視力を回復させる手術のひとつであるICL。聞いたことはあるものの、具体的な手術内容がわからない人もいるのではないでしょうか。
今回はICLとは何かを解説します。手術内容や流れだけでなく、レーシックと比較したときのメリットやデメリットも紹介するので参考にしてみてください。
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ICLは目の中にレンズを挿入する治療法であり、日帰りで手術が可能です。ここでは、ICLの概要や手術の流れを解説します。
ICLは「Implantable Collamer Lens」の頭文字を取った言葉で、眼内コンタクトレンズのことです。目の中にレンズを挿入して屈折異常を矯正することから、眼内コンタクトレンズと呼ばれます。
ICL手術の特徴は、角膜に小さな切開創を作成して眼内レンズを挿入することです。近視・遠視・乱視の矯正に有効で、術後は裸眼視力の改善が期待できるでしょう。日本では2010年に厚生労働省に認可されており、安全性の高い手術といえます。
ICLの手術は片目が10分程度で終わるため、日帰りで手術が可能です。
主な流れは、点滴麻酔をしてから角膜を約3mm切開し、レンズを挿入します。次に虹彩と水晶体のあいだにレンズをはめたら完了です。手術後は定期検診が必要ですが、切開の傷口は自然に治癒するため、縫合や抜糸などはありません。
手術が終わった直後からある程度は見えるようになり、数時間休むと70%ほど視力が回復するため、当日は裸眼で帰宅できます。入院する時間が取れない人も、日帰り手術ができるICLなら手術を受けやすいでしょう。
ICLはレーシックと同様に視力を回復させるための手術ですが、レーシックとは異なるメリットがあります。レーシックとの違いとともに、ICLのメリットを確認しましょう。
ICLの手術後は、特別な手入れが不要です。
通常のコンタクトレンズと違って眼内レンズは汚れないので、取り出して洗う必要がありません。また、術後にごろごろするなどの違和感が発生しにくい点もICLの特徴です。
メガネやコンタクトレンズなどを使う場合は手入れが必要ですが、ICL手術を受ければ矯正器具をつけるわずらわしさからも、手入れの手間からも解放されます。
ただし、日頃のメンテナンスが不要である一方、定期検査は必要です。ICLの手術を受けたあとは、医師の指示に従って適切な時期に検査を受けましょう。
ICLのメリットは、回復した視力を長期間維持できることです。眼内に挿入したレンズは永久的に使えるため、交換や再手術をしなくても回復した視力をキープできます。
角膜を削って視力を回復させるレーシックは、年数の経過によって近視が再発する可能性も。その点、ICLは角膜の形状を変化させないので、手術後も長期間視力が安定する点が特徴です。
なお、術後の視力回復にかかる時間が早いこともICLの魅力といえます。個人差はあるものの、視力回復にかかる時間は早ければ翌日、だいたいは数日〜1週間ほどです。
ICL手術のメリットとして、治療の適応範囲が広いことも挙げられます。ICLで挿入するレンズはバリエーションが豊富なため、強度の近視・遠視・乱視にも対応可能です。
手術ができる適応範囲は、日本眼科学会のガイドラインによって定められています。レーシックの場合、近視矯正の適応範囲は-10D未満のため、-10Dを超える強度近視の人はレーシックが手術ができません。
その点、ICLはレーシックよりも適応範囲が広いため、度数の問題でレーシックができない人もICLなら手術を受けられる可能性があります。
レーシックとは異なり、ICLは手術時に角膜を削る必要がありません。
ICLの手術では、角膜の一部を小さく切開してレンズを挿入します。約3mm切開するだけで削らないので、角膜の厚みは変わりません。角膜を削らないことで、鮮やかで立体感のあるクリアな見え方を実感できるというメリットもあります。
また角膜が薄い人は、削るための厚みが足りずにレーシックができないこともあるでしょう。ICLなら角膜の厚さにかかわらず手術ができるため、レーシックの手術が難しいといわれた人は医療機関に相談してみるのがおすすめです。
一時的なドライアイのリスクがあるレーシックに対し、ICLはドライアイの原因にはなりません。
ドライアイの原因のひとつとして、角膜の表面にある三叉神経を傷つけることが挙げられます。レーシックでは角膜を28mm削るので傷がつきやすいですが、ICLはおよそ3mmしか切らないので神経を傷つけません。
手術後のドライアイのリスクが心配な人にとって、ICLは有効な選択肢になりうるでしょう。ただし、もともとドライアイの症状がある場合、ICL手術を受けることで症状が改善するわけではない点には注意が必要です。
レンズを入れたあとに不具合を感じたら取り出せることも、ICLのメリットといえます。
角膜に変化を加えるレーシックに対し、ICLは可逆性の高さが特徴です。角膜を削らずにレンズを入れるだけなので、レンズを取り出せば元の状態に戻せます。想定していた見え方と異なる場合などは、入れたレンズを取り出して調整することも可能です。
また、白内障手術を受ける場合や目の病気が見つかった場合など、レンズを外さなければならないときにも摘出できます。レンズを取り出せば目の治療の妨げにならないので、治療の選択肢が狭まらない点もメリットです。
ICL手術を受ける際は、認定を取得した信頼性の高い術者に治療を任せられます。
ICL認定講習を受講し、認定医インストラクター講師の立ち会いのもとで手術を行わなければ、ICL認定は取得できません。特別な資格が不要のレーシックに対し、ICLは認定医でなければ手術ができないため、安定したクオリティが期待できるでしょう。
ICL治療ができるクリニックは、ICL研究会の公式サイトから探せます。地域ごとにまとめられているため、どの医療機関で手術を受けられるのか確認してみてください。
レーシックにはないメリットも多いICLですが、費用面や時間面などのデメリットには注意が必要です。デメリットを知ったうえで、ICLの手術を受けるかどうかを決めましょう。
ICLの手術にかかる費用はレーシックよりも高いため、費用面にデメリットを感じる人はいるでしょう。医療機関によって異なるものの、ICLの費用相場は45〜80万円、レーシックは20〜40万円です。
ICLもレーシックも保険適用外の自由診療に該当するため、どちらも全額が自己負担である点は変わりません。ただしレンズ費用などが含まれる分、ICLのほうが費用が高い傾向です。
手術費用は高額ですが、ICLをすればメガネやコンタクトレンズが不要になるため、術後は矯正器具にかけていたお金が発生しません。メガネやコンタクトレンズを手入れする時間的コストも不要なので、ICLの費用対効果は決して低くないでしょう。
レンズの在庫がない場合、ICLの手術はすぐにできません。
手術後に想定と違った見え方にならないよう、ICLの手術前には目の状態を検査し、カウンセリングを行ってから一人ひとりに合うレンズを選びます。適切なレンズの在庫がない場合は取り寄せなければなりません。
国内に在庫があれば2週間〜1か月ほど、海外から取り寄せる場合は2〜4か月ほど待つ必要があります。思い立ってすぐに手術、とはいかないケースが多いので注意してください。手術をしたい時期から逆算し、計画的に医療機関を受診しましょう。
ICLの手術を受ける際は、レンズが合わないと感じる、ハロー・グレアが発生するなどのリスクに注意が必要です。
カウンセリングや精密検査によってある程度は回避できますが、まれに挿入したレンズの大きさや度数が合わず、見えにくさを感じることがあります。万が一レンズが合わなかった場合は取り出して調整できるため、医療機関に相談してみましょう。
ハロー・グレアは、光を見たときに眩しさや滲みを感じて見えにくくなる現象です。ICLのような目の手術をした際に起こることがありますが、多くのケースでは視力が安定すると解消されます。
目の中を触る手術である以上、すべてのリスクをゼロにすることはできません。ICLは安全性の高い手術ですが、手術にはリスクがあることをきちんと理解しておきましょう。
視力回復のためにICLかレーシックを検討するなら、それぞれの特徴や費用を比較することが大切です。メリットとデメリットを知り、どちらが自分に適しているかを考えてみましょう。
以下の記事では、ICLとレーシックの違いなどを解説しています。視力回復の手術に興味がある人は参考にしてみてください。