少しだけ気になる点もありました。1つひとつ紹介するので、ほかの商品との検討材料にしてくださいね。
電動三輪自転車には前輪駆動・後輪駆動の2タイプがあり、ラクットワゴンは前輪駆動タイプです。
前輪駆動は後輪駆動に比べ、坂道でのアシスト力が低い傾向が。「坂道もスイスイ進めた」という口コミもありますが、急な坂道ではパワー不足を感じる可能性があります。
前輪駆動は、坂道で前輪と地面の摩擦力が小さくなることで前輪が空転しそうになると、スリップ制御機能が働きモーターのパワーが落ちます。
モーターのパワーが落ちるので坂道は登りづらくなりますが、スリップによる転倒は避けられるというメリットもありますよ。
アシスト力は弱・強の2段階のみ。しかし、実際に乗ってみたモニターには弱では物足りなく感じる人がいる一方、強だと「走り出しが速すぎる」という声も目立ちました。アシスト設定の自然さに満足した人は11人中わずか5人にとどまっています。
なお、比較したなかでアシスト力が自然だと人気だったのは、パナソニックのビビライフ。いきなりスピードが出ないか心配な人は、あわせて検討してはいかがでしょう。
<アシストの自然さのモニターコメント>
コメントは一部抜粋
スイング軸27cmで平坦な道はスムーズに走行できたものの、舗装されていない道や荒れた路面ではフラつきやすい傾向が。実際に走ったときに、段差や傾斜ではハンドルが取られやすく感じました。凹凸の多い道は不得意といえるでしょう。
検証の結果、スイング軸24cmのものは低速のカーブではフラつきやすい一方、段差や傾斜では重心が安定していました。車種によって得意な路面が異なるので、普段走る場所に合わせて選ぶのがおすすめです。
またぎの高さ | |
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バッテリー容量 | 9.9Ah |
クランク長 | 127mm |
1回の充電あたり走行距離 | 弱モード:100km/強モード:59km |
モーター | フロントハブモーター |
スイング角 | 22.5度 |
良い
気になる
全長 | 162cm |
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全幅 | 58cm |
サドル最低地上高 | 670mm |
ギア段数 | 3段 |
シート角 | |
リアバスケットの幅 | 370mm |
リアバスケットの奥行 | 440mm |
リアバスケットの高さ | 251mm |
自動点灯ライト付き |
電動三輪自転車は各メーカーによって特性が異なり、ラクットワゴンのデメリットをカバーできる商品もありました。ここでは、違った魅力を持つ2商品をご紹介します。
ヤマハのPASワゴンは、強力なアシスト力を誇る後輪駆動式。坂道も楽に登れるほど力強く進むので、自宅の周りに傾斜が多いという人におすすめです。
スイング角が大きいことで、カーブをスムーズに曲がれるのも利点。全ての車輪にブレーキがついているので、握力が弱い人でも停止しやすいでしょう。
ただし、フレームの高さ・クランクの長さには特別な魅力を感じませんでした。足を上げることが辛い人にとっては、またぎにくさや漕ぎにくさ感じるかもしれません。
パナソニックのビビライフは、凸凹道を走るのにぴったり。ブリヂストンやヤマハよりもスイング軸が低めに設計されており、荒れた路面や段差で重心がブレにくく感じました。パワフルな後輪駆動式のため、坂道もスムーズに登れますよ。
ただし、ヤマハのPASワゴンと同様、高齢者が漕ぎやすいかという観点ではもう一歩。フレームは一般的な自転車と同じくらいの高さなので、とくにシニア世代が乗りやすいとは感じませんでした。
ブリヂストン ラクットワゴンには以下の4色が展開されています。カゴ用カバー・自転車用カバーもあるので、あわせて購入しておくと便利でしょう。
<カラー展開>
まずは試乗してみたいという人は、公式サイトから試乗店を検索してみてくださいね。
ラクットワゴンの購入を迷っている人は、レンタルサービスを利用するのもよいでしょう。執筆当時、一部の電動自転車レンタルサービスではラクットワゴンも貸し出していました。
本当に乗れるのか・必要なのか見極めたい人は、あわせて検討するとよいでしょう。
スイング機能のロックもできますが、カーブを曲がったり傾斜や段差でまっすぐ走ったりするのに欠かせない機能です。スイングロックは乗れるようになるまでの練習時のみ使い、公道ではロックを解除しましょう。
なお、電動三輪自転車とは普通の自転車とは感覚が大きく異なります。自転車に乗り慣れていても、乗りこなすには安全な場所での練習が必要と認識しておきましょう。
ぜひ以下のおすすめ商品も検討してみてくださいね。
またぎの高さ | 33cm |
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バッテリー容量 | 15.4Ah |
クランク長 | 165mm |
1回の充電あたり走行距離 | 強モード:20~60km/弱モード:25~77km |
モーター | センターモーター |
スイング角 | 22.5度 |
良い
気になる
全長 | 166.5cm |
---|---|
全幅 | 58.0cm |
サドル最低地上高 | 710mm |
ギア段数 | 3段 |
シート角 | 70.5度 |
リアバスケットの幅 | 336mm |
リアバスケットの奥行 | 486mm |
リアバスケットの高さ | 296mm |
自動点灯ライト付き |
ヤマハ PASワゴンをレビュー!クチコミ・評判をもとに徹底検証
またぎの高さ | |
---|---|
バッテリー容量 | 16.0Ah |
クランク長 | 152mm |
1回の充電あたり走行距離 | パワー:約56km/オートマチック:約67km/ロング:約99km |
モーター | センターモーター |
スイング角 | 24.5度 |
良い
気になる
全長 | 162cm |
---|---|
全幅 | ハンドル部:59cm/荷台部:58cm |
サドル最低地上高 | 685mm |
ギア段数 | 3段 |
シート角 | |
リアバスケットの幅 | 400mm |
リアバスケットの奥行 | 460mm |
リアバスケットの高さ | 250mm |
自動点灯ライト付き |
パナソニック ビビライフをレビュー!クチコミ・評判をもとに徹底検証
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