初心者でも使いやすいと話題の家庭用溶接機、FORTON 半自動溶接機 MIG130。インターネット上では「使いやすい」と評判です。しかし、「重くて持ち運びにくい」との気になる口コミもあり、購入を迷っている人も多いのではないでしょうか?
今回はその実力を確かめるため、以下の3つの観点で検証・レビューを行いました。
さらに、人気のSUZUKIDやHAIGEなどの家庭用溶接機とも比較。検証したからこそわかった、本当のメリット・デメリットを詳しく解説していきます。ポイントや送料を考慮した価格比較も行いましたので、家庭用溶接機選びに迷っている人はぜひ参考にしてみてください。
DIYアドバイザー・DIY工作アドバイザー・日曜大工士。乙種第4類危険物取扱者免状を取得しているほか、フォークリフト運転技能講習を修了。2023年まで、ホームセンターの資材館の販売員として電動工具・建築資材・農機具などの接客に従事。現在はマイベストにて、インパクトドライバーや丸ノコなどの電動工具を中心に徹底的に検証。メーカーや価格を問わず、ユーザーが「買ってよかった」と感じられるようなコンテンツ制作に日々努めている。
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目次
FORTON 半自動溶接機 MIG130は、溶接にあまり慣れていない初心者におすすめです。1.6mmの板厚の鉄板を溶接してみると、ちょうどよい溶け込みで溶接ができました。比較した商品には鉄板に穴が開いてしまうものもあったなか、こちらはアークを安定させやすく「使いやすい」という口コミどおり高評価です。
本品はガスボンベを使わない半自動溶接機で、ワイヤーは横向きに取りつけるタイプ。比較したなかにはワイヤーを取りつけが難しい商品もあったのに対し、初心者でもスムーズにセットできます。電源ケーブルが刺さりにくくやや手間がかかりますが、準備自体は簡単にできるのがメリットです。
効率よく作業するための機能も充実しています。定格使用率は35%と、比較した商品のHAIGE インバーター直流溶接機の60%に比べると低めですが、150mmの長さを5回連続で溶接しても使用率オーバー防止機能は作動しませんでした。DIYで短い距離を溶接する場合は、連続使用もしやすいですよ。
出力を細かく調節できるのもよいポイントです。比較した商品の大半が電流・電圧のどちらかしか調節できなかったのに対し、両方の調節ができました。しかし、電圧は2つのスイッチを組み合わせて設定する仕組みで、直感的に操作しづらいのは気がかり。ダイヤルで簡単に調節できた上位商品に比べ、慣れるまでわずらわしさを感じる場合があるでしょう。
口コミに「重くて持ち運びにくい」とあるように、重量12.8kgとかなり重たいのもネック。4.1kgだったSUZUKID STICKY80と比べると2倍以上の重さです。幅・奥行き・高さの合計も820mmと大きめでした。持ち運びや収納のしやすさを重視する人には向いていません。
とはいえ、「きれいで安定した溶接ができる」という謳い文句どおり、アークを安定させて溶接できる点は大きな魅力。日常的にDIYする人なら1つ持っていると創作の幅が広がるでしょう。ぜひこの機会にチェックしてみてください。
家庭用溶接機とは、アークと呼ばれる放電現象の熱で金属を溶かして接合させる機械です。溶接機には電気溶接機とガス溶接機の2タイプありますが、家庭用として使われるのは電気溶接機が主流。なかでも自宅のコンセントに繋ぐだけで使える被覆アーク溶接機と半自動溶接機(ノンガス)は、DIYにも向いています。
FORTON 半自動溶接機 MIG130は、きれいで安定した溶接ができると謳った商品。電流は4段階、ワイヤー送りのスピードは10段階の調整が可能で、DIYからプロの現場まで使いやすい仕様です。使用率オーバー防止機能を搭載し、使用率を越えて連続使用をしたときには自動で放電を遮断します。
付属品は、日本語説明書・軟鋼用フラックスワイヤー1巻(0.8mm/1 kg)・ワイヤーブラシつきハンマー・コレクトチップです。
溶接をするためには、溶接機以外にアークを発生させるための鉄製の作業台と、溶かした金属同士をくっつけるための溶加材が必要です。
アークはプラスとマイナスの電極で挟むことで発生しますが、溶加材がプラスの電極、アースを取りつけた鉄製の作業台がマイナスの電極になります。鉄製の作業台を用意するのが難しい場合は、母材の下に鉄製の板を敷いて代用することも可能です。
溶加材とは、半自動溶接機の場合は溶接ワイヤーのこと。溶加材は溶接中に溶けて短くなっていく消耗品なので、定期的に購入する必要があります。
今回は、FORTON 半自動溶接機 MIG130を含む家庭用溶接機全7商品を実際に用意して、比較検証レビューを行いました。
具体的な検証内容は以下のとおりです。
最初は、使いやすさの検証です。
商品を用いて実際に溶接を行い、準備のしやすさ・出力調節のしやすさ・溶接のしやすさをチェック。作業工程ごとの使いやすさを検証しました。
本品の種類は半自動溶接機です。説明書どおりの電流・電圧に合わせて板厚1.6mmの鉄板を溶接した結果、「使いやすい」という口コミどおりちょうどよい溶け込みで溶接ができました。溶接電源は交流タイプでインバーターは搭載していないものの、アークを安定させやすいのがメリットです。
対応している板厚は0.8~3.2mm。6mmの鉄板を溶接してみるとパワー不足で溶け込みが甘かったものの、規定どおりの板厚なら問題ありません。「安定した溶接ができる」という謳い文句どおり、使いやすさは高い評価を獲得しました。
ワイヤーは横向きで取りつけるタイプで、説明書どおりに行えばガイドチューブにスムーズにセットできます。電源ケーブルが刺さりにくく少し手間がかかりますが、準備自体は簡単にできました。説明書も画像が豊富でわかりやすく、初心者でも手順を理解しやすいですよ。
一方で、設定がやや複雑なのは気がかり。溶接するときは、電圧を2つのスイッチを組み合わせて調節する仕組みです。ダイヤルに電流値ではなく供給速度が記載されるため、わかりにくさを感じました。比較したSUZUKIDのBuddy80はダイヤルで簡単に調節ができたのに対し、感覚的に操作しづらいのがデメリットでしょう。
また、本機の電源が入っている間は常に通電されている状態です。スイッチ押さなくてもトーチが金属面に触れるとスパークしてしまうので注意して扱ってください。
続いて、作業性のよさの検証です。電流調節機能やインバーターの搭載の有無などを確認し、さまざまな状況や作業へ対応しやすい機能性かどうかをチェックしました。
商品を確認したところ、スペックはなかなか充実しています。定格使用率は35%。比較したHAIGEのインバーター直流溶接機の60%に比べると低めですが、150mmの長さを5回連続で溶接しても使用率オーバー防止機能は作動しませんでした。DIYのように短い距離を溶接する場合は、連続使用でも使いやすいですよ。
比較したなかでは電流・電圧のどちらも調節できる商品は少なかったのに対し、こちらは両方の調節が可能です。材料の厚さに合わせて出力を細かく調節できますよ。定格入力電圧は100Vなので、一般的な家庭のコンセントですぐに使用できるでしょう。
最後に、持ち運びのしやすさの検証です。持ち運びに関わる重量・コンパクトさ、収納のしやすさに関わる持ち手の有無をチェックしました。
口コミに「重くて持ち運びにくい」とあるように、重量は12.8kgと重く持ち運びやすいとはいえません。4.1kgだったSUZUKID STICKY80に比べると2倍以上です。幅・奥行き・高さの合計が820mmと比較した商品のなかではサイズが大きく、収納するための保管スペースを用意しておく必要があります。
持ち手はあるものの、重量・サイズがかなり大きいため、持ち運びや収納のしやすさを重視する人には向いていません。
種類 | 半自動溶接機(ノンガス) |
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定格入力電圧 | 100V |
電流調整機能 | |
電圧調節機能 | |
溶接可能板厚 | 0.8~4.0mm |
溶接可能材質 | 鉄、ステンレス |
定格使用率 | 35% |
---|---|
定格周波数 | 50/60Hz(東/西日本)兼用 |
定格入力電流 | 36A |
定格入力容量 | 3.6KVA |
定格出力電流 | 130A |
出力電流の調節範囲 | 50~130A |
適用溶接棒の径 | 不明 |
適用溶接ワイヤーの径 | Φ0.8~1.0mm |
幅 | 180mm |
奥行 | 340mm |
高さ | 300mm |
重量(公称値) | 14.2kg |
付属品 | 溶接トーチケーブル、アースコード、ワイヤー0.8mm/1kg、ワイヤーブラシ付きハンマー、コレクトチップ×2、肩がけ紐、取扱説明書 |
推奨ブレーカー(100V) | 不明 |
FORTON 半自動溶接機 MIG130は、Amazon・楽天市場・Yahoo!ショッピングなどのECサイトで購入できます。値段は20,000円前後です(ECサイト参照)。普段お使いのサイトをぜひチェックしてみてください。
溶接をするときは、ヒューム・アーク光・スパッタから身を守る安全装備を必ず身につけるようにしましょう。
溶接中に飛散するヒュームと呼ばれる金属の微粒子は、吸い込むと神経機能障害や肺がんのリスクが上昇する場合があります。そのため、ヒュームの吸引を防ぐ防塵マスクを必ず装着してください。
アーク光は紫外線と赤外線を含んでいるので、長い間直視すると目に炎症を引き起こすリスクがあります。有害な紫外線・赤外線を遮断する溶接面も必ず用意しましょう。また、横からのアーク光や飛来物を防ぐなら、保護めがねを併用するのが効果的です。(参照:公益財団法人 国際研修協力機構(厚生労働省 委託事業)
スパッタ(火花)から体を守るなら、防火手袋・腕カバー・防火エプロン・安全靴(足カバー)の装着が有効的。火花がついても燃えにくい難燃性のものや革製のものを選ぶと、より安全性が高まりますよ。
半自動溶接機(ノンガス)が溶接できる素材は、主に鉄。ホームセンターで購入できる鉄製のアングル材や角パイプが材料として人気ですが、表面がメッキ処理されているものはそのまま溶接できません。
メッキが施されている材料を使う場合は、溶接前にディスクグラインダーや電動サンダーでメッキを剥がす必要があります。
最後に、使いやすさ・持ち運びやすさで選びたい人におすすめの商品をご紹介します。
SUZUKID Buddy80は、先端ノズルがシャープなつくりで溶接箇所が見やすい設計の家庭用溶接機。ハイパワーで厚みのある鉄板にも使いやすく、さまざまな用途で活躍するでしょう。電流・電圧の調節は数字の記載があるダイヤルで簡単にできるため、複雑な操作が苦手な人にも向いています。
SUZUKID STICKY80は、重さ4.1kgと軽く持ち運びやすい商品。瞬間的に電流値を上げるホットスタート機能、溶接棒と材料が離れてもアークが持続しやすいアークフォース機能を搭載しています。対応している板厚は4mmまでですが、検証では板厚6mmでも表面を溶接できました。
種類 | 半自動溶接機(ノンガス) |
---|---|
定格入力電圧 | 100V |
電流調整機能 | |
電圧調節機能 | |
溶接可能板厚 | 鉄:0.8~4.0mm/ステンレス:0.8~1.5mm |
溶接可能材質 | 鉄、ステンレス |
定格使用率 | 35% |
---|---|
定格周波数 | 50/60Hz(東/西日本)兼用 |
定格入力電流 | 24.4A |
定格入力容量 | 2.44kVA |
定格出力電流 | 80A |
出力電流の調節範囲 | 30〜80A |
適用溶接棒の径 | 不明 |
適用溶接ワイヤーの径 | 0.8φ |
幅 | 152mm |
奥行 | 317mm |
高さ | 273mm |
重量(公称値) | 6.3kg |
付属品 | 消耗品収納ケース、持ち運び用ベルト、2P/100V変換アダプター、取扱説明書 |
推奨ブレーカー(100V) | 15A/30A以上(ノンガスワイヤ:ダイヤル8以上) |
スター電器製造 スズキッド Buddy80 SBD-80SBをレビュー!クチコミ・評判をもとに徹底検証
種類 | 被覆アーク溶接機 |
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定格入力電圧 | 100V |
電流調整機能 | |
電圧調節機能 | |
溶接可能板厚 | 1.2〜4.0mm(鉄・ステンレス)/2.0〜4.0mm(鋳物) |
溶接可能材質 | 鉄、ステンレス、鋳物 |
定格使用率 | 20% |
---|---|
定格周波数 | 50/60Hz(東/西日本)兼用 |
定格入力電流 | 30A |
定格入力容量 | 3.0kVA |
定格出力電流 | 80A |
出力電流の調節範囲 | 10~80A |
適用溶接棒の径 | Φ1.4~1.6mm(100V15A接続時:)/最大Φ2.6mm(100V30A接続時) |
適用溶接ワイヤーの径 | 不明 |
幅 | 121mm |
奥行 | 252mm |
高さ | 200mm |
重量(公称値) | 3.8kg |
付属品 | 保証書、ホルダー付きコード2m、取扱説明書、アースクリップ付きコード2m |
推奨ブレーカー(100V) | 15A(板厚:3.0mmまで) |
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