全国どこでも利用できる金融機関として多くの人が利用するゆうちょ。身近な口座で積立貯金を始めたいと考えているものの、ほかの金融機関ではなくゆうちょを利用することにメリットはあるのか、疑問に思っている人も多いのではないでしょうか。
本記事では、ゆうちょで申し込める積立貯金の種類やメリットを詳しく解説します。解約の方法や金利についてもあわせて紹介するので、最後までチェックしてくださいね。
大学卒業後に銀行員として勤務、法人顧客の経営支援・融資商品の提案や、個人向け資産運用相談を担当。 2020年にマイベストに入社、自身の銀行員時代の経験を活かし、カードローン・クレジットカード・生命保険・損害保険・株式投資などの金融サービスやキャッシュレス決済を専門に解説コンテンツの制作を統括する。 また、Yahoo!ファイナンスで借入や投資への疑問や基礎知識に関する連載も担当している。
ゆうちょの積立貯金には、自動積立定期貯金と自動積立定額貯金の2種類があります。詳しい情報は公式サイトに記載されていますので、ぜひ参考にしてください。
自動積立定期貯金とは、通常貯金から自動的・定期的に積み立てをおこなう定期貯金です。定期貯金はあらかじめ期間を決めてお金を預け入れる貯金のことをいい、ほかの金融機関における定期預金と似た性質をもっています。
預入期間は3か月・6か月・1年・2年・3年・4年・5年の7種類。毎月一定額を積み立てる方法と、積立額の上限を決めておき、通常貯金の残高に応じて一定額の整数倍まで積み立てる方法があります。
1,000円以上から1,000円単位で積み立てることができ、積立期間や回数は最初の積立日から6年以内の範囲で指定可能です。また、積立日は一般月(毎月)と特別月(年6回以内)でそれぞれ別に指定することができ、月によって該当する積立日がない場合は、該当月の最終日に積み立てられます。
金利については、預入期間が3年未満のものは単利、3~5年のものは半年複利で計算される仕組みです。預入期間内に貯金を引き出す場合、通常よりも利率の低い預入期間内払戻金利が適用されるため注意しましょう。期間が満了すると、元金に利子を加えた払戻金が継続して積み立てられます。
以上がゆうちょで利用できる自動積立定期貯金の特徴です。定期預金全般の特徴やメリットを詳しく知りたい人は、以下のページも参考にしてください。
自動積立定額貯金とは、通常貯金から自動的・定期的に積み立てる定額貯金。定期貯金では満期を迎えると自動的に預け入れが継続されるのに対し、定額貯金では預入日から数えて6か月の据え置き期間が経過すると、自由にお金を引き出せます。また、定期貯金のように預入期間によって金利の計算方法が変わるのではなく、一律半年複利で計算されるのも特徴です。
1,000円以上から1,000円単位で積み立てることができ、毎月一定額を積み立てる方法と、積立額の上限をあらかじめ決定し、通常貯金の残高に応じて一定額の整数倍まで積み立てる方法があります。積立期間や回数は最初の積立日から6年以内で自由に指定可能。自動積立定期貯金と同じく、積立日は一般月(毎月)と特別月(年6回以内)でそれぞれ別に指定できるので、公共料金やクレジットカードなどの支払いに合わせて自由に設定しましょう。
半年ごとに利子が元本へつく半年複利方式をとっており、6か月の据え置き期間内に払い戻しを受ける場合、据置期間内払戻金利で計算が行われます。また、預入日から数えて10年が経過すると通常預金を目安とした金利が適用され、毎年4月1日に利子が元本へ加えられる仕組みです。
両者の特徴を比較すると、自動積立定期貯金より自動積立定額貯金のほうがメリットが大きいといえます。以下ではその理由を詳しく解説しますので、ぜひ選ぶ際の参考にしてください。
自動積立定額貯金では、6か月の据置期間が満了すると口数単位で払い戻しが可能です。口数とは株式や預金において、まとまったお金を数えるために使う単位のこと。引き出しの自由度が高いうえ、必要に合わせて細かく金額を指定できるのは嬉しいですよね。
また、据置期間内にお金を引き出す場合でも金利が下がりません。自動積立定期貯金でも預入期間内に払い戻しを受けることはできますが、通常貯金の利率を目安とした預入期間内払戻金利が適用されるため、約定利率よりも低くなってしまいます。
自動積立定額貯金では利子が半年複利で計算されるため、効率的にお金を貯めやすいメリットがあります。自動積立定期貯金でも3年以上預け入れれば半年複利が適用されますが、3年未満の場合は単利で計算されるので、より短い期間で利子を貯めたい人には向いていません。
単利は元本のみに対して利子が発生する仕組み。元本の額は変動しないため利子も毎回同じ金額が積み立てられます。それに対して、複利は元本と利子それぞれに利子がつくため、積み立て期間が長くなるほど多くの利子を受け取れる点が魅力です。
自動積立定期貯金と自動積立定額貯金の金利は積立期間によって違いがあります。積立期間と金利は定期貯金と定額貯金でそれぞれ異なり、例えば6か月以上1年未満では定期貯金の金利は0.225%、定額貯金の金利は0.210%です。さらに、定期貯金は3年以上で金利0.350%~0.400%、定額貯金は0.320%と差があります。
預ける年数が決まっている人や金利狙いの人は、金利が高い自動積立定期貯金が向いているでしょう。反対に、特にまとまったお金を使う予定が決まっていない人や引き出しの自由度を優先させたい人には、自動積立定額貯金をおすすめします。
以下では、ゆうちょで積立貯金を利用するメリットを紹介します。
ゆうちょの積立貯金を利用するメリットのひとつは、通常貯金よりも金利が高いこと。通常貯金の金利が0.200%であるのに対し、自動積立定期貯金は最低でも0.210%、自動積立定額貯金は0.225%です。
数字のみに着目すると大きな差はありませんが、通常貯金にお金を入れておくよりはお金が貯まります。長期的に資産運用をしたいと考えている人は、ぜひ積立貯金の利用を検討してみましょう。
ゆうちょなら定期貯金でも中途解約が可能です。ほかの金融機関では満期前の解約が認められないケースも多く、引き出しの自由度はあまり高くないといえるでしょう。
ゆうちょの自動積立定期貯金であれば、預入期間の満了前でも払い戻しを受けられます。ただし、預入期間内払戻金利が適用されるため利子は少なくなってしまう点に注意が必要です。
郵便局は全国どこでも営業しているため、ほかの金融機関より利用しやすい点も大きなメリットです。自宅や勤務地の付近だけではなく、外出先でもすぐにATMや窓口を利用できます。
また、金融機関のほとんどは午後3時に窓口の営業が終了するのに対し、郵便局では午後4時まで利用可能です。ただし、一部営業時間を短縮している郵便局もあるため、事前に「郵便窓口・金融窓口の営業時間の変更」を確認しておきましょう。
ゆうちょの積立貯金なら、1,000円という少額から着実に貯金ができます。手元にまとまったお金がなくても手軽に始められるので、将来へ向けて少しずつ資産形成したい人におすすめです。
また、通常貯金口座から毎月自動的に引き落とされるため、貯金の習慣がない人でも続けやすいといえます。ついお金を使ってしまいがちな人や、仕事が忙しくなかなか貯金まで手が回らない人も、ぜひ利用を検討してみてください。
ゆうちょの積立貯金には元本割れのリスクがありません。株式や債券などの金融商品を運用する場合、企業の経営状態や財政状況によっては資産の価値が急落してしまう可能性もあります。しかし、積立貯金なら預け入れた元本が保証されているため、相場の影響を受けることがなく安心です。
また、申し込みや積み立てに手数料は必要なく、預け入れたいお金をそのまま貯めることができます。万が一の事態に備え、資金をしっかり確保できるのは嬉しいですよね。
ゆうちょの積立貯金は預金保険制度の対象であるため、1,000万円までの貯金が保証されます。預金保険制度とは、何らかの事情により金融機関が預金などを払い戻せなくなった場合でも、利用者が預け入れた資金を保護する制度のこと。ゆうちょは預金保険法で定められた預金保険に加入しています。
定期貯金や定額貯金は「一般預金等」に区分され、元本1,000万円と利息が保護される仕組みです。複数の預金をもっている場合は、残高の合計が1,000万円以内であれば利息も含めて保護されます。さらに詳しく知りたい人は、金融庁の「預金保険制度」に関するページを参照してください。
以下では、ゆうちょの積立貯金について考えられるデメリットを紹介します。
ゆうちょの積立貯金は金利が低く、利子でお金を貯めたい人には不向きといえます。金融機関によっては普通預金の10倍近い利子がつく商品もある反面、ゆうちょではあまり大きな差がありません。
利子を利用して効率的に資産を増やしたい人よりも、少しずつ貯金したい人に適した商品だといえるでしょう。
自動積立定期貯金・自動積立定額貯金ともに引き出しの自由度が高いため、ついお金を使ってしまう可能性があります。スムーズに払い戻しを受けられるのは便利な反面、せっかく貯めたお金を目的以外の場所で使ってしまわないよう注意しなければいけません。
すぐに使えるお金があると誘惑に負けてしまいがちな人には向いていないといえるでしょう。ほかの金融機関では途中解約が原則として認められない商品もあるため、いくつかの商品を比較しながら選ぶことをおすすめします。
最後に、ゆうちょの積立貯金に関してよくある質問を紹介します。
2023年3月現在、ゆうちょの積立貯金に関するキャンペーンはありません。ただし、各郵便局ごとに独自のキャンペーンが開催される場合もあるため、店舗へ足を運んだり、公式サイトをチェックしたりしてこまめに情報取集しましょう。
ゆうちょ銀行全体で行われるキャンペーンの詳細は「キャンペーン、おすすめ商品・サービス」ページに記載されています。口座開設の予定がある人や、検討中の人はぜひ参考にしてください。
自動積立定期貯金の預入期間が経過すると、元本に利子を加えた払戻金が継続して預け入れられます。自動継続後は、定期貯金の店頭表示金利が適用される仕組みです。
自動積立定額貯金の場合、最初の預入日から数えて10年が経過したあとも、引き続き定額貯金して預け入れることができます。ただし、金利は通常貯金を目安とした利率が適用される点を念頭に置いておきましょう。
満期を迎えた定額・定期貯金に関して手続きが必要な場合、ゆうちょ銀行から送付される「定額・定期貯金に関する満期等のご案内」に記載されています。手続きを受ける際は、満期を迎えた定額定期貯金証書と届け印、「本人確認書類一覧」に記載されている証明書類を忘れずに持参してください。
自動積立定期貯金や自動積立定額貯金を満期前に解約したい場合、窓口で手続きが可能です。地域によっては営業時間が通常より短縮されている可能性もあるため、事前に公式サイトなどを確認しておきましょう。
解約手続きに必要なものは、通帳または貯金証書、口座の届け印、本人確認書類です。本人確認書類は最新ものであるかチェックし、住所や加入している保険に変更があった場合、内容を漏れなく記載しましょう。
ゆうちょは全国どこでも利用できるうえ、手軽に貯金を始めたい人に嬉しい魅力がたくさんあります。積立貯金を含め、ゆうちょ全般の特徴や口コミを詳しく知りたい人は、以下のリンクを参照してください。
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