日本のSF小説のおすすめ人気ランキング【2025年】

第29回日本SF大賞を受賞した、貴志祐介のSF小説です。1,000年後の日本で、外からの穢れが侵入することがない豊かな自然に抱かれた平和な集落が舞台。家畜のように管理されている子どもたちが、念動力（サイコキネシス）の技を磨きながら、野心と希望に心を燃やすストーリーです。

日本SF大賞や星雲賞日本長編部門を受賞した、伊藤計劃が綴るミリタリー調の名作SF。9・11の発生によって徹底した管理体制が整った先進国を舞台に、内戦や大規模な虐殺が頻繁に起こります。後進国で横行する虐殺の原因や謎に、主人公たちが迫るストーリーです。

世界と折りあえず自分に対して臆病な、若さゆえの影に焦点をあわせた青春ミステリー。亡くなった恋人を追悼するため東尋坊を訪れた主人公は、何かに誘われるように断崖から落ちてしまい…。気がつくと、金沢の見慣れた街並みにいて、見知らぬ姉に出迎えられます。

高度な文明が衰退し、代わりに人類は超能力が使えるようになった世界。主人公・ラゴスは旅の途中に2度も奴隷にされながら、ある目的のために生涯をかけて旅を続けます。異空間と異時間が入り混じる、不思議な世界を描いた連作長編です。

長年の改築工事によって横浜駅が自己増殖をはじめ、日本の99％が横浜駅になったという異色な設定のライトノベルです。人々は脳にSuicaを埋め込まれ、エキナカ社会として成り立つ世界。そんななか主人公のヒロトはある人物から、人類の未来を揺るがす重大な使命を与えられます。

広瀬正の幻の名作たちを集め、6巻のシリーズ化にした第一弾。日本語で書かれたタイムトラベルものの傑作と言われた作品が収録されています。戦時中に隣人と交わした約束を、18年後に果たそうとする主人公の物語です。

日本SF大賞を受賞した筒井康隆による、青春SF作品です。思春期の少女が体験した不思議な世界と、あまく切ない想いを描いた、時をこえて愛され続ける永遠の物語。初版刊行以降、映画化・アニメ化・ドラマ化されている名作です。

五十音が1つずつ消えていくとしたら…そんな言葉が消えていく世界のなかで、執筆や講演を続ける小説家を描いた物語です。ページをめくるごとに文字が消えていき、それと同時にその文字を使った事象までもが消滅していく世界。限られた文字だけを紡ぎながら小説を完成させた著者の語彙力を楽しめます。

21世紀後半の世界的な混乱を経て、人類が大規模な福祉厚生社会を築きあげた世界。見せかけの優しさや倫理が横溢するユートピアに嫌気が差して、3人の少女は餓死することを選びます。「虐殺器官」の著者が描く、ユートピアの臨界点。

超情報化対策として、人造の脳葉・電子葉の移植が義務化された2081年の日本・京都。情報庁で働く官僚の御野は、情報素子のコードのなかに行方不明の研究者が残した暗号を発見します。啓示に誘われた先で待っていた少女とともに、すべてを知るため進んでいく物語です。

スーパーダッシュ文庫の不朽の名作が、装い新たに新書版で出版。出撃と戦死を繰り返す主人公ケイジは、死すら日常になる毎日の果てに1人の女性と再会します。小畑健がカバーイラストと挿絵を担当し、ハリウッド映画にもなった作品です。

鬼才野﨑まどが令和に放つ、前代未聞の巨大エンターテイメントです。至高のAI「タイタン」により、人類は仕事から解放されて自由を謳歌しているという未来が舞台。心理学を趣味とする少女が、突如として機能不全に陥った「タイタン」のカウンセリングを任されます。

2300年後の未来に謎の戦闘機械群により地球は壊滅し、人類の完全滅亡を狙う機械群を追って、人工知性体たちは絶望的な時間遡行戦を開始。そして3世紀の耶馬台国こそが全人類史の存亡を懸けた最終防衛線であると、女王・卑弥呼を救った使いの王は語ります。小川一水による、時間SF小説です。

超能力者だと悟られるのを恐れて旅に出た、人の心を読む力を持つ火田七瀬。汽車で生まれてはじめて、同じテレパシーの能力を持った子供ノリオと出会います。つぎつぎと異なる超能力の持ち主とめぐり会い、彼らとともに暗黒組織に立ち向かう物語です。

「銀河英雄伝説」刊行40周年記念で出版された、正伝を2作ずつまとめた5集の第1集。二大星間国家の運命を賭け智略を尽くして闘う、帝国のラインハルトと同盟のヤンとの邂逅を描く「黎明篇」、同盟でクーデターが勃発し鎮圧を命じられたヤンが苦渋の決断を下す「野望篇」が収録されています。星雲賞受賞作品です。

生物化学兵器である新種ウイルスを積んだ小型機が墜落され、世界各地で人々がウイルスに感染。世界人口がどんどん減り、人類が窮地に立たされるショッキングな筋立ての作品です。生物化学兵器による人類滅亡の危機を描いたストーリーは読みごたえがあります。

日本が沈没していく未曽有のスペクタクルを描いた、SF小説の金字塔ともいえる大作です。火山の噴火や大地震といった災害に襲われ、日本が壊滅する描写は壮絶であり、この先起こりうるのではと恐ろしさを感じさせます。緻密な描写と細かい人間模様なども見どころで、最後まで飽きずに読み進められるのが特徴。

次々と起こる航空機事故の謎を探るため、高度2万キロの高空調査に出たメーカー担当者と自衛隊パイロットたちの物語。上空で明らかになる事故の秘密や地上で見つかる未知の生物など、SFの醍醐味ともいえる要素が詰まっています。恋愛描写も細かく描かれており、有川浩ならではの作品です。

気鋭のエンタメSF作家が贈る、女子ふたり怪異探検サバイバルです。くたびれた女子大生の主人公の人生を一変させる、現実と隣合わせで謎だらけの裏世界。研究とお金稼ぎ、そして大切な人を探すため非日常へと足を踏み入れていくストーリーです。

古道具屋で買った奇妙な機械のせいで江戸時代にタイムスリップした少年が、風魔忍者と対決。現代と過去の対比をたくみにとり入れた、光瀬龍の傑作ジュニアSFです。KADOKAWAのサイトから電子書籍も購入できます。

森見登美彦が描くペンギンを題材にした小説で、第31回日本SF大賞受賞作です。町に突然ペンギンが現れるところから物語はスタート。ペンギンの出現に歯科医院の女性の力が関係していることを突き止めた、小学4年生の主人公がその謎に挑むといった内容の長編小説になっています。

ホットプルームによる海底隆起で、多くの陸地が水没した25世紀。陸上民は僅かな土地と海上都市で高度な情報社会を維持し、海上民は魚舟と呼ばれる生物船を駆り生活していました。あらゆる生命の運命を根底から脅かす残酷な試練を描く、日本SF大賞受賞作。

現代日本SF第一世代作家6人の傑作選を日下三蔵の編集により刊行するシリーズです。第4弾はウルフガイ「幻魔大戦」で知られる平井和正。デビュー作「レオノーラ」「死を蒔く女」「虎は目覚める」「転生」など、人間の残虐性と暴力性を抉り、暗い情念あふれる初期中短篇10篇を第1部に収録しています。

森博嗣のWWシリーズの第5弾で、前シリーズのメンバーも健在です。大型生物に人が襲われたり、動物園から動物と飼育員が行方不明になるなどの事件が勃発。そこで極秘依頼を受けたグアドたちは、動物がウォーカロンである可能性を考慮し、動物園への潜入を開始します。

スマートなユーモア・ユニークな着想・シャープな諷刺にあふれ、光り輝く小宇宙群のような星新一のショートショート集です。バーで人気の美人店員「ボッコちゃん」をはじめ、とても楽しくてちょっぴりスリリングな自選50編が収録されています。

星新一の「解放の時代」や広瀬正の「もの」など、1960年代の傑作15作品を収録。優れた書き手たちがその個性を存分に発揮しつつ、斬新なアイディア・強烈なイメージ・ナンセンスの味わいが楽しめます。SFの枠組みを超えて、20世紀の日本文学におけるひとつの里程標となる歴史的アンソロジーです。

小説「四畳半神話大系」と舞台「サマータイムマシン・ブルース」の奇跡のコラボが実現。突然現れたタイムマシンで昨日へ行き、過去を改変したことでこの世の中と私の恋は消滅してしまうのか。恋愛要素も含んだ、SF作品です。

現代社会崩壊後、陸地の大半が水没した未来世界。そこに存在する魚舟・獣舟と呼ばれる異形の生物と人類との関わりを衝撃的に描き、各界で絶賛を浴びた表題作です。ほかには戦慄の展開に息を呑む「くさびらの道」など、書き下ろしの中編を含む全六編を収録されています。