投資初心者から上級者まで幅広い層に人気のインデックスファンド。運用コストの安さや運用の手軽さも支持を集めているポイントです。しかし、配当金なしで儲かる方法や利回りなどがわからず、疑問を持っている人も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、インデックスファンドの仕組みや種類、始め方やメリット・デメリットをわかりやすく解説します。インデックスファンドへの投資を始めようか迷っている人はぜひ参考にしてください。
大学卒業後に銀行員として勤務、法人顧客の経営支援・融資商品の提案や、個人向け資産運用相談を担当。 2020年にマイベストに入社、自身の銀行員時代の経験を活かし、カードローン・クレジットカード・生命保険・損害保険・株式投資などの金融サービスやキャッシュレス決済を専門に解説コンテンツの制作を統括する。 また、Yahoo!ファイナンスで借入や投資への疑問や基礎知識に関する連載も担当している。
インデックスファンドおすすめTOP5
インデックスファンドとは平均株価などの指標に連動するように運用される投資信託の総称です。インデックスは「指標」を、ファンドは「投資信託」を指しています。インデックスファンドへの投資は「インデックス投資」と呼ばれるのが一般的です。
たとえば代表的なインデックスである日経平均株価は、東証一部上場している225銘柄から構成されています。日経平均株価に連動するインデックスファンドに投資すれば、この225銘柄を少額で買い集めるのと同じ効果を得られます。
このほかにも、東証一部上場の全銘柄で構成されているTOPIXや、アメリカの代表的な企業500社の銘柄で構成されているS&P500指数など、さまざまなインデックスがあるので覚えておきましょう。
株式投資では配当金が自分の利益の一部ですが、インデックスファンドには配当金がありません。ここではインデックスファンドに配当金がないのに儲かる仕組みを解説します。
配当金とは、企業が得た利益の一部を、受け取る権利がある人たちに分配するお金のことです。
配当金を受け取る権利は、設定されている期日にその企業の株式を一定数以上保有していることが条件となっている場合がほとんど。また、配当金の原資はその企業の利益のため、企業に利益が出ていなければ配当金もありません。
インデックスファンドが配当金なしでも儲かるのは、最終的に保有しているファンドを売却したときの値上がり益が収入源だからです。
つまり、インデックス投資は保有しているだけで利益が出る投資商品ではなく、保有している銘柄が値上がりしたときに売却した差額で儲かる仕組みの商品ということです。
配当金がないということは、分配するお金をそのまま運用資産に回し再投資できるため、最終的な運用元本が大きくなります。また運用中は税金がかかることもなく、発生した利益でさらに利益を生み出せるため、投資効率が良いとされていますよ。
投資信託にはインデックスファンドとアクティブファンドの2種類があり、運用目標・組入銘柄・コストの3点に違いがあります。
運用目標の違い
インデックスファンドの運用目標はインデックスとの連動ですが、アクティブファンドは積極的に運用してインデックスを上回る利益を出すことが運用目標です。
組入銘柄の違い
インデックスファンドは各指数に基づいた銘柄で構成されているのに対して、アクディブファンドはファンドマネージャー(投資のプロ)が銘柄を選定しています。
コストの違い
インデックスファンドは運用中の手間があまりかからないため低コストですが、アクティブファンドはファンドマネージャーが臨機応変に運用するぶん、運用コストが高くなる傾向があります。
インデックスファンドは低コストかつローリスク・ローリターン。アクティブファンドはコストをかけてハイリスク・ハイリターンを目指す点が大きく異なるといえるでしょう。
インデックスファンドへの投資には多くのメリットがありますが、ここでは代表的な5つのメリットをご紹介します。
インデックスファンドは運用コストが低いため、長期投資をすることで利益を積み重ねやすいのがメリットです。
インデックスファンドにかかるコストは購入手数料、信託財産留保額、信託報酬、監査報酬の4つ。
購入手数料
購入手数料とは、投資信託を購入する際に販売会社に直接支払う手数料で、購入するたびに発生する費用。
購入手数料は投資信託によって上限が設定されており、その範囲内であれば販売会社が自由に設定できます。このため、同じ投資信託でも販売会社によって手数料が異なる場合があります。
信託財産留保額
信託財産留保額とは、投資信託を途中解約する際に発生する手数料のことです。途中解約は保有する銘柄の売却を意味し、コストがかかります。この売却コストを自己負担するのが信託財産保留額です。
信託報酬
信託報酬とは、投資信託を運用するための費用に充てられる手数料で、運用管理費用とも呼ばれます。
投資信託は自分に代わって銘柄の選定や売買をしてくれる投資商品ですが、運用する側はさまざまなコストがかかります。銘柄の調査や売買の手続きにかかる人件費、管理システムにかかる維持費など。これらは継続的に発生する費用なので、信託報酬も毎月支払う必要があります。
監査報酬
監査報酬とは、運用会社と利害関係のない第三者が、ファンドが正しく運用されているかをチェックするための費用です。投資信託を購入した人には運用中の細かな動きは見えないため、監査によって公平性や透明性を担保しています。
インデックスファンドは運用の手間が少なく、ファンドマネージャーのコストも低いため、結果的に販売手数料や信託報酬も安くなります。
インデックスファンドは銘柄の選定や運用にほとんど手間をかけずに投資できるのがメリットです。
自分で個別銘柄に投資する場合、それぞれの銘柄を分析して購入する銘柄を選定したり、必要に応じて組み替える必要があります。しかし、インデックスファンドは銘柄の組み合わせが最初から決まっているため、そのような手間がかかりません。
インデックスに連動するよう自動的に運用されるため、細かくチャートを見ながら売買を繰り返す必要がないのも初心者にとっては取り組みやすいポイントといえるでしょう。
インデックスファンドは各指標と連動するため、投資初心者でも値動きがわかりやすいのもメリットです。
特に日経平均株価やTOPIXのインデックス投資をする場合は、わざわざチャートを見なくても日頃のニュースやテレビなどで目に入る機会が多くなります。
値動きがわかりやすいので状況を見て買い増しをするなど、臨機応変に対応することも可能です。
インデックスファンドは複数の銘柄に投資することになるため、自動的に分散投資になりリスクを減らせます。
たとえば日経平均株価のインデックスファンドの場合、ある企業の業績悪化が報じられたとしても、他の企業に問題がなければファンド全体への影響はさほど大きくありません。
また、複数のインデックスファンドに投資することでさらなる分散投資も可能。たとえば、日経平均株価とアメリカ企業銘柄のS&P500を組み合わせれば、日本国内の指数が下がってもアメリカの指数が上がれば損益を相殺できます。
インデックスファンドのなかには最低100円から取引できるものもあるため、資産が少ない人でも気軽に始められます。
インデックスファンドに組み込まれている銘柄を個別で買いたい場合、一般的な株式投資では最低でも数千円から数十万円の資金が必要。インデックスファンドであれば、初心者が投資するハードルも低くなるでしょう。まずは少額から投資を始めてみたい人にも、インデックスファンドはおすすめです。
インデックスファンドへの投資にはデメリットも存在します。ここでは代表的な4つのデメリットを解説します。
インデックスファンドは他の投資に比べると低リスクですが、元本割れするリスクもあるため注意しましょう。元本割れとは、運用結果が当初の購入代金を下回ることです。
近年の事例としてコロナショックのケースを見てみましょう。コロナ直前のピークは2020年2月12日で日経平均株価は23,861円でしたが、わずか1カ月後の2020年3月19日には16,553円まで下落しています。仮に直前の2月上旬に日経平均株価のインデックスファンドを10口買っていた場合、日経平均が7,000円下がると約7万円の元本割れになる計算です。
インデックスファンドは低リスクですが、元本が保証されているわけではないため注意しましょう。
インデックスファンドは複数の銘柄に分散投資していますが、市場全体が落ち込んでいるときはファンドも連動して利益が出にくくなるので注意しましょう。
元本割れを起こすと不安になりますが、目先の値動きに一喜一憂すると利益が出ないばかりか損失になってしまうことにもなりかねません。インデックスファンドはあくまで長期投資。長い目で見れば市場は緩やかに成長しているため、長期目線で待つことも大切です。
なお、構成銘柄のジャンルが異なる複数のインデックスファンドに投資することでリスクを減らすこともできます。たとえば先進国株インデックスファンドと債券のインデックスファンドの2つに分散投資するといった具合です。
インデックスファンドは長期投資による安定した利益を目的とした投資商品のため、短期間で大きなリターンを得ることはできません。
短期間で大きなリターンを狙いたい場合は、アクティブファンドやFX、仮想通貨など値動きが大きなもののほうが向いています。ただし、この場合はハイリスク・ハイリターンとなるため注意が必要です。
インデックスファンドはそもそも市場平均と連動した運用を目指すものなので、それ以上のリターンは望めません。
利益の期待値は年間数%程度であり、長期投資でコツコツと利益を積み重ねていく投資方法であることを理解して投資する必要があります。
インデックスファンドがおすすめな人の特徴は以下の4つです。
・投資をこれからはじめてみたい人
インデックスファンドは投資の基本となる商品選び(銘柄選定)、リスク対策の分散投資がすでにされており、運用中の手間もほとんどありません。知識や経験がない初心者でも利益が出やすい投資手法なので、これから投資をはじめてみたい人に向いています。
・長期的に運用して利益を増やしたい人
インデックスファンドは長期投資でコツコツ利益を積み重ねていく投資商品です。このため長期的に運用して着実に利益を得たい人にも向いています。
・銘柄の選定や運用の手間をかけたくない人
インデックスファンドは初めから銘柄選定がされており、運用やメンテナンスも自分でする必要がありません。普段忙しくて運用中の手間がかけられない人に適している商品です。
・少額からはじめてみたい人
インデックスファンドは最小100円から取引可能で、手数料も比較的安い投資商品。まずは少額から投資をはじめてみたい人やまとまった資金が用意できない人にも特におすすめです。
このようにさまざまな人のニーズに応えられるインデックスファンドですが、種類が多いうえにそれぞれコンセプトも異なるため、ファンド選びに迷う人も多いのではないでしょうか。
以下の記事では人気のインデックスファンドを比較してランキングにまとめているので、ファンド選びの参考にしてください。
インデックスファンドへの投資を始める手順は、以下の通りです。
①証券会社で証券口座を開設する
②証券口座に資金を入金する
③検索機能でインデックスファンドに絞り込み、投資信託を選ぶ
④積立設定をして完了
証券口座の開設はWeb上で完結できる場合が多く、早ければ翌営業日には口座開設が完了します。なお、手続きにはマイナンバー確認書類、免許証などの本人確認書類、印鑑、金融機関口座が必要です。
これからインデックスファンドを始めたい人は、手間が少ないネット証券がおすすめです。
ネット証券はネット上で操作や手続きが完結するため、時間の制約がなく移動の手間もかかりません。また、店舗を持たないぶん、人件費やテナント費用などのコストを抑えられるので、取引手数料が安く設定されています。
とはいえ、ネット証券は数が多いうえに特徴もさまざまなので、どの会社で口座を作るか迷いますよね。以下の記事ではネット証券各社のサービス内容を徹底比較しているので、証券会社選びの参考にしてください。
最後に、インデックスファンドに関するよくある質問に回答します。
ETF(イーティーエフ)とは、Exchange Traded Fundの略で、取引所に上場している上場投資信託のことです。
ETFとインデックスファンドは、どちらも指標の動きに連動した運用を目指すことが目的ですが、1日あたりの売買可能回数が異なります。
インデックスファンドは1日1回までなのに対して、ETFは回数制限がなく1日に何度でも売買が可能。このため、市場の動きに合わせてリアルタイムで売買できるメリットがあります。
米国の市場環境が良好なため、米国株式インデックスファンドは安定した人気があります。
米国株式インデックスファンドとは、100%米国の銘柄で構成された投資信託のこと。インデックスファンド全体の中でも信託報酬は安い傾向にあります。成長性の高い米国企業の銘柄をメインで投資したい人に向いているファンドです。
インデックスファンドは新NISA口座でも購入できます。
新NISAとは、少額の投資で得た利益に対して税金がかからなくなる制度のこと。インデックスファンドを運用するなら、無期限の非課税期間を活かして運用できるつみたて投資枠がおすすめ。つみたて投資枠の年間投資枠は、年間120万円までです。
インデックスファンドおすすめTOP5
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