商品モニターとして手にしました
電子辞書を触るのは初めてです
ストレスのない反応速度、キーの押しやすさ、タッチの精度など、操作性については文句無しでしょう
他の方は「電子辞書としてのクチコミ」を投稿しているでしょうから、今回は「紙の辞書との比較」に重点を置くことにします
辞書とは、「目的のものを調べる」という道具としての面と、「未知の事柄について知ることを楽しむ」という、知的好奇心を満たす、ひとつの世界としての面があると考えます
辞書を編集し、出版するのは、費用対効果を考えると、とても効率、利益率の低い事業です
出版社のブランド力向上には利するところが大きいものの、これから先を考えると、ボランティア的側面が強まることは否めません
ひとつの現象を説明するための、「これが完璧」という説明は存在しません
これは、全ての事柄が、意思や立場といったベクトルに影響されるからです
だからこそ、辞書は様々なものを併用するのがベター、正確さを求めるのなら、情報源を偏らせるのではなく、複数の側面から核心を類推することが必須となります
また、だからこそ、辞書編集においては「個性の出し方」が妙味となり、「好きな辞書」や、「そもそも辞書を読むのが好き」といった方も出てくるのです
これまでは紙の辞書の話でしたが、これは電子辞書となっても変わるものではありません
特に、学習ツールとして辞書に触れるであろう、年若い学習者には、時に「利便性」よりも、「知的好奇心の刺激と満足感」こそが重要となることは、一定以上親として経験を積んだ方ならご納得頂けるでしょう
必要な時だけは触るけれど、そうでない時はずっと埃を被ったまま、というのでは、好奇心の刺激とは無縁であった、失敗であったということになってしまいます
紙の辞書の良さとは、ページをめくる毎に、目的のものとは違う様々な情報に触れることにあるのではないでしょうか
さながらそれは、スマホでニュースを見ることと、新聞でニュースを見ることの違いのようです
目的のものとは違う情報にも触れることができることが、その良さの一つだと考えます
ユーザー編集なので正確性に難がありますが、現在のひとつの理想形として、ウィキペディアがあります
簡易な説明、歴史や関連する事柄の説明などがあり、同じウィキのページであれば、関連語句に容易に飛べる
その先では、さらに新しい出会いが待っている
紙の辞書や新聞など、デジタルでない媒体での知の海が「表層を漂いやすい」ことだとすれば、ウィキのような形式の知の海は、「深掘りしやすい」ことと特徴づけられると考えます
隣接情報ではなく、より深く
これは、この電子辞書にも言えますので、その楽しみ方の一端を、購入者であろう保護者さんと学習者が共有できたなら、
学習者の、学ぶ喜びを知る一助となれるのではないでしょうか
さて、最後に、この端末でのデメリットをいくつか述べたいと思います
まず、画面の小ささ
これについては携帯性にも関わりますので難しいとは思いますが、将来的には折りたたみ2画面や、AR端末での展開も考えられるでしょう
次に、情報の短さ
長いものもありますが、基本は「説明のみ」なのが残念です
関連項目の説明が存在しないもの、関連項目の説明が簡潔すぎるものが殆どなのは、知的好奇心の刺激という面からはマイナスでしょう
有名曲が一部流れるものもあるのですが、最初の一節だったり、有名な一節だったりとそれも様々
改善の余地があります
2つ目に関連しますが、最後に、情報の深掘りのしにくさ
辞書としての面を前面に押し出し、更に電子辞書ですから様々な辞書をソースとして取り扱っている
なのに、リンクや表現の工夫といった面では改善する余地が多分にある
未だ、「電子辞書」という分野は、開拓の初期段階にあるのかもしれません
せめてウィキペディア以上の読み物・知の沼になってほしいのですが
ご存知のように、若い学習者は、学習意欲がない・少ないことが多々あります
学ぶ喜びや楽しみを知らなければ、学習意欲など湧き立つはずもありません
辞書や教科書、参考書には、そうした側面も、より追求してほしいと願うばかりです
とはいえ、今回商品モニターとして本製品に触れることができたのは、存外に楽しいひとときでした
願わくば、この商品を手に取る若い学習者さんにも、本製品での知の旅を楽しんでいただけますように