
搭乗者傷害保険とは?人身傷害保険との違いや保険料への影響を解説
運転者や同乗者が自動車事故でケガをしたり死亡したりした場合に、保険金が支払われる搭乗者傷害保険。似たような補償に人身傷害保険があるので、「搭乗者傷害保険って人身傷害保険と何が違うの?」「両方つけないといけないの?」と、見積もり画面で手が止まる人も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、搭乗者傷害保険の特徴や、搭乗者傷害保険と人身傷害保険の違いを解説します。保険金の支払い方式や等級への影響、必要かどうかの判断基準まで紹介するので、自分に合う組み合わせを決めたい人はぜひチェックしてくださいね。

生命保険会社在籍中にTLC(生命保険協会認定FP)を獲得。その後CFPの認定を受ける。また、損害保険会社在籍期間には、損害保険プランナー資格を取得。 2011年からは「人々に複雑な保険の仕組みをわかりやすく説明する」ことをモットーに、独立系FPとして活動。個人/法人からの相談業務や北海道のテレビ番組のコメンテーター、Webライティング、セミナーなど活躍の場は多岐に渡っており、日本FP協会道央支部の幹事も務めている。

大学卒業後に銀行員として勤務、法人顧客の経営支援・融資商品の提案や、個人向け資産運用相談を担当。 2020年にマイベストに入社、自身の銀行員時代の経験を活かし、カードローン・クレジットカード・生命保険・損害保険・株式投資などの金融サービスやキャッシュレス決済を専門に解説コンテンツの制作を統括する。 また、Yahoo!ファイナンスで借入や投資への疑問や基礎知識に関する連載も担当している。
本コンテンツは情報提供を目的としたものであり、特定の保険商品についての勧誘や契約の推奨を目的としたものではありません。弊社が内容について正確性を含め一切を保証するものではないため、個別商品については各保険会社にお問い合わせください。
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搭乗者傷害保険とは?補償の仕組みと対象者を解説

搭乗者傷害保険とは、保険対象の車に乗っている運転者や同乗者が、自動車事故でケガをしたり死亡したりした場合に、あらかじめ定められた金額の保険金が支払われる補償。事故の相手方の有無や自分の過失割合にかかわらず、定められた金額がそのまま支払われます。運転者だけではなく、同乗している家族や友人も補償対象です。ただし、被保険者の故意や重大な過失、無免許運転、酒気帯び運転などによるケガは支払いの対象外となります。
搭乗者傷害保険は、定額払いという基本的な仕組みが各社で共通している補償です。そのため、搭乗者傷害保険単体で保険会社を選ぶよりも、人身傷害保険の補償額や保険料全体のバランスを見て判断するほうが合理的でしょう。
搭乗者傷害保険と人身傷害保険の違いとは?

搭乗者傷害保険と内容が似ている補償として、人身傷害保険があります。どちらも事故の際のケガや死亡に対して保険金が支払われる点は共通していますが、最大の違いは保険金額の決まり方です。搭乗者傷害保険は、あらかじめ決めておいた金額がそのまま支払われる定額払い。一方の人身傷害保険は実際にかかった治療費や休業損害などの損害額に応じて支払われる実損払いという点に違いがあります。
この違いは、治療が長引いたときにはっきり出ます。損害額が大きくなれば人身傷害保険の支払額も増えますが、搭乗者傷害保険は定額分までしか受け取れません。その代わり、損害額を算定する工程がないぶん、搭乗者傷害保険のほうが早く受け取りやすい設計といえるでしょう。
また、補償の適用範囲にも違いが。搭乗者傷害保険は契約車両に乗っているときの事故のみが対象ですが、人身傷害保険は契約内容によっては歩行中やほかの車に乗車中の事故もカバーされます。人身傷害保険に関する詳しい内容は以下のコンテンツも参考にしてください。
搭乗者傷害保険の保険金の支払い方式とは?

搭乗者傷害保険の保険金は、ケガの部位や症状に応じて金額が決まる部位・症状別払いと、入院・通院した日数に応じて決まる日数払いの大きく2つに分かれます。どちらもあらかじめ決められた基準にあてはめて算出する定額払いですが、基準がケガの部位・症状か治療日数かという点が異なる仕組み。どちらの方式になるかは、保険会社や契約するプランによって分かれます。
2つの方式は受け取れるタイミングも違います。部位・症状別払いは治療中でも受け取れるのに対し、日数払いは日数が確定してからの支払い。ただし日数払いの限度日数は180日で、数え方や入院・通院の区分は契約内容によって異なることもあります(参照:日本損害保険協会「損害保険Q&A」)。
搭乗者傷害保険に加入するメリット
搭乗者傷害保険のメリットは大きく3つ。実損額の確定を待たずに受け取れること、過失割合に左右されないこと、そして保険金を受け取っても等級に影響しないことです。
実損額が確定する前でも保険金を受け取れる

搭乗者傷害保険は定額払いであるため、実際の損害額を算定する作業を待たずに、あらかじめ定めた金額を受け取れます。人身傷害保険のように損害額を計算する工程がないぶん、支払いまでの期間が短くなりやすい補償です。
とくに部位・症状別払いを採用しているプランなら、ケガの部位と症状で金額が決まるため治療の途中でも受け取れます。事故直後は治療費や通院の交通費など出費が重なりやすいため、早い段階で受け取れるメリットは大きいでしょう。
過失割合に関係なく保険金を請求できる

搭乗者傷害保険は、相手方からの損害賠償や自分の過失割合に左右されない独立した補償。自分の過失が大きい事故でも、相手のいない単独事故でも、あらかじめ定めた基準どおりに保険金が支払われる仕組みです。過失割合の話し合いが長引いても、受け取れる金額や時期が変わりにくい点は搭乗者傷害保険の強みでしょう。
また、相手方の対人賠償責任保険から保険金が支払われる場合でも、搭乗者傷害保険の保険金は支払われます。人身傷害保険や無保険車傷害保険、自損事故保険で対象になる事故でも、それぞれの保険金とは別に受け取れる決まりです。
保険金を受け取っても等級は下がらない

搭乗者傷害保険だけを使って保険金を受け取っても、翌年度の等級は下がらず、保険料もあがりません。搭乗者傷害保険の利用はノーカウント事故として扱われ、等級に影響する事故件数に数えられないためです。
ただし、ノーカウント事故の取り扱いは保険会社によって異なる場合があるため、契約先の約款や公式サイトで確認しておくと確実です。対物賠償や車両保険などほかの補償もあわせて使った場合は、等級が下がることもあります。等級に関する仕組みを詳しく知りたい人は、以下のコンテンツもチェックしてみてください。
搭乗者傷害保険に加入する際の注意点・デメリット
搭乗者傷害保険の注意点は2つあります。定額払いゆえに受け取れる金額に上限があること、そして人身傷害保険と重ねると保険料の負担が増えることです。
損害額が保険金を上回っても定額分しか受け取れない

実際の損害額が搭乗者傷害保険の金額を上回っても、搭乗者傷害保険で受け取れる金額は定額ぶんのみ。治療費がどれだけかさんでも、定められた基準を超えて支払われることはありません。
搭乗者傷害保険だけで備えようとすると、治療が長引いたときに自己負担が生じかねません。不足分を埋める役割の補償として、人身傷害保険を活用しましょう。
人身傷害保険も契約すると保険料が割高になる

人身傷害保険にくわえて搭乗者傷害保険も契約すると、補償が手厚くなる代わりに保険料の総額はあがります。補償を1つ増やすぶん、保険会社が引き受けるリスクも増えるためです。
上乗せされる金額は保険会社や設定する保険金額によって異なりますが、年間で数千円程度の上乗せになるのが一般的です。見積もりの際に搭乗者傷害保険のあり・なし両方の条件で金額を出すと、差額がわかるので判断しやすくなるでしょう。なお、同乗者を乗せる機会が少ない人や、人身傷害保険の補償額を十分に設定している人は、搭乗者傷害保険を外すのも選択肢です。
搭乗者傷害保険は必要?人身傷害保険との使い分け方を解説

人身傷害保険だけでも、損害額を補償するという基本的な備えは成り立ちますが、搭乗者傷害保険の持ち味は、受け取りまでの早さと同乗者への上乗せという2点です。
人身傷害保険で全額を受け取るには損害額の確定が必要であるため、治療が長引くほど算定にも時間がかかります。搭乗者傷害保険を契約しておけば、その間の出費を定額分でまかなえる点が強み。事故直後にまとまった資金を用意しにくい人ほど、この重要性を感じやすいでしょう。
一方、貯蓄に余裕があり当面の出費を自分でまかなえる人や、人身傷害保険の補償額をすでに手厚く設定している人にとっては、優先度の高い補償ではありません。同乗者を乗せる機会が少ないなら、なおさら搭乗者傷害保険を契約しないという判断もありえるでしょう。
判断がつかないときは、搭乗者傷害保険のあり・なし両方で見積もりを取り、差額を確認してください。金額を見たうえで、そのぶん保険料をかける必要があるかで判断するのがおすすめです。
補償の優先順位は「他人に払うお金」と「自分が負担するお金」で分けて考えるのがおすすめです。対人・対物賠償は他人への賠償なので無制限が基本。自分への補償ではあるものの、損害額が高額になる可能性がある人身傷害保険もできれば無制限にしたいところです。一方、搭乗者傷害保険は人身傷害保険への上乗せという位置づけなので、まずは人身傷害保険の補償額を十分に確保したうえで、保険料に余裕があれば追加を検討するとよいでしょう。
搭乗者傷害保険に関するよくある質問
搭乗者傷害保険を検討するときに迷いやすい、補償の対象範囲や請求のタイミングに関する疑問をまとめて取りあげました。
同乗している家族や友人もケガをしたら補償される?

補償の対象になります。搭乗者傷害保険でいう搭乗者は契約車両に乗っている人全員を指し、続柄によって除外されることはありません。友人や知人など血縁のない同乗者も同じ扱いです。
ただし、乗り方によっては対象外になる場合があります。補償を受けるには座席など正規の乗車装置か、その装置のある室内に乗っていることが必要。窓から体を出しているような極端に危険な乗り方をしていた場合は、対象から外れるので注意が必要です。
なお、1名あたりの保険金額は契約プランによって異なるため、いくらに設定されているかは契約時の内容や保険証券で確認しましょう。
搭乗者傷害保険と人身傷害保険で、重複して保険金を受け取れる?

受け取れます。搭乗者傷害保険は、ほかの補償や賠償の支払い状況を差し引いて金額を調整する仕組みではないため、人身傷害保険や相手方からの賠償とは別に、あらかじめ定めた定額分を請求できる補償です。
実際の請求の進め方は保険会社ごとに異なるため、事故の連絡をした時点で、どの補償を使えるかを保険会社に確認しておきましょう。
保険金を請求できる期限はある?

保険金請求権の時効は3年です。一方、請求できるタイミングは早い段階から開かれており、保険会社によっては治療が終了していなくても請求可能。部位・症状別払いならケガの部位と症状で金額が決まるため、途中でも受け取れるからです。
なお、日数払いを採用しているプランでは、支払いの対象になる日数は180日という上限があり、それを超えた入院・通院ぶんは対象外です。また、保険会社によっては、通院は90日といった上限を設けている場合があります。
まとめ:搭乗者傷害保険をふまえた自動車保険の選び方

搭乗者傷害保険と人身傷害保険は仕組みが異なります。実損額の確定を待たずに定額を受け取れ、使っても等級に響かない点が搭乗者傷害保険の特徴。ただし契約すれば保険料はあがるため、自分の状況に合わせてつけるかどうかを決める補償だといえます。
設定できる保険金額や採用している支払い方式は、保険会社によって差があるもの。見積もりを取るときは保険料の総額だけでなく、搭乗者傷害保険にいくら設定できるのか、部位・症状別払いと日数払いのどちらなのかまで見ておくと、比較の精度があがります。
とはいえ、各社の補償内容を一社ずつ調べる作業はなかなかの手間です。マイベストでは人気のダイレクト型自動車保険を集めて比較・検証し、その結果をランキング形式で紹介しています。専門家の監修による選び方も掲載しているので、以下のコンテンツもチェックしてみてください。
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