出典:amazon.co.jp空海の風景(上巻)2,200円川邊健太郎昭和・平成で"国民的作家"と言われた司馬遼太郎さんの作品で、若手が読んでなさそうなモノを紹介します。私のブクログの小説のカテゴリで初めて★5をつけた。かつ暑苦しい司馬遼太郎の小説で二回以上読んだのは「関が原」と「空海の風景」だけ。それぐらいこの小説が好き。空海は約1200年前の人物であり、そういう遥か昔、かつ宗教という精神世界のことを「小説になんかできるわけないだろう!」という作者の開き直りからこの独特の小説が生まれるわけだが、まさに小説と言うよりも心象スケッチである。でも、それがよい。司馬遼太郎の想像力や思考がどういうものであったか、そして中世の日本人や中国人、そして仏教のことがおぼろげながらもいろいろ理解し、消化されていくようでなんとも好奇心をくすぐられる作品になっている。以前訪問した高野山の住職が「空海というのは"日本的"と言われるもののほとんどすべてを作った。いわば日本と言うOSを作った人という感覚。長くはない活動期の中でこれだけのことをやれたという点において、アリストテレスやレオナルド・ダヴィンチと並び称されててもよいぐらいである」と、おっしゃっていたのだが、そういった空海の類まれなる才能はこの作品を通じても余すところなく伝わり、それを司馬遼太郎はある種のうさんくささをもった人物として空海を表現している。空海とは、それぐらい実力も"山っ気"もある人物だったのだろうと想像が広がる。夏休み、この小説を読んだ上で、高野山に旅してみるのもまた楽しいかと。…もっと見る