出典:amazon.co.jp人体600万年史(上) │ 科学が明かす進化・健康・疾病1,012円川邊健太郎上巻は人体の起こりと進化が詳細に書かれており、環境変化に適応した人体の輝かしい軌跡が描かれる。下巻は打って変わって"ディスエボリューション"と作者が呼ぶ、農耕とその後の産業化に伴う人体と生活環境とのミスマッチ病の原理と予防法(その多くは現代人の怠惰さによって予防できないのだが、、)とがこれでもか、これでもかと繰り返しかかれ、自分の普段の生活を振り返るにかなり憂鬱な気分にさせられる。。 生物の進化のほとんどは環境変化への適用と繁殖の最大化にあり、その特徴は非常に長い年月をかけて少しずつ適応していくことにある。 ちょうどその長い期間の間、ホモサピエンスはずっと狩猟採集生活をしていて、少し前まで長い氷河期が続いた。つまりはそういう生活に適合するように人体は進化している。 これに対して1万年前ぐらいから農業と牧畜というイノベーションが起こり、食料の安定化と種類の単調化(狩猟採集生活でははるかに多様な食べ物を摂取していた)、そして牧畜による感染症の拡大が人類に環境の変化をもたらせた。 それを数百世代を経て進化の力で適応すれば人類はまた違った展開があったのだろうが、その次のパラダイムをわずか数十世代で産業化という形で成し遂げてしまったため、体は狩猟採集生活のままだが、生き方は産業化による"高カロリー、高血糖、運動不足、感染症撲滅"的な生活にこの250年で急激に突入し、結果として、糖尿病、心臓病、がん、腰痛、近眼、親知らずの痛み等々のミスマッチ病が我々を襲うことになり、各国共に医療費は国家の首を絞めるほどの莫大なものとなっていった。 これらの予防はきわめて単純である。糖質のものはなるべく採らないようにし、食べ物は種類を多く食べ、立って歩いたり走ったりすることを生活の大半にし、共同で子育てをするだけである。 ただ、現在の文明化、分業化された生活はそれをなかなかさせない。させないのでミスマッチ病におかされ、生活改善ではなく科学的な薬の力で抑制するのみである。また、都合の悪いことにこれらのミスマッチ病はゆっくりと進行し、繁殖とは関係のない年齢になってから発症するので、生命の得意技である"進化圧"が加わりにくい。 という現状認識を行って残念ながらこの本は終わる。ミスマッチ病を防止するため、知識と行動が重要だとすると、まずは適切な知識を与えてくれるのがこの本で、それを基に行動するかは自分次第というところか。まずは甘ったるい炭酸飲料を飲むのを止める事からはじめるか。…もっと見る