【セブン】産地が選べる?新作アイスコーヒーの実力をバリスタが検証してみた!【ファストコーヒー頂上決戦延長戦】
前回のファストコーヒー飲み比べでも最後に触れていた、セブンイレブンの新しいファストコーヒー。その名も「選べる産地ブレンド」。6月末から都内の一部店舗で展開されており、マシンで3種類の産地別のブレンドから好みの味わいを選択できます。
コンビニのコーヒーで産地が選べること自体が驚きですが、3種類という数の多さにも驚きです。しかし、本当にそれほどまでに味わいの違いは出るのでしょうか。
今回も現役のバリスタであるマイベストのコーヒー担当・相野谷が実際に3種類の産地別のアイスコーヒーを飲み比べて検証を行いました。前回のファストコーヒーおいしさランキングも最新版にアップデートします!
マイべマガジンではコンビニなどで手軽に購入が可能なドリップコーヒーを「ファストコーヒー」と呼称いたします。
本コンテンツの情報は公開時点(2024年8月26日)の情報をもとに執筆しております。また、本コンテンツ内の価格情報はすべて税込で表記しております

製菓・コーヒーの専門学校卒業後、スペシャルティコーヒー専門店にてバリスタとして7年間勤務。店舗ではハンドドリップやラテアートの講師も務め、味や香りへの繊細な感覚を磨く。マイベスト入社後はカフェで勤務していたこれまでの経験を活かし、コーヒー器具をはじめ、調理器具やキッチン雑貨、食品・ドリンク、ギフトアイテムなど、食まわり全般の商材の比較検証を担当。「ユーザーの立場に立って考える」をモットーに、日々の業務に取り組んでいる。また、焙煎士・バリスタとして現在も現場に立ち、実体験に基づいたリアルなレビューを届けている。
セブンイレブンの新作ファストコーヒーが気になります!
前回飲み比べを行い作成したファストコーヒーおいしさランキングも、たくさんの人に見ていただけているようでうれしい限りです。しかし、ランキングの作成後に発売した新作のファストコーヒーがあり、とても気になっていました。それが、6月末からセブンイレブンが都内の店舗限定で販売を開始した「選べる産地ブレンド」です。3種類の産地から選べるということでセブンイレブンの本気度を感じます。
さながらコーヒー専門店。これは黙っていられないということで、今年の夏も残すところあと少しですが追加で飲み比べを行いおいしさランキングのアップデートを行います!前回飲み比べをしたコーヒーは以下のコンテンツで細かく解説しているのでぜひご覧ください。
そもそも産地によって味わいって違うの?
みなさんはコーヒー豆の産地を聞いてどのような味わいをイメージしますか?普通の人ならイメージすら浮かばないはずです。エチオピアならなんとなくフルーティ、ブラジルならなんとなく苦味がしっかり、このような想像ができれば十分コーヒー好きといえるでしょう。
コーヒー豆はこのように産地によって味わいに傾向がある場合がほとんどです。しかしあくまで傾向があるだけで、そこから精製方法の違いや焙煎度合いの違いなどによって、同じ生産地でも味わいは大きく変わっていきます。
セブンイレブンの選べる産地ブレンドはどんな味わいなのか
セブンイレブンの選べる産地ブレンドはグアテマラ・コロンビア・キリマンジャロの3つに分かれています。セブンイレブンが謳っている味わいは以下のとおりです。
- グアテマラブレンド:スッキリ爽やかな味わい華やかで芳醇な香り
- コロンビアブレンド:バランスの取れたコクと酸味
- キリマンジャロブレンド:力強いコクと苦味
これだけだと自分の好みがどの産地かわからないですよね。コーヒーを飲み慣れている人でも、この説明だけで味わいを理解することはできません。味わいが気になったコーヒーは、実際に飲んでみることが大切です。
実際に飲み比べてみよう!
それでは実際に飲み比べていきましょう。今回も飲み比べの際には、前回の「ファストコーヒー頂上決戦」で使用した基準をもとに評価を行いました。基準を「バリスタが飲んでより専門店の味わいに近くおいしいと感じたもの」として以下の4項目に注目をしています。
- 味わいのバランス
- 甘味の強さ
- 濃度感のほどよさ
- 雑味の少なさ
各項目を1〜5点の満足度でスコア化し、合計20点で満足度の評価を行いました。今回はおいしさの評価に加えて参考値として抽出時間・内容量も計測しています。今回の3種類のコーヒーを含めた最新版のランキングも後ほどお伝えしますね。
満足度のラダー:5点:とても満足・4点:満足・3点:普通・2点:不満・1点:とても不満
抽出時間は抽出開始のボタンを押してから抽出完了までの時間を計測しています。内容量は氷の重さも含めて計測しています。
選べる産地ブレンド①:キリマンジャロブレンド
味わいのバランス:5点(とても満足)
甘味の強さ:3点(普通)
濃度感のほどよさ:3点(普通)
雑味の少なさ:5点(とても満足)
合計:16点
タンザニアのキリマンジャロコーヒーを使用したブレンド。苦味が主体の味わいですが雑味はほとんどなく、キリマンジャロらしい上品な印象を受けます。後味にはハチミツのようなやさしい甘さがあり、心地よい余韻が楽しめました。しかし、甘さを含めた全体の味わいが弱く物足りなさを感じます。味わいのバランスはよいですが、苦味主体の味わいなのでほかの産地のものよりも、甘さや濃度の弱さが目立って感じられました。すっきりめのコーヒーが好きな人にはおすすめといえます。
- 価格(税込):140円
- 内容量(氷含む):227g
- 抽出時間:40秒
- TDS:0.98%
- 使用豆:不明(タンザニアは含まれる)
- こんな人におすすめ
- 苦味があるすっきりとしたコーヒーをゴクゴク飲みたい人
選べる産地ブレンド②:コロンビアブレンド
味わいのバランス:5点(とても満足)
甘味の強さ:5点(とても満足)
濃度感のほどよさ:4点(満足)
雑味の少なさ:4点(満足)
合計:18点
最初の一口目は酸味が強く感じましたが、飲み進めていくと徐々にシロップのような甘さが口のなかに広がりはじめます。フルーティな味わいとコーヒーらしい甘さが楽しめる絶妙なバランスが楽しめました。前回飲み比べを行ったエチオピアを使用したブレンドよりも、より酸味は強く浅煎りのコーヒーに近い印象を受けます。後味に感じるスモーキーな香りがやや気になりましたが誰でも飲みやすいため、コーヒーの酸味に抵抗がある人のフルーティなコーヒーの入口としては最適といえる一杯です。
- 価格(税込):140円
- 内容量(氷含む):227g
- 抽出時間:40秒
- TDS:0.96%
- 使用豆:不明(コロンビアは含まれる)
- こんな人におすすめ
- 酸味があるフルーティなコーヒーに興味があり、試しに飲んでみたい人
選べる産地ブレンド③:グアテマラブレンド
味わいのバランス:5点(とても満足)
甘味の強さ:4点(満足)
濃度感のほどよさ:4点(満足)
雑味の少なさ:5点(とても満足)
合計:18点
コンビニのコーヒーでこの味わいが楽しめるのかと感動しました。雑味はほとんどなく、グアテマラの浅煎り特有のオレンジのようなフルーティで甘さのある味わいが楽しめました。後味に甘さがしっかりと残るため、飲みやすい印象も受けます。おいしい浅煎りのコーヒーを飲んだ後に残る心地よい余韻もあり、フルーティな味わいが好きな人はもちろん、現役のバリスタにもぜひ飲んでファストコーヒーの進化を体験してほしいと思いました。全体的な味わいとしては、やや弱くすっきりめなので暑い日にゴクゴクと飲むのがおすすめですよ。
- 価格(税込):140円
- 内容量(氷含む):227g
- 抽出時間:40秒
- TDS:0.90%
- 使用豆:不明(タンザニアは含まれる)
- こんな人におすすめ
- 専門店の浅煎りコーヒーようなフルーティな味わいを楽しみたい人
豆の違いに興味があるなら飲み比べてほしい!なかでも、グアテマラ・コロンビアブレンドはぜひ!
今回3種類の産地別のブレンドを飲み比べてみましたが、どのブレンドも産地の特徴がしっかりと楽しめる味わいでした。産地の違いに興味がある人は、ぜひ飲み比べていただきたいです。身近なコンビニで産地別のコーヒーを飲み比べできること自体が新鮮で楽しい体験でした。
特にグアテマラ・コロンビアブレンドは今までのコンビニコーヒーにはなかった、サードウェーブ系専門店の浅煎りコーヒーさながらな味わいが楽しめました。酸味が好きな人はオレンジのような酸味が楽しめるグアテマラブレンドを、フルーティなコーヒーにチャレンジしてみたい人は酸味と甘さのバランスがよいコロンビアブレンドがおすすめです。
キリマンジャロブレンドは、特有の上品な甘さと苦味が楽しめる王道のコーヒーらしい印象を受けます。しかし、正直通常のセブンイレブンのコーヒーの方が甘さが強く、おいしく感じました。気になる人は、実際に通常のものと飲み比べてもおもしろいかもしれません。
ファストコーヒーのおいしさランキング2024最新版はこちら!
今回飲み比べた3種類のコーヒーを加えた最新版のランキングがこちらです。1位のNEWDAYSには届かなかったものの、上位に食い込む検討を見せたものもありました。
セブンイレブンは本当にファストコーヒーのレベルが高いです。今回検証を行った「選べる産地ブレンド」も全国販売になることを期待しています。今後はほかのコンビニでもおいしい浅煎りのコーヒーが選択肢に増えていく可能性もありますね。
おわりに
数年前、サードウェーブというコーヒーのトレンドの波に乗って、スペシャルティコーヒーが日本のコーヒー業界でも流行りました。コーヒー豆を浅く焙煎し、コーヒー本来のフルーティな酸味を楽しむ文化が一気に広まり、コーヒーを飲む人のなかで「酸味好き」「苦味好き」といった好みも出てきた印象があります。
しかし当時は酸味のあるコーヒーを好む人は少数派で浅煎りの質も今ほど高くなかったことから、おいしい酸味のあるコーヒーを飲める場所は専門店に限られていました。個人的に、コンビニのコーヒーでこの味わいのコーヒーが飲めるようになったことに感動を覚えます。
今は都内の限られたお店での提供のようですが、このコーヒーが全国で飲めるようになったらぜひ一度試してください。コーヒーの世界が今よりもっと広がりますよ。コーヒーの世界に興味が出た人は、ぜひ以下のリンクからマイベストのコーヒーコンテンツも覗いてみてくださいね。
(執筆/マイべマガジン編集部・相野谷大輔)
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