ペットが病気やケガをした際の治療費を補償するペット保険。ペットに十分な治療を受けさせたいと加入を検討しているものの、予定していた保険金が受け取れなかったなどのトラブルを耳にして、ためらっている人もいるのではないでしょうか。
そこで今回は、ペット保険で起こりやすいトラブルについて例を挙げて詳しく解説します。対策方法や起きてしまった場合の対応についても解説するので、ペット保険の加入を検討している人は最後までチェックしてみてください。
大学卒業後に銀行員として勤務、法人顧客の経営支援・融資商品の提案や、個人向け資産運用相談を担当。 2020年にマイベストに入社、自身の銀行員時代の経験を活かし、カードローン・クレジットカード・生命保険・損害保険・株式投資などの金融サービスやキャッシュレス決済を専門に解説コンテンツの制作を統括する。 また、Yahoo!ファイナンスで借入や投資への疑問や基礎知識に関する連載も担当している。
本コンテンツは情報提供を目的としたものであり、特定の保険商品についての勧誘や契約の推奨を目的としたものではありません。弊社が内容について正確性を含め一切を保証するものではないため、個別商品については各保険会社にお問い合わせください。
まずは、ペット保険に加入した際に陥りやすいトラブルの事例を紹介します。
ペット保険の代表的なトラブルは、病気やケガで治療した際に保険金が一切支払われなかったというもの。加入後に毎月保険料を支払っていたにもかかわらず、保険金が支払われない主な原因について解説します。
申し込み時の告知内容が誤っていたり、虚偽の告知をしていたりすると、保険金が支払われない可能性があります。
ペット保険の加入に当たっては、人間の医療保険と同様に健康状態の告知が必要です。過去の病気やケガ、最近数か月以内の診察や検査・健康状態などと合わせて、これまでに加入したペット保険の有無や満了日などの申請が必要です。
傷病歴を誤魔化すなど告知義務に違反していた場合、加入できたとしても保険金が支払われないばかりか、契約が解除されることもあるので注意しましょう。
ペット保険の補償対象外となる病気やケガに対しては、基本的に保険金は受け取れません。ワクチン接種や血液検査のような予防に関する費用や、去勢手術・妊娠・出産に関する手術などは、補償の対象外になるのが一般的です。
パテラやてんかんといった先天的な要素が強い疾病も、補償対象外となるケースが少なくありません。ペット保険で補償されない疾患やケガは各保険会社や商品により異なるので、加入前によく確認するのが大切です。
待機期間が設定されている保険の場合は、待機期間中に発症した病気やケガは保険金支払いの対象外となります。
待機期間とは、保険の契約開始から一定の間、補償対象とならない期間のこと。保険加入前に病気にかかっていた場合の請求を避ける目的で、病気の潜伏期間を考慮して設定されています。
ペット保険の年間請求回数に上限が設定されている場合は、上限を超えた保険金は支払われません。ペット保険には、入院・手術・通院それぞれに限度回数が設けられている場合が多く、回数を超えてしまうと加入中であっても補償を受けられず、支払いが発生します。
年間の回数制限や上限金額は、各保険会社や商品によって異なるので、加入前に詳細を確認しておきましょう。
想定していたよりも保険金の受け取り額が少ないというのも、ペット保険でよくある事例です。考えられる主な原因について解説します。
ペット保険には補償割合が設定されている商品が多く、補償割合が低く設定されているほど、受け取れる保険金は少なくなります。
補償割合とは、治療費に対して受け取れる保険金の割合のこと。ペット保険では100%プランの商品のほか、50%プラン・70%プランを選べるようになっている商品も多数あります。治療費から補償割合を差し引いた金額は自己負担になります。
たとえば、保険金額限度50万円・補償割合50%の保険に加入していた場合、30万円の治療費に対して受け取れる保険金は15万円です。保険金は限度額まで支払われるわけではないため、補償割合にも注目して加入しましょう。
ペット保険に免責金額が設定されている場合、治療費から免責金額が差し引かれるため、支払われる保険金は少なくなります。免責金額とは、最低限自己負担が必要な金額です。
たとえば、免責金額5,000円・補償割合70%の保険に入っていて、診療費が30,000円かかっった場合、保険会社から支払われる保険金は、30,000円から免責金額の5,000円を引いた25,000円の70%で、17,500円になります。
治療費が免責金額を下回る場合は、治療費は全額自己負担になるので注意しましょう。上記の例の場合なら、5,000円以下の治療費は全額自己負担になります。
入院・手術・通院に関して、1回あたりの補償限度額が設定されている場合もあるので注意。この場合は、限度額を上回った費用は補償されません。ほかにも、1日あたりの支払い限度額や、年間の入院限度日数などが設けられている場合があるので気をつけてください。
たとえば、年間入院限度日数が定められていたため、2週間入院したにもかかわらず10日分しか補償されなかった、などといったケースがあてはまります。限度額や日数は、各保険会社やプランごとに異なるため、よくチェックしておきましょう。
治療費を支払ってから保険金が支払われるまでには、数週間程度かかる場合もあるので注意。日数がかかるのは、保険会社に保険金を請求し、振り込み手続きに時間を要するためです。
治療費が少額であれば気にならないかもしれませんが、高額な場合は、保険金を早く受け取れないと困ってしまったり、不安になったりする場合もあるはず。口コミをチェックしたり、事前に保険会社に問い合わせるなどして確認しておきましょう。
ペット保険の契約が更新できず、解約となってしまうのもよくあるトラブル。契約更新ができないケースとしては、ペットの健康状態がよくない場合や、保険金の支払い遅延があった場合、ペットが年齢制限に達してしまった場合などが挙げられます。
更新不可のトラブルを避けるには、更新の際に審査がない自動更新の商品を探すのがひとつの方法。契約前に年齢の上限を確認しておくことや、保険料の支払い遅延が起こらないように注意することも大切です。
ペット保険の契約更新時に、補償対象外となる病気が増えるのもよくあるトラブル。たとえば、加入中に発見された先天性・遺伝性疾患や、治療が長期に及ぶ慢性疾患が、更新後の契約から補償の対象外となるケースが該当します。
すべてのペット保険が更新時に条件がつくわけではなく、更新時に条件をつけない保険会社や商品もあるため、加入前に情報収集をして比較しましょう。
ペット保険自体の保険料が、年を追うごとに値上がりすることもあります。安いと思って加入したものの、更新後に保険料が高くなってしまい、騙されたと感じてしまうのもよくあるケースです。
保険会社によっても異なりますが、ペットの年齢が1歳ずつ上がるごとに毎年少しずつ保険料が引き上がったり、一定の年齢に達するごとに保険料が上がったりするのが、ペット保険の代表的なパターンです。
保険に加入するときには、現在の保険料だけではなく、高齢になってからどのくらいの保険料が発生するのかも確認しておくとよいでしょう。
次に、ペット保険のトラブルを防ぐための対策方法について解説します。
以下では、保険料の支払いに関するトラブルを防ぐために、事前に行っておきたいことを解説します。
ペット保険では、重要事項説明書を熟読し内容を理解しておくと、トラブルを未然に防ぎやすくなります。反対に、補償内容を理解できていないまま加入してしまうと、トラブルが発生するケースが多いため注意しましょう。
とくに、保険会社や商品によって条件が異なる項目は、加入前によく確認しておくことが大切です。補償割合・補償範囲・補償限度額・補償限度日数や回数・免責金額・待機期間・補償対象外となる事由などは、事前によくチェックしておきましょう。
申し込みの際に、誤った告知や虚偽の告知をするのは厳禁です。告知義務違反になってしまい、保険金が支払われなかったり解約になったりなど、トラブルのもとになります。
一般的に告知が求められる項目として、ペットの年齢や品種のほか、障害や欠損または後遺症の有無、現在治療中の病気やケガの有無、経過観察中の症状の有無などが挙げられます。他社ペット保険の加入状況も正しく申告しましょう。
告知内容によっては、保険に加入できなかったり条件付きの契約になったりする場合もありますが、他社の保険なら加入できる場合もあるので、あきらめず申し込んでみましょう。
保険金の請求方法は保険会社によって異なるため、事前に確認しておくと安心です。保険金の請求方法は、主にに2タイプ。医療費の支払い時に保険金が差し引かれた額を自己負担する窓口精算方式と、治療費の全額を一旦立て替えて後日保険金を請求する後日精算方式があります。
後日精算方式の場合は、保険金請求書類を郵送でやり取りする必要があるため、保険金が入金されるまでに数週間かかることも。加入を検討している保険の支払い方式がどちらに当てはまるか、前もって確認しておきましょう。
ペット保険は基本的に1年更新の商品が多く、更新時の対応は保険会社や商品ごとに異なるため、事前に確認しておきましょう。条件なしで自動的に更新できるパターンの保険もありますが、更新時に審査がある場合は、条件付きで更新できたり更新不可になることがあるので気をつけてください。
条件が付くケースとしては、特定の疾病を対象外とすることを条件に更新ができる場合などが該当します。
ペット保険によっては、更新できる年齢の上限や保険料の変更などが定められている場合もあるので注意。何歳まで更新できるのか、更新後の保険料はいくらになるのかなどもあらかじめ確認しておくと、トラブルを防ぎやすくなります。
最後に、万が一ペット保険でトラブルが発生してしまった場合の対応方法について解説します。
契約の申し込みや契約をしたものの、やはり契約を取りやめたいという場合は、適用可能であればクーリングオフを活用できる可能性があります。
保険期間が1年以下のペット保険については、原則としてクーリングオフの適用義務はないものの、保険会社や商品によっては対応してもらえる場合もあるので、はやめに保険会社に確認してみましょう。
保険会社やプランによっては適用できる場合があり、適用可能期間は申し込みから8日間以内と設定されているケースが一般的です。保険会社の公式サイトのFAQなどに対応の可否や条件などにについて書かれていることが多いので、チェックしてみてください。
トラブルが起きた際に、保険会社に確認しても納得できない場合には、消費生活センターに相談してみるのもひとつの手です。国民生活センターのサイトで全国の窓口を確認できます。
それでも解決できない問題は、消費生活センターを経由してADR(裁判外紛争解決手続き)に紹介してもらうことも視野に入れてみましょう。国民生活センターには、専用窓口(03-5475-1979)も設けられています。
補償内容が説明を受けたときと違う場合や、保険の補償対象であるはずなのに保険金が支払われないなど明らかに悪質な問題である場合は、弁護士に相談することも検討してみるとよいでしょう。
以下の記事では、ペット保険の選び方を紹介しています。ペット保険について理解が深まったものの、実際にどの保険に加入すればよいのかわからないという人は、ぜひ参考にしてみてくださいね。
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