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新電力のデメリットは?倒産リスクや向いていない人の特徴を解説

新電力のデメリットは?倒産リスクや向いていない人の特徴を解説

新電力への乗り換えを検討しているものの、「安くなるのは魅力的だけどデメリットはないの?」「倒産したら電気が止まるのでは?」と不安を感じている人も多いでしょう。電力自由化により選択肢が増えた反面、プランの複雑さや倒産リスクなど、契約前に知っておくべき注意点も存在します。


そこで今回は、新電力のデメリットや注意点、倒産リスクの実態をわかりやすく解説します。乗り換えが向いている人・向いていない人の特徴や、契約前に確認すべきポイントも紹介するので、新電力への切り替えを検討している人はぜひ参考にしてくださいね。

高山健次
ガイド
元携帯電話販売員、小売電気アドバイザー/マイベスト 通信・電力・サービス担当
高山健次

大手家電量販店出身で、7,000人以上に携帯電話の販売や通信サービスの契約を担当。主要な通信会社の料金プランや販売機種をすべて把握し、その豊富な知識で店舗販売ランキングにおいて個人表彰もされている。 その後マイベストに入社、携帯電話や光ファイバー回線キャリア・インターネットプロバイダーなどの通信会社を専門に担当しており、格安SIMやホームルーターを実際に回線契約し各社の料金プランや通信速度の比較を行うとともに、モバイルだけでなく10社以上の戸建て・マンション向けの光回線の通信速度・速度制限も調査している。 また通信サービスだけでなく、ファイナンシャルプランナーの視点含めて電気代など固定費支出見直しのガイドもしている。

高山健次のプロフィール
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新電力に切り替えても電気の品質や停電は変わらない

新電力に切り替えても電気の品質や停電は変わらない
新電力に切り替えても、電気の品質が落ちたり停電しやすくなったりすることはありません。電力自由化で自由化されたのは、電気を「作る発電」と「販売する小売」という2つの部門だけであり、送配電網(電線・電柱・変電設備など)は、地域の送配電事業者が従来どおり一括して管理しています。

そのため、契約する電力会社をA社からB社に変えても、電気を運ぶ物理的な設備やメンテナンス体制自体はまったく同じです。電線・電柱の保守点検や、台風・地震といった災害時の復旧作業なども、地域の送配電事業者が引き続き担当します。復旧の優先順位も、契約している会社ではなく被害の状況によって決まる仕組みです。


「新電力に切り替えたら停電が増えるのでは?」と心配する必要はありません。新電力を選ぶ際は、電気の品質や停電リスクではなく、料金プランの内容や契約条件、事業者の経営状況などを確認することが大切です。

新電力のデメリット・注意点

新電力への切り替えには、料金の仕組みや契約条件に関するいくつかのデメリット・注意点があります。メリットと合わせて、契約前に必ず確認しておきましょう。

プランが会社ごとに大きく異なり比較が難しい

プランが会社ごとに大きく異なり比較が難しい
新電力は料金プランが会社ごとに大きく異なり、単純に見比べるのが難しいという特徴があります。基本料金の有無・使用量に応じた従量単価の段階設定・燃料費調整額の扱いなど、料金体系を構成する項目そのものが会社によって統一されていないためです。プランの名称も会社ごとにばらばらで、名前だけでは中身を判断できません。

例えば、同じ程度の使用量でも、基本料金が0円で従量単価が高めに設定されたプランもあれば、基本料金がある代わりに従量単価を抑えたプランもあります。基本料金や従量単価の数字を比べるだけでは、正確な比較がしにくい点に注意。セット割やポイント還元の有無まで含めると、比較すべき項目はさらに増えます。

契約前には、電力会社が公表しているシミュレーション機能や比較サービスを使い、自分の毎月の使用量に当てはめた電気代の総額で比較することが基本です。単価表だけを眺めて決めることは避けましょう。

使用量や生活スタイルによってはかえって電気代が高くなる場合がある

使用量や生活スタイルによってはかえって電気代が高くなる場合がある
新電力に乗り換えると必ず電気代が下がるとは限らず、使用量や生活スタイルによってはかえって高くなることがあります。新電力のプランには、特定の時間帯や使用量帯で割安になるよう設計されたものもあり、自分の暮らし方に合っていないと、その恩恵を十分に受けられません。キャンペーン価格が終了したあとに単価が上がるプランを選んだ場合も同様の注意が必要です。

例えば、日中に在宅していて電気を多く使う世帯が、夜間の使用量が多い人向けの割安プランに乗り換えると、期待したほど節約効果が出ない場合もあります。逆に、在宅時間が短く使用量が少ない世帯では、基本料金が高いプランに乗り換えて損をすることもあるため、乗り換え前の比較が欠かせません。

乗り換えて後悔しないためには、直近数か月分の検針票に記載された使用量を基に、複数社のプランでシミュレーションしてから契約を決めることをおすすめします。キャンペーン後の単価も忘れずに確認しておきましょう。

契約期間の縛りや解約金が設定されているプランがある

契約期間の縛りや解約金が設定されているプランがある
新電力のなかには、契約期間の縛りがあり、期間内に他社へ乗り換えると解約金が発生するプランがあります。事業者側が長期契約を前提にした割引やキャンペーンを提供する代わりに、途中解約への抑止として解約金を設定しているケースがあるためです。契約更新のタイミングを過ぎると自動更新になる場合もあるため、事前に条件を確認しておきましょう。

また、契約から一定期間以内に解約すると解約金が発生するプランもある点に注意。せっかく安いプランに乗り換えても、解約金の負担で節約分が相殺されてしまう可能性があります。特に短期間での再乗り換えを考えている人は影響を受けやすい場合があるため、注意が必要です。

申し込み前には、契約期間の有無と解約金の金額を確認し、更新のタイミングや自動更新の条件も合わせてチェックしておきましょう。契約書面や重要事項説明の記載を見落とさないようにすることが、後々のトラブル防止につながります。

支払い方法が限定される場合がある

支払い方法が限定される場合がある
新電力のなかには、電気料金の支払い方法がクレジットカードのみに限定されている会社もあります。

クレジットカードを持たない人や、家計管理の都合で口座振替を希望する人にとっては、契約できる事業者の選択肢が狭まってしまう点に注意。家族カードやデビットカードでの支払いに対応していないケースもあるため、事前に確認が必要です。

口座振替に対応しているかどうかは、公式サイトの支払い方法のページや申し込み画面で契約前に確認できます。口座振替は利用開始までに時間がかかる場合がある点もあわせて把握しておきましょう。切り替えの手続き自体は難しくなくても、支払い方法の制約が原因で候補から外れてしまうこともあるため、早めのチェックをおすすめします。

事業者の倒産・電力事業からの撤退リスクがある

事業者の倒産・電力事業からの撤退リスクがある
新電力のなかには、経営状況が悪化して倒産したり、電力事業そのものから撤退したりする事業者があります。新規参入事業者の多くは大手電力会社に比べて事業歴が短い場合があり、経営基盤が安定しているとは限りません。燃料の調達価格や卸電力市場の価格が高騰すると、採算が急速に悪化しやすいことも要因のひとつといえます。

新電力の倒産・撤退リスクの実態とセーフティネット

新電力の倒産・撤退は実際に起きていますが、契約先が使えなくなっても電気そのものが止まることはありません。実態とセーフティネットの両面を見ていきましょう。

実際に事業を停止した新電力の例

実際に事業を停止した新電力の例
燃料価格や卸電力市場の価格が急騰した時期には、実際に事業を停止・撤退した新電力が存在します。卸電力市場での調達コストが急騰し、あらかじめ決めていた料金プランに転嫁しきれず、採算が悪化したことが主な要因です。電力の小売事業は参入から日が浅い会社も多く、価格急変への耐性に差が出やすい業界といえるでしょう。

実際に2023年3月時点では、登録されていた新電力706社のうち約3割弱にあたる195社が倒産・廃業・契約停止・撤退などに至ったこともあります(参照:帝国データバンク)。また、大手電力会社の子会社であっても事業撤退に至った例があり、規模の大小だけでは判断できません。

長く事業を続けている会社かどうか、財務状況を示す情報を公開しているかどうかも、判断材料のひとつとして参考にしましょう。

契約先が供給を停止しても電気は止まらない仕組み

契約先が供給を停止しても電気は止まらない仕組み
契約している新電力が倒産・撤退しても、電気の供給そのものが途絶えることはありません。電気事業法により、一般送配電事業者には契約先が電気を供給できなくなった場合に一時的に電気を供給する最終保障供給などのセーフティネット供給を行う義務が課されているためです。

契約先が事業を停止した場合、需要家は一時的に地域の送配電事業者による最終保障供給などに引き継がれ、その間に新しい契約先を探すことが可能。ただし最終保障供給の料金は、電力大手の標準メニューよりおよそ2割高い水準に設定されています(参照:日本経済新聞)。あくまで緊急避難的な料金設定であり、長く使い続けることは想定されていません。

割高な料金は一時的な措置と考え、供給停止の通知を受けたら早めに新しい契約先を見つけて切り替えることが大切です。日頃から複数社の料金プランを把握しておくと、いざというときに落ち着いて対応できます。

市場連動型プランは燃料費調整額の上限に注意

市場連動型プランは燃料費調整額の上限に注意
電力の市場価格に連動して単価が変わる市場連動型プランは、電力市場の価格が高騰すると、電気料金も大きく上がるおそれがあります。通常の固定単価プランで使われる燃料費調整額(燃料価格の変動を毎月の電気代に反映するための項目)とは異なり、市場連動型プランでは卸電力取引所(JEPX)の価格を電気料金に反映する仕組みです。単価は30分ごとに変動するため、月々の電気代を事前に見積もりにくいという特徴もあります。

実際に、冬場の電力需給がひっ迫した2021年1月中旬には、卸電力市場の価格が1日平均154円台/kWhまで跳ね上がりました(参照:資源エネルギー庁)。このような局面では、市場連動型プランの利用者は電気代が急激に膨らみ、想定していなかった高額請求につながるケースもあります。

一方、大手電力会社の規制料金メニューなど通常の固定単価型プランの多くは燃料費調整額に上限が設定されているため、市場価格が異常に高騰しても市場連動型プランほど大きな影響は受けません。市場連動型か固定単価型かで価格変動リスクの性質が大きく異なるため、契約前にどちらの仕組みのプランなのかを必ず確認しましょう。特に電力使用量が多い家庭ほど、価格変動の影響を大きく受けやすい点にも注意が必要です。

契約中のプランがどちらの仕組みかわからない場合は、検針票・契約時の書面・電力会社のマイページなどで確認してください。なお、エリア別に固定単価型と市場連動型を見比べたい場合は、電力会社比較ランキングで世帯人数別に料金を比較してみましょう。

賃貸やマンションでは新電力に切り替えられないことがある

賃貸やマンションでは新電力に切り替えられないことがある
賃貸物件やマンションによっては、自分の意思だけでは新電力に切り替えられないことがあります。建物全体で高圧一括受電(マンション全体でまとめて電気を契約する仕組み)を導入している場合、住戸ごとに個別で電力会社を選ぶことができません。入居前の物件情報だけでは気づきにくく、内見や契約の段階になってはじめて高圧一括受電だと知る可能性もあります。

新電力に申し込もうとしたのに手続きが進まない場合は、まず自分が住む建物が高圧一括受電を導入しているかどうかを管理会社や大家に確認してみましょう。高圧一括受電の建物では電気料金があらかじめ割安に設定されている場合もあり、切り替えられないこと自体が必ずしも不利益とは限りません。引っ越し先を選ぶ段階で新電力への切り替えを重視したい場合は、内見の時点で管理会社へ確認しておくと、入居後に切り替えられない事態を避けられます。

新電力への切り替えが向いている人・向いていない人の特徴

新電力への切り替えが向いている人と、やめておいたほうがいい人には、それぞれ共通する特徴があります。自分がどちらに近いか確認してみましょう。

新電力への切り替えが向いている人の特徴

新電力への切り替えが向いている人の特徴
料金プランを比較する手間を惜しまず、自分の生活スタイルに合ったプランを選べる人には、新電力への切り替えが向いています。新電力は会社ごとにプランの特徴が異なるため、自分の電気の使い方に合うプランを選ぶことで節約効果を得やすい点が特徴。複数の料金プランを見比べることを面倒に感じない人ほど、新電力のメリットを活用しやすいでしょう。

例えば、ポイント還元や特定サービスとのセット割を活用できる人や、日常的に自動車を利用していて電気とガソリンなどをまとめて管理したい人は、新電力ならではのメリットを受けやすいタイプといえます。通信サービスとのセット割で家計全体の支出を抑えたい人にもおすすめです。

契約前には複数社のプランを比較し、自分の使用量に当てはめたシミュレーションをしておくと、切り替え後のミスマッチを避けやすくなります。気になる会社が複数あるときは、料金だけでなく経営状況や事業継続性、供給エリアも合わせて確認することが大切です。

新電力への切り替えが向いていない人の特徴

新電力への切り替えが向いていない人の特徴
料金プランの比較が面倒だと感じる人や、今契約しているプランに解約金が設定されている人は、新電力への切り替えを急がないほうがよい場合があります。比較を十分にしないまま契約すると、かえって電気代が高くなったり、解約金の負担で節約効果が小さくなったりする場合があるためです。とりあえず安そうだからという理由だけで選ばないように注意しましょう。

また、大手電力会社のような安心感を重視する人は、新電力の倒産・撤退リスクに不安を感じやすい可能性があります。万が一契約中の新電力が倒産・撤退した場合でも、国の制度により電気が突然止まるわけではありませんが、再契約の手間が生じる点には注意が必要です。支払い方法がクレジットカードに限定されるなど、希望する条件に合う新電力が見つかりにくい場合があります。

気になる点が多い場合は、無理に切り替えを急がず、契約更新のタイミングを待つのもひとつの手です。解約金がかからない時期にあらためて複数のプランを比較し、自分に合った条件が整ってから切り替えるほうが後悔を防ぎやすいでしょう。

新電力を契約する前に確認すべき4つのポイント

新電力を契約する前に確認すべき4つのポイント
新電力に切り替える前には、次の4つのポイントを確認しておきましょう。この4点をあらかじめ押さえておけば、契約後に「思っていたのと違う」と感じるミスマッチを防ぎやすくなります。

  • 料金単価:使用量に応じた電力量料金の単価と基本料金の有無
  • 料金変動のリスク:燃料費調整額の上限の有無や、市場連動型か固定単価型か
  • 契約期間と解約金:更新のタイミングと解約金の金額
  • 事業者の供給実績:倒産・撤退歴や事業の継続年数

特に料金変動のリスクや解約金の有無は、契約前に必ず確認しておきたい項目です。事業者の供給実績は、公式サイトのニュースリリースや設立からの年数、契約件数の推移などを確認しましょう。賃貸やマンションに住んでいる場合は、そもそも自分で切り替えられる住まいかどうかも忘れずに確認が必要です。

4つのポイントをひとつずつ確認するのが難しい場合は、比較サービスやシミュレーションを活用すると手間を減らせます。自分の使用量を入力して複数社のプランを一度に比較したい人は、電気料金シミュレーションを使ってみるのもおすすめです。料金の安さだけでなく、料金の仕組みや契約条件、各社のプランを比較したうえで、自分の暮らしに合ったプランを選びましょう。
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