
【55歳 早期退職の末路】 「あの時こうしていれば…」を防ぐ後悔ゼロ転職!人事・戦略コンサルタントが徹底解説
近頃、早期退職募集のニュースも珍しくなく、50代を迎えて「このまま定年まで働くべきか、それとも早期退職で第2の人生を始めるべきか…」と悩んでいる人も多いでしょう。早期退職は、自由な時間や新しい挑戦のチャンスを与えてくれる一方で、収入の変化や再就職の難易度、老後資金の見通しなど、慎重な判断が必要なテーマでもあります。早期退職したものの、年収を下げても転職先が見つからないといったケースも実際にあり、勢いで決めて「思っていたのと違った…」と後悔につながることも。
今回は、50代が転職活動をするうえでの企業の選び方のコツや具体的なアプローチ方法を、大企業からスタートアップ企業まで600社以上の人事に従事してきた人事・戦略コンサルタントの松本利明さんが解説します。おすすめの転職サイト・転職エージェントも解説しているので、ぜひ参考にして後悔のない選択をしてくださいね。
本コンテンツの情報は公開時点(2025年11月18日)のマイベストの情報をもとに執筆しております。

HR総研客員研究員。PwC・マーサー・アクセンチュアなどの大手外資系コンサルタント会社のプリンシパル(部長級)を経て現職。国内外を代表する大企業からスタートアップ企業まで600社以上の人事や働き方改革に従事。『できる30代は、「これ」しかやらない ~会社に使われて終わらないシン・働き方の教科書~』(PHP研究所)が新刊。『「いつでも転職できる」を武器にする』(KADOKAWA)・『「ラクして速い」が一番すごい』(ダイヤモンド社)をはじめベストセラー多数。

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50代での転職は正直厳しい…後悔しないためには、自分の得意に合った企業を選ぶこと

人手不足が叫ばれるなか相次いでいる、大手企業での早期退職募集。パナソニックホールディングスやジャパンディスプレイなど大手メーカーのほか、明治ホールディングスやオリンパスといった黒字企業でも、年齢構成の適正化や人材の入れ替えが進んでいます。
しかし、50代での転職は厳しいのが現状。マイベストで「50代向け転職サイト」を調査した結果、そもそも50代向けの求人数は男女問わずかなり少なく、大手3サイトを利用した場合でも合わせて約16,000件ほどという状況でした。SNSでも「年収を下げても転職先が見つからない」といった声も多く見受けられます。
とくに大手製造メーカーの早期退職を受ける人のなかには、役職はあるもののスキルがないいわゆる「ジェネラリスト」と呼ばれる人も多数。スペシャリストと呼ばれるような、特化した得意分野がある人は需要がある一方、ジェネラリストだと転職困難に陥ることもあるので注意が必要です。
ジェネラリストにおすすめの転職方法は?

もし自分がジェネラリストに当てはまる場合、どのように転職したらよいのでしょうか?求人が少ないなかでの50代の転職先探しは、以下2つの方針がおすすめです。
①同じ職種のまま、業界を変えて探す
まずは自分の経験のある職種で求人を探す方針です。職種に加えて、事業のフェーズ(創業期・成長期・安定期など)が自分に合ったものかを見極めるのも大事です。自分の得意なフェーズにあった企業を選ぶと、経営課題を理解しやすく、強みを生かしやすいでしょう。逆に、自分に合っていないフェーズの場合、入社後に働き方や仕事のやり方にギャップを感じ、後悔につながることも。
ただし、同じ業界・同じくらいの規模の企業は早期退職する企業と同様にビジネスモデルを移行しようとしているケースが多いため、求人がない可能性が高いでしょう。その場合は業界を変えて探してみてくださいね。
②同じ業界のまま、職種を変えて探す
例えば、エンジニア経験者が同じ業界の人事担当者に転職した場合、技術の知識があることで人事としても戦力になることも。自分のこれまでに培ったスキル・経験を強みとして生かせる、かつ同じ方面に進むライバルが少ないポジションを狙うと、活躍する場面が増えることがあります。
このように自分の持つ強みを活かせるよう、職種や業界を変えて探すことも検討してください。求人が少ないなかで転職を成功させるには、こだわりすぎないことが大切ですよ。
50代転職のカギは、自己PRにあり

希望の求人が見つかったら、企業が求めているスキルと自分の強みがマッチするよう自己PRを完成させましょう。
ここで大切なことは、どの企業でも使える志望動機を使い回すのではなく、1社1社自分の強みとマッチするかを研究して自己PRを変えること。そして受ける企業の経営課題やマネジメント課題に対して自分がどう貢献できるか・その根拠となる実績を、具体的かつ数字で客観的に示すこと。
50代は同じ業界・職種であれば、自然と似たキャリアパスを歩んできた人が多くなり、強み・実績が被りがちなのが難しいポイントです。そのなかでほかの候補者と差をつけ、よい幹部候補として受け入れてもらえるようにするには、1社1社丁寧に向き合ってアピールすることが大事。転職に焦って何十社も一気に受ける人が多いですが、使いまわしの志望動機や自己PRだと逆に貴重な求人数を減らしていくことに繋がりかねません。
手間はかかりますが、1社ずつ自己PRを変えて丁寧に受けることで人事の心象もよくなり、企業によっては狙ったポジション以外の新たなポジションを作って提示してもらえる可能性もあるでしょう。
自己PRで周りに差をつけるには、自己分析のやり方も大事

自己PRの際に必要なのが自身の強みや持ち味を分析すること。とはいえ、自分の強みを自分で分析するのはハードルが高く、特にこれまで転職経験がない場合はどのように行ったらよいかわからないという人も多いでしょう。自己分析は、以下の方法がおすすめです。
①周囲の信頼している人に、「なぜ自分にその仕事が任されているか」を聞く
自分が強みと思っていることと、周りが自分に対して評価しているポイントは違うことも多いです。なぜ同僚ではなく自分にその仕事を任せようと思ったかを聞いてみましょう。任せられた背景を知ることで、自分の性格や仕事のやり方について客観的に把握し分析できますよ。
②自己分析テストをいくつか試す
自分の強み・弱みを多角的に知る目的で利用してみましょう。ただし、結果はあまりうのみにしすぎず、仕事をしているときの自分に当てはまるかを自身で確かめながら、参考程度に利用してください。
③弱みを組み合わせて、オリジナルの価値を出す
50代転職の場合、強みがほかの候補者と被ることが多いです。そこで使えるのが、自身の弱みやコンプレックスをポジティブに言い換えて組み合わせるという方法。そうすることでほかの人にはないオリジナリティある強みを出すことができ、自己PRで成功する可能性がアップするでしょう。
選び方①:50代向けの求人はほとんどなし。転職サイトはできる限り多く活用し、手段として考えて

20代・30代の転職活動と違い、求人数自体が少ない50代。そのため転職活動のアプローチとしては、まず多くの転職サイトや転職エージェントに登録するようにしてください。
ここで重要なのは、あくまで転職サービスは情報源として活用すること。エージェントはきめ細かくまではサポートしてくれるとは限らないので、エージェントに依存せず、自分自身で自己PRを考える意識が必要です。PRの方法を見直すことによって、マッチする企業とつながりやすくなります。

大手の転職エージェントは、スカウト機能を持っています。
企業やヘッドハンターが、サイトに登録した経歴・スキルからポテンシャルを見出してスカウトしてくれるので、自分では見つけられなかった企業との出会いや、自身の市場価値を客観的に知るきっかけにもなります。プロフィールを最新に保つことで、どんな求人が来るかを知るのにも役立ちますよ。
ただし、数は多くはないため、スカウトを待って自分で何も行動しないということはないようにし、あくまで自身の転職活動と並行して利用するようにしてくださいね。
選び方②:行きたい業界職種に強い転職エージェントも併せて使おう

希望の業種や職種がある人は、業界・職種特化型の転職エージェントも利用しましょう。
転職エージェントとは、企業と応募者の間に入って転職を支援するサービスのこと。担当アドバイザーが企業の応募から入社まで二人三脚でサポートしてくれます。なかでも業界・職種特化型の転職エージェントは業界・職種への理解が深く希望条件が明確になっている分、効率的に転職活動を進めやすいですよ。ライフプランなども相談したい女性は、女性向け転職エージェントもおすすめです。
以下におすすめの転職エージェントを紹介しているので、あわせて読んでみてください。
どのサービスに登録したらいいの?
doda・リクナビNEXT・マイナビ転職など、求人数がとにかく多いところはマスト登録!
まずは、50代向けの求人が多い転職サイト3つをご紹介します。3つともスカウト機能がついているので、自身の市場価値を確認するのにも役に立ちますよ。
doda

dodaは、マイベストで比較した転職サイトのなかでも50代向けの求人が多いのが特徴。調査の結果、公開求人数約25.6万件のうち「50代 活躍中」で募集している企業は約5,900件ととくに多い数でした。管理職・マネージャーの求人数も約6,200件と多く、登録しておいて損はないでしょう。
また「doda」「マイナビ転職」「キャリコネ」3社が発表している転職人気企業ランキングにランクインした144社の求人のうち、掲載実績は検証最多の114社。人気企業への転職も期待できそうです。
エージェントサービスもあり、応募書類の作成や面接対策などのサポートを受けられますよ。
リクナビNEXT
リクナビNEXTも、50代向けの求人が多いサイトです。サイト全体の公開求人数は109万件以上、「50代 活躍中」での絞り込み条件でも2,600件以上と、比較したなかでも多く掲載されています。
また転職人気企業144社のうち、掲載実績があるのは95社。さまざまな業界の有名企業とつながれる可能性があります。検索条件が多く、希望に合う求人を探しやすいのも魅力です。
マイナビ転職
マイナビ転職は20~30代向けの求人がメインのサイト。しかし「50代 活躍中」で絞り込むと約1,900件と比較的多く掲載されていたので、ほかの転職サイトと併用するなら十分なレベルといえます。転職人気企業144社のうち約70社の掲載実績もあり、人気企業とのパイプにも期待できますよ。
スカウト機能もあり、職務経歴や希望条件を登録しておけば、企業や転職エージェントからのスカウトが届きます。「転職MYコーチ」サービスを使えば、履歴書・職務経歴書の添削や面接のアドバイスを受けられるので、気になる人は登録しましょう。
幹部職のまま転職を望むのであればリクルートダイレクトスカウト、ビズリーチも登録して
リクルートダイレクトスカウト
リクルートダイレクトスカウトは、企業やエージェントから直接スカウトが届く、ヘッドハンティング型のサービスです。高収入求人が多く、公開求人数約54.6万件のうち、年収800万円以上は約17.6万件・年収1,000万円以上は約8.3万件。比較したハイクラス向け転職サービスのなかでも多く、希望の転職が期待できます。
ビズリーチ

ハイクラスに特化した転職サービスを使うなら、ビズリーチもおすすめです。高収入求人の数を調査した結果、公開求人数の39%が年収800万円以上・32%が年収1,000万以上の求人でした。
データベース型のため、さまざまなヘッドハンターに自分の経歴を見てもらえる可能性があるのも利点。企業に直接応募もできるので、入りたい会社がある人はぜひ検討しましょう。
エージェントを使わない場合の最終手段も

幹部になっている同級生や周りの友人からのリファラル
まずは、大学の同期など、社会の横のつながり(リファラル採用)を活用しましょう。
リファラル採用とは、社員が自分の友人や知人を紹介し、選考につなげる採用手法のこと。50代になると出世している友人・知人も多いため、紹介者が推薦することで選考が有利に進む場合があります。入社前にリアルな働き方などもわかるので、入社後のミスマッチも防げますよ。
ただし、採用された場合辞退しづらい・紹介者の下のポジションで働く可能性がある点は注意してください。
部下も連れて、チームごと転職
部下を連れてチームで転職して働くことを交渉すると、転職が有利になることもあります。
例えば、新規事業に乗り出そうとしている企業など。チームでの転職を希望しているところであれば、息の合った優秀な人材がセットで移ることで、1人よりもパフォーマンスが上がりやすいでしょう。
まとめ:自分の持つ経験や強みをアピールして再スタートを成功させて

50代での転職は厳しいといわれているものの、職種や業種を変える・1社ずつ企業研究を行ってPR方法を変えるなどの工夫で内定に近づくことができます。転職サイトに頼り切らず、友人・知人の伝手を頼るなど、利用できるものもしっかり利用してくださいね。
以下では、ほかのおすすめ転職サイト・転職エージェントを紹介しているので、こちらもチェックしてみてください。
