出典:amazon.co.jpザ・ビッグイヤー │ 世界最大のバードウォッチング競技会に挑む男と鳥の狂詩曲4,689円川邊健太郎世の中、様々な**バカがいるが、これはまさしく鳥バカ、バードウォッチング・フリーク達の群像劇である。舞台は全米探鳥協会が主催する全米探鳥競技大会。ルールは至ってシンプル。「元旦から大晦日の1年間で米国全土にいる鳥を最も多くの種類を見たものが優勝」というもの。審判や細かいルール、証拠の写真提出などもなく、「何月何日、どこで、何を見た」というリストの提供だけで、競技参加者はお互いを信じあってレースを年間で展開する。(実際には、希少種の鳥はこの競技に参加するバーダーによって一時的に集中的に見られてしまうため、お互いのデータを突合すれべ真偽のほどは分かるようになっている)普通のこの競技の楽しみ方は、自分の生活圏でバードウォツチングをして、旅行先とかでもカウントしてそれを提出して自己満足する、みたいなものなのだが、中にはアラスカやアッツ島なども含む米国全土数千キロを常に移動し年間250日ぐらいを探鳥に費やすという猛者がおり、その猛者たちが自己レコードや「歴史上、最もアメリカ国土にいる鳥を1年間に見た人間」になるための挑戦を「ビッグイヤー」と呼ぶらしい。そのビッグイヤーの中でも稀に見る激戦かつ、もう二度と破られることはないであろう、1年間で745種類を記録した1998年のレースを、この本では3人のハードコア・バーダーを中心に追って構成している。まずこの本ではバードウオッチングとアメリカ探鳥史を分かりやすく紐解いてくれる。そうかハンティングがエコになって、バードウオッチングに進化したんだ。。みたいな薀蓄が多数あった上で、いよいよ真打の3名の伝説のバーダー、即ち98年大会をぶっちぎりの1位で優勝したキャラも一番濃いサンディ・コミト、エリートビジネスマンにして何事にもスマートなアル・レヴァンティン、原発に勤める収入をすべて探鳥に費やし、女房にも逃げられた巨漢にして朝寝坊・大いびき男のグレッグ・ミラーが登場し、98年のビッグイヤーの詳細がつづられていく。この本の帯にも「バカか偉業か?」と書かれているが、まさにおバカ全開のエクストリーム探鳥が展開されていく。1日数百キロの移動は当たり前。常に大しけの海に行ったかと思えば、人間が生きる上で極めて過酷な環境であるアッツ島に1週間滞在したり、あるいは空気も希薄な標高の山にヘリで探鳥をし、鳥の上から鳥を確認するといった完全に行過ぎたバードウォツチングがそこにに展開されていく。3人のそれぞれの立ったキャラもこの本のもう一つの味わいとなっている。(特にサンディ・コミトのキャラの強さは読者の頭の中に完全にイメージを作り上げる)やがて物語はTOP3人が共に700種を超えていく異常展開でのデッドヒートをハラハラドキドキに描き出してくれる。そして、運命の大晦日、3人はそれぞれの過ごし方で激闘のビッグイヤーを終えるわけだが、そこにはそこはかとない余韻が生まれる。(サンディコミトだけ、早寝をして、翌日元旦から新たな探鳥を全く懲りずにやりはじめるのだが。。)人はなぜ他から見ると大して価値のないことに夢中になったり、身持ちを崩してしまうほどにのめり込んでしまうのだろう。。この本の物足りなさとある種の凄みはこの3人がバードウオッチングの魅力をほとんど語らないところにあるし、そんなことはこの本の主題ではないのかもしれない。…もっと見る