夢や希望、やりたいことなどをプロジェクトにして、気軽にインターネットで資金を集められるクラウドファンディング。興味を持ちやってみようと思っても、どのような流れで進めるのか、どのクラウドファンディングサイトに掲載すればよいのかなど、疑問を抱いている人も少なくないでしょう。
そこで今回は、クラウドファンディングを始めてみようと考えている人に向けて、やり方や仕組みを簡単に解説します。資金を集めるコツも紹介しますので、クラウドファンディングを通じてプロジェクトを成功させたい人はぜひチェックしてください。
大学卒業後に銀行員として勤務、法人顧客の経営支援・融資商品の提案や、個人向け資産運用相談を担当。 2020年にマイベストに入社、自身の銀行員時代の経験を活かし、カードローン・クレジットカード・生命保険・損害保険・株式投資などの金融サービスやキャッシュレス決済を専門に解説コンテンツの制作を統括する。 また、Yahoo!ファイナンスで借入や投資への疑問や基礎知識に関する連載も担当している。
クラウドファンディングのやり方について、全体の流れに沿って確認していきましょう。
クラウドファンディングは、プロジェクトの計画や目標を決めることから始まります。目的や目標、計画性のないプロジェクトは、多くの人から支援を受けることはできません。
何をやるのか、なぜやるのか、どのようにやるのか、どうしたら達成できるのかを明確にしましょう。
計画や目標とあわせて資金が必要な理由や自分の経歴も明確にすることも大切です。透明性が増し、より多くの人から支援を受けられるプロジェクトになります。
プロジェクトの計画ができたら、クラウドファンディングの種類やプロジェクトを掲載するサイトを選びます。
クラウドファンディングの種類は、支援してくれる人にどのような見返り(リターン)を設定するかによって分けられる種類です。
商品やサービスをいち早く体験できる権利や、通常よりも安く利用できる権利を設定する場合は、購入型のクラウドファンディングに分けられます。
経済的なリターンではなく、活動報告やお礼の手紙をリターンとして設定する場合は、寄付型のクラウドファンディングです。
また、クラウドファンディングサイトとは、プロジェクトを実行したい人と、プロジェクトの支援をしたい人を繋ぐマッチングプラットフォームをさします。支援ではなくリターンを主な目的として支援する人も多いです。
プロジェクトを掲載するサイトは、どのサイトがより多くの人にプロジェクトを届けられるか、掲載したいプロジェクトはそのサイトのユーザーとマッチするか、手数料は安いかなどの視点で選びましょう。
クラウドファンディングの種類や掲載サイトを選んだら、プロジェクトの掲載を申し込んで審査を受けましょう。申し込みでは、住所や氏名などの基本情報をはじめ、目標金額やストーリー、リターンなどを設定します。
プロジェクト掲載の申し込みにあたっては、サイト独自の掲載基準があるため掲載申込みフォームなどでよく確認しておきましょう。
例えば、独自性のあるアイデアや新鮮なアイデア、ストーリー性のあるアイデアなどが掲載基準に求められることがあります。出会いを目的としたマッチングサービスや人種差別につながるサービスは掲載が断られるため注意しておきましょう。
なかには、審査通過のためのノウハウ集が掲載されているサイトもあります。事前によく確認したうえで掲載の申込みをすると、スムーズにプロジェクトの募集を開始できるでしょう。
プロジェクトページの審査が完了したら、プロジェクトページの公開を開始してwebサイトやSNSを駆使して宣伝を行います。
プロジェクトに関するwebサイトを広告などによって宣伝するほか、プレスリリースを発信するのもよいでしょう。また、TwitterやInstagramで情報発信するとともに、インフルエンサーの協力を得て宣伝する方法も有効です。
なお、クラウドファンディングでは公開当初と終了間際に支援が多くなる傾向があります。プロジェクトの宣伝はクラウドファンディングサイトに掲載を申し込む前から始めても問題ないので、公開当初に支援を受けられるよう事前に宣伝をしておきましょう。
実際に大手クラウドファンディングサイトのプロジェクト作成マニュアルでは、掲載後にすぐ支援されているという印象付けが大切なので、掲載後1週間以内に目標金額の30%以上を目指しましょうと記載されています。
支援が集まりやすい期間を考慮して、いつまでにどの程度の支援があると目標に届くか把握しておくとよいでしょう。
プロジェクトページの公開後は、支援者に対してSNSやクラウドファンディングサイトを通じてこまめに途中経過を報告しましょう。
支援者はプロジェクトの進捗が気になっています。実行者と支援者が一体となってプロジェクトを進めるためにも、途中経過報告は欠かせません。
プロジェクトの進捗が悪くても、支援者へのお礼の投稿など、コミュニケーションをとり続けることが重要です。支援者から直接メッセージが来ることもあるので、早めに返信することを心がけましょう。
特に購入型のクラウドファンディングは、実行者と支援者の距離が短い特徴があるので、親密なコミュニケーションが大切です。
クラウドファンディングで資金を集めたら、実際にプロジェクトページに記載したプロジェクトを実施し、支援者にリターンやお礼をします。リターンやお礼を送る際は、簡単なメッセージを添えて感謝の気持ちを伝えましょう。
プロジェクトの募集期間が終わっていても、支援者に対する途中経過の報告は止めないでください。支援者のなかにはプロジェクトの募集期間が終わっても継続的に進捗を気にしてくれる人もいます。
支援者から得た資金をどのように活用しているかを含め、情報発信やコミュニケーションは継続するようにしましょう。
クラウドファンディングには、どのようなリターンを設定するかによって購入型や寄付型、融資型、投資型などの種類で分けられます。それぞれの特徴を確認していきましょう。
購入型のクラウドファンディングとは、商品やサービスを先行体験できる権利や、割安に利用できる権利を設定するクラウドファンディングです。
販売予定価格が20,000円の製品を、半額の10,000円で購入できる権利をリターンとして設定する場合は、購入型のクラウドファンディングに該当します。
支援者にとって購入型は寄付型よりもリターンが多いため人気が出やすい傾向があります。一方で、支援者に対してリターンを確実に実行する義務が生じることには注意しなければなりません。プロジェクトページを作成するときは、実現性のあるリターンであるかよく検討しておきましょう。
寄付型のクラウドファンディングとは、経済的なリターンではなく、活動報告やお礼の手紙をリターンとして設定するクラウドファンディングです。
リターンがないため支援者を集めにくいデメリットはあるものの、支援者にリターンを実行する負担が抑えられるメリットがあります。
一般的には、発展途上国や被災地の支援、地域おこしなど公益性のあるプロジェクトに利用されているのが寄付型のクラウドファンディングの特徴です。
ただし、実際には購入型と寄付型の区別が難しい場合もあります。リターンは1つだけでなく、支援金額に応じていくつか設定されることが多いからです。
例えば、同じプロジェクトでも1,000円支援してくれた人には感謝のメール、5,000円支援してくれた人には製品を送るといったように設定される場合があります。このように、実際には寄付型と購入型が組み合わさっているパターンも多いです。
融資型のクラウドファンディングとは、投資した資金をもとに企業や不動産に融資して、投資家が収益の分配を得るクラウドファンディングです。
調達した資金で資産運用をすることを目的としたクラウドファンディングであるため、プロジェクトに向けた資金調達の手段としては使われない。
調達者は証券会社などの金融商品取引業を行う会社であるため、個人が融資型のクラウドファンディングを行うことはありません。
投資型クラウドファンディングは、東京証券取引所など市場に上場していない未公開株に投資できるクラウドファンディングです。クラウドファンディング事業者が、株式の出資者をインターネットで募集する仕組み(店頭有価証券)となっています。
投資型のなかでも株式投資型の場合、株式会社ではない個人や法人は資金調達の手段として利用できません。
クラウドファンディングサイト選びは、どのサイトなら多く資金を集められるかがポイントです。基本的にはユーザー数が多い大手サイトをおすすめします。
また、クラウドファンディングサイトを選ぶ際は、集めた資金から差し引かれる手数料の割合を確認しましょう。より多くの資金をプロジェクトに使用するためにも、手数料が低いサイトを選ぶことが望ましいです。
手数料が低いからといって、ユーザー数が少ないサイトを利用してもうまく資金を調達できません。手数料とユーザー数のバランスを考えることが重要だと覚えておきましょう。
以下の記事ではクラウドファンディングサイトを徹底比較しているので、ぜひあわせてチェックしてみてください。
クラウドファンディングで資金集めを成功させるコツを紹介します。ぜひ紹介するコツを実践して資金集めの成功につなげてください。
クラウドファンディングで資金を集めるためには、応援したくなるプロジェクトを立ち上げることが欠かせません。応援したくなるプロジェクトには、実際に欲しいと思える今までにない製品やサービスであるか、開発ストーリーへの共感性が必要です。
プロジェクトだけでなく、実行者の人物像や熱意も応援したくなる気持ちを左右します。応援したくなるプロジェクトかどうか、プロジェクトページを作成するときは何度も確認しましょう。
魅力的なリターンを設定して支援者に提供するよう意識しましょう。プロジェクトが魅力的であっても、魅力的なリターンがなければ支援を見送ってしまう人もいます。
支援してくれる人の心理を理解し、どのようなリターンがあると嬉しいのかよく検討しましょう。プロジェクトページでリターンを紹介するときは、支援者がより魅力を感じられるよう、画像つきで説明するのがおすすめです。
目標金額は、達成した場合にクラウドファンディングサイトに支払う手数料やリターンを届けるために必要な費用なども考慮し、プロジェクトに必要な金額を設定しましょう。
公開直後から注目されていれば、「人気商品をつい買いたくなってしまう」というバンドワゴン効果を期待できるからです。
公開直後から注目を得るためには、プロジェクトページを公開する前の宣伝が欠かせません。webサイトやSNS、プレスリリースなどの媒体を使って宣伝をしておきましょう。
クラウドファンディングのやり方に関するQ&Aをまとめているので、ぜひ実際にクラウドファンディングを始める前にチェックしてください。
クラウドファンディングは個人でもできます。法人である必要はなく、開業届を提出している個人事業主である必要もありません。また、事業と呼べるプロジェクトではなく個人的な動機でも資金調達を実施することが可能です。
実際に大手クラウドファンディングサイトのCAMPFIREでは、「生きたい!」というタイトルのプロジェクトで個人の生活費を捻出した事例があります。
「ジャムの賞味期限を事前に送って頂ければ、賞味期限が近くなった頃に電話でお知らせします。」「あなたのサービス・商品等を2時間叫んで宣伝します」などユニークなリターンを設定し、33人の支援者から総額128,000円を集めました。
ジャムの賞味期限をお知らせるするリターンは5人が支援していましたが、起案者のwebサイトによると、「ジャムの賞味期限を教えてください」と連絡しても5人全員から返信はなかったようです。
このようなプロジェクトでも、クラウドファンディングでは禁止されていない限り掲載できます。ぜひ自分のアイデアを形にしてプロジェクトを掲載してみましょう。
クラウドファンディングサイトにもよりますが、中学生や高校生など未成年であっても、保護者の同意のもとでクラウドファンディングを利用してお金を集められます。Makuakeは未成年のプロジェクト実績があり、READYFORも親権者の同意があればプロジェクトを掲載可能です。
CAMPFIREは原則として18歳以上と年齢制限があるものの、親権者の同意があれば利用できるとしています。ただし、FUNDINNOやBankersなど融資型や投資型のクラウドファンディングは、多くの場合に未成年は利用できません。
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