
FXのロスカットとは?仕組みや計算方法を紹介
FX取引を始めるにあたり、リスク管理として知っておくべき「ロスカット」。「含み損が広がったときに強制決済される仕組みとはわかっていても、具体的な発動条件や損切りとの違いがよくわからない」「追証(追加証拠金)が発生したら借金になるの?」と不安に思っている人も多いでしょう。
そこで今回は、FXのロスカットの仕組みや計算方法、発動条件をわかりやすく解説します。ロスカットが間に合わないケースや具体的な予防策、よくある質問についても網羅して紹介するので、安全に取引を進めるためにぜひ参考にしてくださいね。

大学卒業後に銀行員として勤務、法人顧客の経営支援・融資商品の提案や、個人向け資産運用相談を担当。 2020年にマイベストに入社、自身の銀行員時代の経験を活かし、カードローン・クレジットカード・生命保険・損害保険・株式投資などの金融サービスやキャッシュレス決済を専門に解説コンテンツの制作を統括する。 また、Yahoo!ファイナンスで借入や投資への疑問や基礎知識に関する連載も担当している。

FXのロスカットとは?発動条件をわかりやすく解説

どのFX会社も、ロスカットは強い強制力があって制度を設けています。というのも、2009年の金商業等府令の改正を受け、2010年2月1日から、個人顧客とのFX取引を扱う業者にはロスカット・ルールの整備と遵守が義務づけられました。
自分の判断で決済する損切りとの違いは、タイミングを選べない点です。損切りは自分で決済の時期を判断するのに対し、ロスカットはFX会社が定めた水準を下回ると、システムによって決済されます。発動する維持率は会社ごとに異なるため、次の章で計算方法とあわせて見ていきましょう。
ロスカットの計算方法|証拠金維持率の出し方

証拠金維持率は、一般的に「有効証拠金÷必要証拠金×100」で求められます。有効証拠金は口座残高に含み損益を反映した実質的な残高、必要証拠金は保有中のポジションを維持するために必要な金額です。ただし、算入する金額や名称、詳しい計算式はFX会社によって異なります。
たとえば、有効証拠金20万円・必要証拠金10万円なら維持率は200%です。有効証拠金が5万円まで減れば、維持率は50%に下がります。必要証拠金はおおむね「現在のレート×取引数量×証拠金率」で決まり、国内の個人向けFXでは取引額の4%以上(レバレッジ25倍まで)の預託が義務づけられています。
発動水準は会社ごとの差があります。例えばGMO外貨では、維持率100%未満でアラートを通知し、50%未満になるとロスカットを執行します。DMM FXでは70%を下回るとアラートメールが送られ、50%以下で全ポジションが強制決済されるため、利用口座の水準を取引画面や計算ツールで確かめておきましょう。
以下のコンテンツでは、レバレッジの仕組みと規制上限をわかりやすく解説しています。必要証拠金の計算がぴんとこない人は、ぜひ参考にしてください。
ロスカットが間に合わないケースもある

相場が短時間で大きく動く場面では、証拠金維持率が基準を大きく下回ってから決済されることがあります。
FX会社が水準を検知して決済注文を処理するまでには一定の時間がかかり、注文が集中した場合や有効なレートが配信されていない場合には、約定が遅れる可能性があるためです。相場が短期間に大きく変動した場合、執行まで数秒から最長30分程度かかることもあります。
とくに注意したいのが週明けです。金曜の終値から大きく離れたレートで取引が始まると、そのレートを基準にロスカットが執行される場合があります。金融庁も、相場が急激に変動したときは証拠金の額を上回る損失が生じることがあると注意を促しています。
追証(追加証拠金)とは?請求される流れ

追証(追加証拠金)とは、FX会社が定めるタイミングで証拠金が不足した場合に、入金や建玉の決済によって不足額を補うよう求める仕組みです。国内の個人向けFXでは、1営業日に1回以上、取引額の4%以上の証拠金が預けられているかを確認します。追証を求めず、直ちに建玉を強制決済する会社もあります。
例えばSBI FXトレードでは、この判定を「証拠金規制」と呼んでいます。各営業日の取引終了時点で維持率が100%未満になると追証が発生し、発注中の新規注文は取り消されます。解消方法は、不足額の入金、保有ポジションの一部または全部の決済、両方の併用です。
解消期限もFX会社ごとに決められています。相場が戻って維持率が回復しても、それだけでは確定した追証を解消できません。通知が届いたら、取引画面で不足額と期限を確認してください。
追証を払えないと借金になることはある?

追証を解消できないまま建玉が強制決済され、それでも損失が預けた証拠金を超えていた場合、超過分は不足金としてFX会社へ支払う義務が発生します。口座の証拠金不足を補う追証と、決済後に残った不足金は分けて考える必要があります。
FXは証拠金の何倍もの金額を動かせるため、相場が急変すると預けた額を超える損失が生じかねません。国内の個人向け取引はレバレッジ25倍が上限ですが、上限の範囲内で取引していても、急激な値動きによって証拠金を超える損失につながることがあります。
法律事務所のサイトでも、為替相場が大幅に変動するとロスカットの処理が遅れ、証拠金を超える損失が発生する場合があるとの説明があります。こうして不足金が生じたときは、FX会社から差額分の入金を求められるため注意が必要です。証拠金に対して取引量が大きいほど維持率は下がりやすいため、取引数量を抑えておくとリスクを軽減できます。
以下のコンテンツでは、FXで借金を抱える原因と、返せなくなったときの対処法を解説しています。返済の見通しが立たない状態に心当たりがある人は、ぜひ確認してみてください。
ロスカットされないための対策

具体的な手段は次の5つです。
- 低レバレッジで取引する:証拠金に対する取引数量を抑え、値動きへの余裕を確保する
- 損切りの逆指値注文を先に置く:一定の水準で決済注文を出し、ロスカット前の損切りを狙う
- 維持率をこまめに確認して早めに対応する:追加で入金するか、取引数量を減らすかを判断する
- 建玉の一部を決済する:必要証拠金を減らし、証拠金維持率を回復させる
- 維持率200%以上をひとつの目安にする:警告や執行の水準まで余裕を持たせる
初心者は維持率200%以上を保つことを推奨しているFX会社もあります。ただし、200%は必要証拠金の2倍の有効証拠金がある状態ですが、安全が保証される水準ではないため、取引量や相場の状況とあわせて判断しましょう。
対策を重ねても、相場急変時のリスクをゼロにはできません。余裕資金の範囲で取引し、生活費や近いうちに使う予定のあるお金を証拠金に回さないことが前提です。取引に慣れるまではレバレッジを控えめにし、損失が家計に影響しない範囲で続けてください。
よくある質問
ここではFXのロスカットに関わる疑問をまとめました。複数ポジションを持っているときの扱い・土日の執行・追証を放置した場合・ロスカット後の再開を順に見ていきます。
複数ポジション保有中は含み益の建玉も巻き込まれる?
FX会社が保有中の全ポジションをロスカットの対象とする場合、含み益のある建玉も決済されます。GMO外貨とDMM FXでは、ロスカットの基準に達すると保有中の全ポジションを強制決済する運用です。
各ポジションの評価損益は、口座全体の有効証拠金や純資産額に反映されます。ただし、ロスカット時に含み益のあるポジションだけが決済対象から外れるわけではありません。ロスカットの執行方法は会社ごとに定められているため、利用口座のルールを確認しておきましょう。
複数のポジションを保有するほど、口座全体の維持率管理が重要になります。ひとつの通貨ペアで生じた大きな含み損により維持率が基準を下回ると、ほかの通貨ペアで利益が出ていてもロスカットされる可能性があります。
ロスカットは土日でも執行される?
そのぶん、週末中の出来事による値動きは週明けのレートに反映されます。金曜の終値と月曜の始値が大きく離れると、取引再開時に維持率が急低下し、想定より不利な水準でロスカットされることがあります。
週末をまたいでポジションを持ち越すなら、金曜のうちに維持率の余裕を確かめておきましょう。週末に重要な政治日程や経済イベントが予定されている場合は、建玉を減らすことも選択肢です。
追証を無視するとどうなる?
期限までに追証を解消しなければ、保有中のポジションは強制的に決済されます。翌営業日の取引終了30分前までに証拠金不足が解消されていないと、すべてのポジションが決済される運用にしているFX会社もあります。
決済後も不足金が残った場合、その分の支払い義務はなくなりません。追証を放置すると建玉を自分で決済する機会を失い、相場の変動によって損失がさらに広がる可能性もあります。
支払いが難しいときは早めにFX会社へ連絡てください。必要に応じて弁護士へ相談する方法もあります。督促や支払期限の扱いは各社の約款で異なるため、通知と口座の規定を確認したうえで対応してください。
ロスカットされたら、それで損失は確定してしまう?
追証が未解消のまま残っていると、新規注文が取り消されたり、発注を制限されたりする可能性があります。再開する前に、口座残高だけでなく、追証や不足金、利用可能な証拠金の状況を確認しましょう。
なぜロスカットに至ったのかを振り返ることも大切です。取引数量、実効レバレッジ、損切りの基準を見直さないまま再開すると、同じ状況を繰り返すおそれがあります。
安全に取引を続けるためのFX口座選びのポイント

とはいえ、口座選びだけでロスカットのリスクがなくなるわけではありません。ロスカット水準が低い口座はポジションを長く維持しやすい反面、決済時の損失が大きくなる可能性があります。取引ツールの見やすさや通知機能も確認し、資金管理を続けやすい口座を選びましょう。
以下のコンテンツでは、FX口座をスプレッド・スワップポイントなどの切り口で比較しています。確認したい項目に合わせて、ぜひ参考にしてください。
本サイトは情報提供が目的であり、個別の金融商品に関する契約締結の代理や媒介、斡旋、推奨、勧誘を行うものではありません。本サイト掲載の情報に基づいて被ったいかなる損害についても、当社及び情報提供者は一切の責任を負いません。





































